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歴史の転換点における財政運営 (119 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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済・金融・財政の在り方」や、
「緊迫化する安全保障環境に真に応じた防
衛態勢、研究開発、防衛産業の在り方」といった根本的な論点について、
「三文書」の見直しに向けて正面から議論しなければならない。
(1)有事に備え、かつ、抑止するための経済・金融・財政の在り方
我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を乗り切るためには平時からの
十分な備えが必要となる。しかも、その環境の解消時期を予測することは
困難であり、長期化することも十分に想定される。安全保障を確保するた
めに、長期にわたって継続する支出を暫定的な手段によって裏付けなく
賄い続ければ、財政面での不安定性を増長させながら有事への備えを進
ぜいじゃく

めることとなり、結果として防衛力そのものを損ねる 脆 弱 性につながり
かねない。
欧州では、NATO は国防費の対 GDP 比2%目標を平成 26 年(2014
年)に発表し、加盟国は国防力強化を図ってきた。同時に、加盟国は健全
な財政運営を両立させ、財政余力を培ってきた。さらに、近時のロシアに
よるウクライナ侵略によって、欧州諸国は域内に戦場を抱えることとな
り、国防費の増額を表明する国が出ている。こうした国々が国防費増額を
可能とした背景には、平時において財政余力を確保してきた事実がある。
さらに、国防費増額と併せて歳入についても議論している国122がある点を
見落としてはならない。このように防衛力の裏付けとして、それを支える
財政基盤が不可欠である123。〔資料Ⅱ-7-4参照〕
また、実際に有事が発生した場合に、防衛力を十分に発揮するためには、
その大前提として国民社会・経済・金融面での安定が不可欠である。特に、
貿易や対外投資で依存度の高い周辺国と有事が発生した場合には、戦略

ドイツは、NATO による国防費の対 GDP 比2%目標が掲げられた 2014 年以降、新型コロナ
対応が生じるまでの間、国防費の増額と財政収支の黒字を両立していた。その上で、今般のウ
クライナ侵略を受け、国防費の対 GDP 比2%の達成を表明した際には、2022 年予算から
1,000 億ユーロ(約 13 兆円)の特別基金を新規借入によって設立する方針を公表しつつ、その
償還方法は、別途法律で定めると明示している。また、スウェーデン(EU 加盟、NATO 非加
盟(令和4年(2022 年)5月 25 日時点))は、今般のウクライナ侵略以前において、国防費の
増額と同時にたばこ税・酒税の引上げ等の措置を発表している。
123 中長期の視点で歳出の在り方を議論するには、我が国が他国と比べて急速に生産年齢人口の
減少が進むという今後の人口動態を考慮することが必要。
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