よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


提案書12(2200頁~2401頁) (48 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 超音波骨折治療法はこれまで8篇のLevel1 studyで骨融合率の向上が示されている。骨折発生より間もない新鮮骨折では90%以上で骨癒合を達成で
き、手術から骨癒合までの期間短縮が期待できる(参考文献3)。
後等のアウトカム

③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

日本整形外科学会では2020年4月より大規模運動器疾患レジストリーシステムとしてJOANRを運用している。今回、JOANRで2021年度の人工骨頭挿
入術(肩)の年間施行件数を調査したところ、1211件(65歳以上996件,65歳未満215件)であった。リバース型はガイドライン(2021年度改訂
版)によれば65歳以上が適応のため、この年齢層の人工骨頭挿入術(肩)施行件数は漸減傾向にあると思われる。一方、65歳未満では人工骨頭挿
入術(肩)が絶対的適応で、超音波骨折治療が真に必要な症例はこの年齢層と考え、症例数を215件とした。

見直し前の症例数(人)

215

見直し後の症例数(人)

215

見直し前の回数(回)

215

見直し後の回数(回)

215

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

超音波骨折治療法のガイドラインは本邦では存在しないが、EFORT Open Reviews、 2022
7, 817–826では59篇の論文をレビューした結果をもとに骨癒合を獲得するための指標が示
されている。本論文には2名の日本人共著者が名を連ねている(参考文献4)。英国では、
2020年に上腕骨近位端骨折治療について、NICE guidelineという名称で医療コストや臨床
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 成績をレビューし検討した結果を記載している(参考文献5)。近年人工骨頭挿入術に加え
る。)
てリバース型人工関節が導入されているが、その適応年齢は65歳以上で、実施可能医を肩
関節手術経験で限定している。詳細はリバース型人工肩関節置換術の適正使用基準(参考
文献2)に記載されており、これが本邦での上腕骨近位端骨折治療ガイドラインとして位置
づけられる。人工骨頭挿入術(肩)は、上腕骨近位端骨折(4 part)でリバース型の適正
使用基準に沿わない際に行う術式といえる。

本治療に用いる超音波骨折治療器は1997年に輸入承認を受け、1998年より治療が開始され、20年以上の歴史を有する十分確立した保険収載済みの
技術である。ただし骨癒合には骨折部に対し正確な位置、方向で超音波パルスを照射することが重要である。照射法が確定すれば患者自身で本治
療を行うことが可能である。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 特になし
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 特になし
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 特になし
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

骨化性筋炎が過去20万人のうち5人程度で、その他の筋肉の痙攣 ・こわばり ・浮腫 ・腫脹 ・疼痛・皮膚異常(湿疹、発赤等) ・しびれ ・熱感
の頻度は0.05%未満とされている。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

本要望により超音波骨折治療の適応が追加され、術後早期より適切に施行されれば、人工骨頭挿入術(肩)施行後の結節の骨癒合が期待でき、特
に青壮年(65歳未満)の肩関節機能の回復、再手術(リバース型人工肩関節置換術)の回避、早期社会復帰が見込まれる。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

4,620点
4,620点
適応拡大の要望のため,点数に変化はない。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

その他(右欄に記載。)

番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし

特になし

減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

18,428,725

その根拠

65歳未満に限った場合は,人工骨頭置換術(肩)の術後に超音波骨折治療を高率に運用すると予想される。その場合の医療コストは4,620×215×
10=9,933,000(円)で,一方人工骨頭置換術後の結節偽関節や変形癒合の発生率は過去の報告より20-50%と見込まれている(参考文献1)。この
率を35%と仮定し、将来リバース型人工肩関節置換術37,690点を行うとした場合の医療コストは215×0.35×37,690×10=28,361,725(円)。すな
わち,差額として28,361,725-9,933,000=18,428,725(円)のマイナスが見込まれる。以上は手術料で見積もった医療コストの削減額である。

備考

再手術、リハビリテーションをDPC算定施設に入院して行う場合は、DPCの入院期間に応じた包括分の点数と包括外のリハビリテーションの点数が
追加コストとして加わることになる。その具体額は算定困難であるが、術後早期で超音波骨折治療を行うことの医療コストの削減額(マイナスの
予想影響額)はさらに大きくなる。

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

超音波骨折治療器(18154000)(セーフス®,exogen®,帝人ファーマ)

⑫その他

超音波骨折治療法を人工骨頭挿入術(肩)に適応した学会報告や論文は渉猟し得た限りでは確認できていない。日本整形外科学会では、毎年の全
国整形外科保険審査委員会議(全審会)で全国の保険審査員を対象に診療報酬解釈の問題点についてアンケートを行っている。日本整形外科勤務
医会は昨年9月の全審会で、超音波骨折治療法を人工骨頭挿入術(肩)に適応できるかどうかをアンケートとして提案したところ、適応可との回
答は約3割に過ぎなかった。すなわち、現在の超音波骨折治療法の解釈では約7割が適応できないと判断された。

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

日本骨折治療学会,日本人工関節学会,日本肩関節学会

2247