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歴史の転換点における財政運営 (22 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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る不安を解消していく取組が急務である23。〔資料Ⅰ-3-5参照〕
(2)求められる政策
我が国の経済成長のためには、いわば「カネ」と「ひと」の目詰まり状
態とも言える状況を解消し、現状維持志向を乗り越え、企業と個人の行動
変容や適切な新陳代謝を実現するための具体的政策が求められている。
昨年 12 月の当審議会の建議において、ケインズが経済成長の主役であ
る民間企業に不可欠なものとして「アニマル・スピリット」24を挙げてい
たことを指摘した。国際競争が一層厳しくなる中で、これまで以上に現状
を変革する「アニマル・スピリット」が重要となる。
現在も、巨額の補正予算、その中でも研究開発や企業投資などのための
基金からの支出が続いているが、個々の歳出や税制について、こうした企
業や個人の行動変容など、目指すべき効果が実現できているか定量的に
検証し、効果の高い歳出に重点化することは当然である。
「持続的な経済成長の実現に資するため、消費や設備投資の喚起など
民間需要やイノベーションの誘発効果が高い施策に重点化」する。こうし
たことを盛り込んだ決定は近年政府が繰り返し行ってきたところである
が、内外の環境が急速に変化する今、財政制約に直面する可能性も念頭に、
いよいよこれを真剣に実現すべき時が来ている。
〔資料Ⅰ-3-6参照〕
さらに、企業や個人の行動変容を促すためには、財政支出や税制より規

「日本経済 2018-2019 -景気回復の持続性と今後の課題-」
(内閣府(平成 31 年(2019
年)1月 25 日)
)では、今後の消費の活性化に向け、「将来の不確実性を下げ、社会保障に対す
る不安を払拭していくことが重要となる」としている。
24 ジョン・メイナード・ケインズ著『雇用・利子および貨幣の一般理論』
(塩野谷祐一訳 東洋
経済新報社)第 12 章に「十分な結果を引き出すためには将来の長期間を要するような、なにか
積極的なことをしようとするわれわれの決意のおそらく大部分は、血気―不活動よりもむしろ
活動を欲する自生的衝動―の結果としてのみ行われるものであって、数量的確率を乗じた数量
的利益の加重平均の結果として行われるものではない。
(中略)もし血気が鈍り、自生的な楽観
が挫け、数学的期待値以外にわれわれの頼るべきものがなくなれば、企業は衰え、死滅するで
あろう」と記載されている。原文:
“Most, probably, of our decisions to do something
positive, the full consequences of which will be drawn out over many days to come, can only
be taken as the result of animal spirits—a spontaneous urge to action rather than inaction,
and not as the outcome of a weighted average of quantitative benefits multiplied by
quantitative probabilities”,“if the animal spirits are dimmed and the spontaneous
optimism falters, leaving us to depend on nothing but a mathematical expectation,
enterprise will fade and die”

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