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歴史の転換点における財政運営 (96 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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HECS 制度91である。英国においても HECS を参考にした授業料等ロー
ンの制度が導入されているが、これらの制度は、オーストラリアや英国に
おいて、それまで授業料を徴収していなかった制度から授業料を徴収す
る制度に移行する中92で、授業料相当額を後払いとする制度として導入さ
れた、という歴史的背景がある。これらを日本の奨学金や修学支援新制度
などの教育費の負担軽減策と比較すると、返還・納付の方法は日本の無利
子奨学金で既に導入されている所得連動返還方式と類似している。他方
で、


日本では独立行政法人日本学生支援機構が学生に奨学金を支給し学
生が大学に授業料を支払うが、オーストラリアや英国では、政府等が
大学に授業料を支払うため学生は大学に授業料を支払う必要がない、



日本の修学支援新制度では、低所得世帯の学生には減免された授業
料の後払いは不要であるが、オーストラリアや英国では高所得者世帯
の学生も低所得者世帯の学生も、HECS や授業料等ローンの対象とな
り得る一方で、低所得者世帯の学生であっても授業料相当額の返還
(後払い)が必要93、

という相違がある。
〔資料Ⅱ-3-26 参照〕
今後教育費支援の在り方を検討する際には、学費・生活費を親が出すの
が当然だと考える保護者の割合が、低所得世帯においても比較的高い日
本の国民意識94も踏まえつつ、これまでの施策が学生・大学等に与えた効
果を検証する必要がある。その上で、前述の機関要件の厳格化等の見直し
を行うととともに、新たな財源が必要となるのであれば、子供達や若者に

オーストラリアの HECS(高等教育拠出金制度)は、学生が、在学中は授業料を納付せず、卒
業後、所得に応じて源泉徴収により授業料相当額を納付する制度で、平成元年(1989 年)に導
入された。
92 英国においては、平成 10 年(1998 年)の大学授業料の導入以降、平成 18 年(2006 年)
、平
成 20 年(2008 年)に授業料を年間 9,000£まで引き上げ、授業料収入の増加にあわせ、教育
用の運営費交付金を減額している。
93 英国では、平成 28 年度(2016 年度)に、納税者に彼ら自身より稼ぐ可能性のある人々の給付
金を支払わせることは不公平だとして、低所得者向けの生活費給付金(給付型奨学金)が廃止
されている。
94 「高校生の進路に関する保護者調査」
(濱中義隆、朴澤泰男(令和元年度(2019 年度))の概
要によれば、学費・生活費を親が出すのが当然だと考える保護者の割合は、全世帯で 79%、収
入 400 万円未満の低所得世帯でも 74%となっている。
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