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提案書12(2200頁~2401頁) (189 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

本技術の国際共同治験術後5年時評価で長期的有効性・安全性が示されている一方、症状の再発により追加治療を要する患者の存在も示されて
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 いる。日本経頭蓋MRガイド下集束超音波治療研究会が、国内導入施設に対して行ったアンケート調査によると、回答を得られた11施設において
2022年6月までに実施された本態性振戦およびパーキンソン病に対するMRガイド下集束超音波治療576症例のうち、92例(16.0%)で症状の再発が
後等のアウトカム
見られ、16例(2.78%)に他の侵襲的な追加治療が行われた。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

実施回数制限の再評価により、対象患者数が変化するものではないが、患者1人につき追加治療が可能になることにより、年間実施回数は増加
すると推定される。本技術後の症状再発率を約15%、過去の侵襲的追加治療率が約2.5%だったことから、低侵襲の本技術の追加が可能となれば、
本技術による追加治療率を約5%と見積もった。なお、昨年1年間の年間施行患者数は564人であったのでこれを600人とし、実施回数の増加はその
5%で30回と計算した。

見直し前の症例数(人)

600人

見直し後の症例数(人)

600人

見直し前の回数(回)

600回

見直し後の回数(回)

630回

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

診療報酬算定の留意事項(3)に定められている「関連学会の定める適正使用指針」につい
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す ては、日本脳神経学会が厚生労働省の委託事業として本技術の適正使用指針を定めている
る。)
が、その中で「病気の進行等により症状の再発や進行がみられた場合は、追加治療を検討
してもよい。」と追加治療を認めている。

本技術は、2019年の保険収載以降普及が進み、2021年末時点では、振戦治療における手術療法の第一選択となっている。日本定位・機能神経外
科学会では、2023年(2022年実施症例分)から、本技術の症例登録を実施、機能的定位脳手術技術認定施設を認定する際の基礎資料としている。
厚生労働省の委託事業として、日本脳神経外科学会による本技術の適正使用指針が策定されている。当該適正使用指針における実施医認定基準
の考え方では「本装置を用いた治療は、基本的には脳組織の熱凝固であり、治療が安全かつ効果的に実施できるためには、治療に当たる医師は脳
神経外科専門医の認定を受け、機能的疾患の診断や治療に十分な経験を有することが前提である。」として、脳神経外科専門医の認定を受けてい
ることが求められている。また、「本装置を適切に使用するためには、本装置の操作に関する十分な技能や手技に伴う合併症等に関する十分な知
識を習得する必要がある。本装置を用いた治療を実施する医師は、機能的疾患に対する集束超音波治療の研修プログラムを受講すべきと考えられ
る。」としており、学会主催の適正使用講習会が定期的に実施され、すべての実施医が講習会を受講している。

厚生労働省による委託事業として日本脳神経外科学会が策定した本技術の適正使用基準では、施設基準、実施医基準について以下のとおり規定
している。
【実施施設基準】
1.機能的疾患に対する神経学的診察、検査が可能な体制が整っていること。
施設の要件
2.破壊術に伴う合併症への対応ができる体制が整っていること。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 (脳神経外科を標榜している病院で、脳神経外科専門医の認定を受けている常勤の医師が1名以上配置されていること。)
制等)
3.本装置の使用管理区域が設定され、装置の維持・安全管理に必要な設備・備品を備えていること。
4.機能的疾患に対する集束超音波治療の研修プログラムを受講している機器管理責任者(医師または臨床工学技士、放射線技師等)が選定されて
おり、本装置が適切な保管、管理が行えること。
5.日本脳神経外科学会の基幹施設と密接な連携をとりながら、安全性、有効性の向上に努めること。

【実施医基準】
1. 脳神経外科専門医の認定を受けている医師であること。
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 2. 機能的疾患の診断や治療に十分な経験を有すること。
3. 経頭蓋集束超音波治療の研修プログラムを受講していること。 (脳神経外科専門医の認定を受けている医師であって関係学会から示されてい
性や経験年数等)
る所定の研修を修了している医師が1名以上参加すること。)
・日本脳神経外科学会 「令和元 年度 新医療機器使用要件等基準策定事業(MR ガイド下集束超音波治療器) 事業報告書」 2020年 (本技術の
その他
適正使用指針)
(遵守すべきガイドライン等その他の ・日本定位・機能神経外科学会 「定位・機能神経外科治療ガイドライン 第3版」 2019年 (本技術による本態性振戦治療について、その他破壊
要件)
術による治療について)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

本技術は皮膚切開や穿頭、機器植え込み等を必要としないため、周術期や植え込み機器に起因する有害事象は少ないが、一方で本技術は凝固術
であるため、凝固術に共通する安全性のリスクが存在する。視床および淡蒼球の破壊術に共通する有害事象の主な原因は、標的の精度と凝固巣の
大きさである。本技術では、MRIの併用による標的周辺温度のモニタリングにより、凝固に至らない低強度での集束超音波照射と、覚醒下での患
者に対する神経学的評価により標的の制度を向上、また段階的集束超音波照射と術中MRI撮像による凝固サイズの確認により有害事象の発生を抑
えることができる。
本治療で使用するMRガイド下集束超音波治療器 ExAblate 4000)の添付文書によると、本態性振戦の患者を対象に視床を標的として実施され
た、FDA海外ピボタル臨床試験においては、試験群の被験者55人に対し181件の有害事象が報告されたが、1件の重度(中程度の有害事象であった
が、被験者の仕事との関連から重度と判定)有害事象を除き、軽度または中程度の有害事象であった。
本技術に特有の有害事象として、超音波照射に伴う痛み、頭痛、めまい等や、定位脳固定フレームのピン部分の皮膚接触の痛み、発疹、顔面浮
腫等が15件(全有害事象の8.3%)発生したが、重症度は軽度または中度であり、ほとんどが照射直後か、治療日当日又は治療後3日以内に軽快し
た一過性のものであった。試験群にて報告された57件(全有害事象の32%)が視床破壊術共通に発生する事象であり、しびれ/刺痛(21件)、アン
バランス(10件、)、運動失調(7件)、頭痛(4件)、ふらつき(4件)、歩行障害(4件)の内訳であった。
パーキンソン病の患者を対象に、淡蒼球内節を標的として実施された、FDA海外ピボタル臨床試験においては、重篤な有害事象、および予期し
ない機器に関連した有害事象の報告はなかった。被験者20名のうち16名に50件が発生し、うち46件(92%)が軽度または中等度であった。本技術
に関連した有害事象としては、頭痛(5件)、顔面の虚弱(1件)、微細な運動動作の調整障害(1件)、16日間持続した軽度の認知機能低下(1件)な
どが報告された。また淡蒼球破壊術に共通する事象は50件中5件(10%)で、構音障害4件(軽度が2件、中程度が2件)、軽度の視野欠落1件であっ
た。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前
見直し後
その根拠
区分

特になし
特になし
特になし
特になし

区分をリストから選択

番号
技術名
具体的な内容
減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

910万円(年間)

その根拠

本技術による追加治療が可能となった場合、年間対象者は変化しないものの、年間実施回数は30件の増加が推定される。MRガイド下集束超音波
治療(本技術)の合計費用は治療1回につき約115.5万円(診療報酬105万円+入院費他)であるから、本治療による医療費の増加分は3,465万円
(30件×115.5万円)である。一方、これまで追加治療として行われていた約15件の脳深部刺激術(DBS)が不要となる。脳深部刺激術の医療費は
約291.7万円(技術料71.7万円+刺激装置176.1万円+入院費等)であるから、脳深部刺激術実施件数削減による医療費の削減分は約4,375万円で
ある。よって医療費は年間約910万円(3,465万円-4,375万円)の削減が予想される。

備考

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