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提案書12(2200頁~2401頁) (139 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

本技術の適応は、保存療法で十分な改善が得られない後縦靱帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニアであり、従来までは手術を行っていた患者が本技術
に置き換わると考えられる。厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)によると、2017年では椎間板摘出術約19,150件
(前方摘出術(K134 1)、後方摘出術(K134 2)、側方摘出術(K134 3)、経皮的髄核摘出術(K134 4))及び内視鏡下椎間板摘出(切除)術が
約12,500件(前方摘出術(K134-2 1)、後方摘出術(K134-2 2))であり、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術療法の全体の件数は年間約31,650件
であった。
一方、本技術が2018年より導入されて以降2020年度では椎間板摘出術は約18,400件及び内視鏡下椎間板摘出(切除)術が約13,200件、本技術
(K134-4)は約3,300件であり、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術療法は年間約34,900件であった。今後も外科的手術から少しずつ置き替えられ
ていくものと考えるが、上記診療報酬上の取り扱いで記載(E48)の通り、本技術は現在技術料5,350点であり、試案で記載のある本技術の必要コ
ストは71,256円であり、現状診療報酬額を上回り診療を提供する側としては経常損失となっているのが現状である。手術療法と比べて費用対効果
が勝る本技術の普及の障害となっている。
なお、本技術の技術料が再評価され普及がスムーズに行く場合、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術療法対象者年間約34,900のうち適応である後縦
靱帯下脱出型の割合26%を乗じた約9,000が年間の国内の適応疾患と考えられ、この数が実施想定回数と考えられ、使用可能医師が所属する医療
機関約1,400軒での実施を想定する。

年間対象者数の
変化

見直し前の症例数(人)
見直し後の症例数(人)

9,000

年間実施回数の
変化等

見直し前の回数(回)

3,300

見直し後の回数(回)
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

9,000

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

①X線透視設備(Cアームなど)があり清潔操作のもと投与可能な施設
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 ②ショック・アナフィラキシーに対応可能な施設
③緊急時に脊椎手術ができる、または脊椎手術ができる施設と連携している施設
制等)
人的配置の要件
本治療に用いる薬剤コンドリアーゼの使用には、PMDAにて使用要件が定められており、その要件に応じて以下の4学会で使用認定を行っている。
(医師、看護師等の職種や人数、専門 (日本脊椎脊髄病学会、日本脊髄外科学会、日本ペインクリニック学会、日本IVR学会)
性や経験年数等)
その他
PMDAが合意したコンドリアーゼの適正使用ガイド
(遵守すべきガイドライン等その他の 適正使用ガイドには、PMDA合意の各学会の医師要件・施設要件が設定されている。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
見直し前
見直し後

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

腰椎椎間板ヘルニアの診断と治療に精通し、投与する椎間板周囲の神経や血管などの重要臓器を回避し、至適位置に投与する椎間板穿刺術の技術
を要する。脊椎専門医であるJSSR学会、NSJ学会専門医、X線透視下椎間板治療の技術をもつJSPC、JSIRの専門医が該当すると考える。

その根拠

コンドリアーゼ国内第II/III相試験及び第III相試験において、本剤が投与された229例中122例(53.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が
認められた。主な副作用は、腰痛51例(22.3%)、下肢痛11例(4.8%)、発疹等6例(2.6%)、発熱4例(1.7%)、頭痛3例(1.3%)であっ
た。主な臨床検査値異常は、Modic分類輝度変化54例(23.6%)、椎間板高の30%以上の低下33例(14.4%)、好中球数減少6例(2.6%)、5°以
上の椎間後方開大5例(2.2%)であった(承認時)。
特になし
5,350
15,000
現在外保連試案では医師1名、協力看護師2名、協力技師1名、0.25時間、人件費合計24,743円、償還できない費用合計47,173円、合計71,916円
であり診療報酬額を上回り、診療を提供する側としては損失となる。治験および市販後臨床研究により腰椎椎間板ヘルニアに対する腰椎椎間板酵
素注入療法の70-85%の除痛効果をもたらすだけではなく、新しい評価軸である費用対効果(※参考文献1)のエビデンスが最近創出された。岩崎
らの報告によれば椎間板内酵素注入療法+椎間板内酵素注入療法が奏功しなかった場合に手術治療を行う場合と、初めから手術治療を行う場合と
で、医療費だけではなく患者の精神的・肉体的負担や生産性損失も考慮にいれた費用分析を検討し、本技術は最初から手術治療を行う場合に比べ
て費用の観点から治療開始後52週の時点でOpen surgeryよりも66万円、内視鏡下摘出手術より51万円費用負担が少なく、既存のヘルニア摘出術に
比べて費用対効果に優れた治療であることが示された。このため腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドラインの治療の「酵素注入療法は手術的治療より
も劣り、さらに経皮的髄核摘出術は酵素注入療法よりも劣っている」という位置付けを踏まえ、全身麻酔で施行する椎間板摘出術 後方摘出術
(K134 2)23,520点、内視鏡下椎間板摘出(切除)術 後方摘出術(K134-2 2)30,390点とは一線を画すものの、本技術は局所麻酔で施行するこ
とが多い経皮的髄核摘出術(K134 4)15,310点とほぼ同等である15,000点程度が妥当と考える。また本技術料が上がると椎間板後方摘出術から本
技術へ治療法を変更する施設も増加すると考え、予想影響額の項で述べる、医療費全体の減少も期待できる。

区分

特になし

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番号
技術名
具体的な内容
減(-)

プラスマイナス
予想影響額(円)

43億円
1)年間の腰椎椎間板ヘルニア手術例
厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)によると、2020年度は、椎間板摘出術 前方摘出術(K134 1)444件、後方摘出
術(K134 2)17,166件、側方摘出術(K134 3)182件、経皮的髄核摘出術(K134 4)584件及び内視鏡下椎間板摘出術 前方摘出術(K134-2 1)61
件、内視鏡下椎間板後方摘出術(K134-2 2)13,155件であり、年間の腰椎椎間板ヘルニア手術例合計数は約31,600件であった。これに加えて、椎
間板内注入療法は3,294件施行された。これらをもとに、腰椎椎間板ヘルニアに対する手術療法は年間約34,900件施行されていることになる。腰
椎椎間板ヘルニアに対する手術は全脊椎外科手術の総計約192,000件のうち18.2%を占めるに至っている。
2)年間の本技術適応例
年間の腰椎椎間板ヘルニア手術例34,900件のうち、適応である後縦靱帯下脱出型のヘルニアは約26%であることから、それを乗じた約9,000件が
年間の国内実施回数と推測される。

その根拠

3)MED技術料と請求する椎間板内酵素注入療法技術料の差
腰椎椎間板摘出術の主流であり低侵襲な手術である内視鏡下椎間板摘出術 後方摘出術(K134-2 2)の技術料は303,900円であり、請求する椎間板
内酵素注入療法技術料 233,189円(請求する技術料にコンドリアーゼ薬価83,189円を加算)との差は70,711円となる。
4)年間医療費の減少額
本技術の年間国内実施回数試算9,000件において全て内視鏡下椎間板後方摘出術から本技術に置き換わると仮定すると、手技料だけで年間約6億
3,600万円 の減少となる。
また、入院治療費を考慮した場合、椎間板摘出術では約16日、内視鏡下でも約10日の入院が必要となり、本技術に移行により治療費が大きく減少
すると想定する。
椎間板摘出術、内視鏡下椎間板摘出術 後方摘出術の患者1人当たりの平均入院治療費用は、JMDC社提供の2016年4月-2017年3月レセプトデータ
(668人、14,317件)によると734,589円/患者、本技術では1泊2日入院もしくは日帰り手術が可能なため、240,000-270,000円程度となり、請求す
る椎間板内酵素注入療法技術料との差は約480,000円である。
本技術の年間の国内実施回数9,000例が全て置き換わると仮定した場合、年間医療費は約43億(480,000円×9,000例)の減少となる。

⑩予想影響額

本技術と椎間板摘出術との費用分析に関する岩崎らの報告を活用した場合、年間9,000例が椎間板摘出術もしくは内視鏡手術から置き換わると、
同様の治療成績でありながら、約43億円が減額できると推定する。
備考

岩崎らは、本技術+本技術が奏功しなかった場合に手術治療を行う場合と、初めから手術治療を行う場合とで、医療費だけではなく患者の精神
的・肉体的負担や生産性損失も考慮にいれた費用分析を実施した。結果、椎間板摘出術と本技術の比較では本技術でのコストが約66万円減少し、
内視鏡手術との比較でも本技術でのコストが約51万円減少する結果であり、どちらの場合も本技術を実施する方が最初から手術治療を行う場合よ
り費用が削減されることが分かった。また、費用差の要因としては治療費が最も大きく影響した。コンドリアーゼは主に入院期間の短縮によって
手術治療よりも費用が削減され、奏功せずに手術治療となった場合を考慮しても全体の費用対期待値は手術治療より低くなることが分かった。

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和4年3月4日 保医発0304第3号)「第57の12 椎間板内酵素注入
療法」において、届出の際、「関係学会より認定された施設であることを証する文書の写しを添付すること。」とされている。
現在、同一医療機関内に複数の学会認定医がおり、複数の認定証が存在することで混乱が生じていること、学会事務局が施設認定証の発行に人的
負担とコスト負担(約100万円/年)が大きくなっていることから、届け出に添付する文書の写しに対する見直しを実施していただきたい。

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

日本脊髄外科学会

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