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最終評価報告書 第3章(Ⅱ5~Ⅳ) (121 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28410.html
出典情報 健康日本21(第二次)最終評価報告書を公表します(10/11)《厚生労働省》
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④ 受動喫煙(家庭・職場・飲⾷店・⾏政機関・医療機関)の機会を有する者の割合の減少
○ 受動喫煙の曝露状況の改善は、短期間で急性⼼筋梗塞や成⼈及び⼩児の喘息等の呼吸器
17)

疾患による⼊院の減少等、確実な健康改善効果が期待できる

。望まない受動喫煙のない社

会の実現の達成状況を評価する上での指標として重要であり、特に1⽇の中でも過ごす時間の⻑
い職場や家庭での曝露の低減は重要である。
○ 令和2(2020)年度に全⾯施⾏された改正健康増進法の実効性を⾼めるためには、関係施
設への周知をはじめ、法律の遵守状況のモニタリングと違反者の取り締まりが必要であり、そのため
の体制づくりが重要である。
○ たばこ規制枠組条約のガイドラインでは、喫煙室を設けない屋内全⾯禁煙が国際標準として求め
られている。飲⾷店やバーも職場という側⾯を有しており、受動喫煙の他者危害性や健康被害の
⼤きさを考えると、多数の者が利⽤する施設等における屋内全⾯禁煙に向けた改正健康増進法
の法的規制の強化が必要である。また、学校、病院、⾏政機関等の公共性の⾼い施設について
は、望まない受動喫煙のない社会の実現のシンボルとして、敷地内禁煙化の取組を促すための法
的規制も含めた働きかけを検討する必要がある。
○ 家庭(⾃家⽤⾞を含む)や屋外での受動喫煙の防⽌は改正健康増進法において努⼒義務と
なっている。中⾼⽣の 36.1%が最近1か⽉の間に家庭内の受動喫煙で不快な思いをしたと回答
している調査

18)

や妊婦の受動喫煙率は 36.9%という報告

19)

もあり、未成年や妊婦がいる家

庭においては、国⺠健康・栄養調査の家庭における結果よりも受動喫煙率が⾼い可能性が考えら
れる。今後、家庭や屋外も含め、社会全体で受動喫煙の曝露の低減につなげる取組が必要であ
る。

5 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた今後の課題
○ 喫煙は、新型コロナウイルスによる肺炎の重症化に直接関わるだけでなく、COPD、慢性腎臓
病(CKD︓Chronic Kidney Disease)、糖尿病等の基礎疾患の重症化を介しても、新型
コロナウイルス感染症の重症化を引き起こすことが報告されている

20)

。第1波の感染拡⼤に伴う

喫煙⾏動に与える影響については、⼼理特性やストレス、経済状況によって、その影響が異なること
が海外の研究で報告されている。例えば、コロナ禍における外出制限や隔離に伴うストレスが⾼いと
喫煙量が増加したが、感染への恐れによるストレスが⾼いと喫煙量が減少した

21)

。令和2

(2020)年4⽉からの初回の緊急事態宣⾔下での喫煙⾏動への影響を調べた国内の調査研
究でも、喫煙者の特性によって影響が異なっていた 22)。全体の 32.1%で喫煙本数が増加した⼀
⽅、11.9%が禁煙していた。男性や⾼齢者では禁煙や本数を減らす⾏動をとりやすかったのに対し
て、テレワーク実施や⼀⼈暮らしでは喫煙本数の増加がみられた。紙巻たばこから加熱式たばこに
切り替えた場合は禁煙⾏動をとりにくかった。国⽴がん研究センターが令和3(2021)年3⽉に
実施した調査においても、同居⼈の喫煙による受動喫煙が増加していると回答した⾮喫煙者が
10%いたのに対して、減っていると回答した割合は 1.6%に過ぎなかった 23)。そのほか、厚⽣労働
科学研究においてコロナ禍における社会・健康格差評価研究としてインターネット調査(JACSIS
study)が実施されており、その結果が待たれるところである。
5.(5)喫煙

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第3章 Ⅱ