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2 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について(別紙2)[3.7MB] (46 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00111.html
出典情報 先進医療会議(第149回 12/4)《厚生労働省》
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1. 臨床的仮説と登録数設定根拠
第 II 相部分
第 II 相部分における本試験の主たる研究仮説は「試験治療である術前 NASOX 療法+手術+術後
NASOX 療法の治療完遂割合が 30%以下ではない」であり、この仮説が検証された場合、術前 NASOX 療
法+手術+術後 NASOX 療法は標準治療である術前 GS 療法+手術+術後 S-1 療法に対する有望な試験
治療となり得ると判断する。
切除可能膵癌に対する術前 GS 療法+手術+術後 S-1 療法の治療完遂割合は 47.8%と報告されてい
る。一方、周術期 NASOX 療法の完遂割合のデータはない。NASOX 療法と類似するレジメンである
mFOLFIRINOX 療法の周術期における治療完遂割合は 49%、NalIRIFOX 療法は 45.8%と報告されており、
NASOX 療法の周術期における治療完遂割合も 45-50%程度と推定される。そのため、周術期 NASOX 療法
の閾値治療完遂割合 30%、期待治療完遂割合 50%、α=5%(片側)、検出力 80%とすると、二項分布に
基づく正確な方法による NASOX 療法群の必要な解析対象数は 43 例となり、若干の不適格例などを考
慮し NASOX 療法群の予定登録数を 45 例と設定した。
第 III 相部分
第 III 相部分における本試験の主たる臨床的仮説は「試験治療である術前 NASOX 療法+手術+術後
NASOX 療法の全生存期間が、標準治療である術前 GS 療法+手術+術後 S-1 療法に対して上回る」で
あり、この仮説が証明された場合、術前 NASOX 療法+手術+術後 NASOX 療法をより有用な治療と判断
する。
切除可能膵癌における標準治療群の OS 中央値は Prep-02/JSAP-05 試験から 36 か月と推定した。試
験治療群の OS 中央値を 51 か月(HR:0.706)と仮定し、α=5%(片側)、検出力 75%、ランダム化パ
ートの登録期間 3 年、追跡期間 4 年とすると、必要解析対象数は 276 例となる。若干の追跡不能例な
どを考慮し、安全性評価パートの 3 例と併せて予定登録数を 283 例と設定した。
以上のパラメータを用いて後述する考察に基づいて必要登録数を計算し、以下のように設定した。
予定登録数:283 例(安全性評価パート:3 例、第 II 相部分:90 例、第 III 相部分:190 例)
α=5%(片側)
、検出力 75%
予定登録期間:3.5 年(安全性評価パート:0.5 年、ランダム化パート:3 年)
、追跡期間:登録終
了後 4 年。解析期間:1 年。総研究期間:8.5 年。
なお、有意水準の設定について、医薬品の承認申請の場合であっても、原則は両側 5%(片側
2.5%)としつつ、欧米当局も含め、希少疾病・小児領域等で有意水準を緩めた対応を認めている。例
えば、ICH-E9 通知(厚生省医薬安全局審査管理課長通知、平成 10 年 11 月 30 日)に添えられている

『臨床試験のための統計的原則』に関する質疑応答」には「稀少疾病用医薬品にみられる例のよう
に十分な被験者を集めることが困難な場合は有意水準を緩くする、などの措置をとってもよい。」と
いう厚生省の公式見解※が示されている。
※https://www.pmda.go.jp/files/000156112.pdf
本邦における 2021 年の膵癌の罹患者数は年間 44,000 人、死亡者数は年間 37,600 人と推計されて
おり、膵癌全体の罹患率は増加傾向にある。しかし、診断時に切除可能である割合は膵癌全体の 1520%に過ぎないと報告されている。また、本試験では、NASOX 療法の毒性の観点から、対象集団選択
の根拠に記載の通り、全身状態が良好な 75 歳以下を対象としている。さらに、国立がん研究センタ
ーがん情報サービス「がん登録・統計」1 によると、膵がん新規罹患患者約 55%が 75 歳以上であり、
本試験の対象となる切除可能膵癌患者は膵癌新規罹患患者の 10%以下と、希少な集団になると考えら
れる。そのため、意思決定の誤りの確率 5%(20 分の 1)は決して不当に高いとは考えられず、より
厳密な判断が求められる薬事承認審査においても上述のように各国の当局も試験の実施可能性の観点
から有意水準を緩める対応を一部認めていることを踏まえ、有意水準を片側 5%とした。
また、検出力は一般に 80%以上が望ましいとされているが、患者登録見込みに記載のとおり、実現
可能性の観点から検出力 80%を担保できないためランダム化試験を実施せずに日常臨床に試験治療が
広まることによるリスクと、検出力 75%であってもランダム化試験を行うことにより得られる知見の
価値を比較考量し、後者であっても臨床的に十分に意義があると考えられることから検出力 75%で試
験を開始することとした。
2. 患者登録見込み
JCOG 肝胆膵グループ 20 施設のアンケート調査の結果、本試験の対象となる 18 歳以上 75 歳以下の

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