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歴史の転換点における財政運営 (40 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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後、コロナ対応以上に重たい課題が残されていると言える。以下、社会保
障全体を俯瞰して、受益(給付)と負担の在り方や全世代型社会保障の構
築の必要性について述べる。
我が国の社会保障制度は、高齢や疾病等によるリスクを分かち合い支
えあうとの考え方の下、受益(給付)と負担の対応関係が本来明確な社会
保険方式を基本としている。しかし、後期高齢者医療・介護給付費の5割
を公費で賄うなど、現実には公費負担に相当程度依存している。特に近年、
公費の比重の大きい後期高齢者医療・介護給付費の増加に伴い、公費負担
への依存度が上昇している。本来税財源により賄われるべき公費の財源
について特例公債を通じて将来世代へ負担が先送りされているため、負
担増を伴わないままに受益(給付)が先行する形となっており、受益(給
付)と負担の対応関係が断ち切られている。負担の水準の変化をシグナル
と捉えて受益(給付)の水準をチェックする牽制作用を期待できないまま、
受益(給付)の膨張が続いており、これが我が国の財政悪化の最大の要因
となっている。〔資料Ⅱ-1-22 参照〕
OECD 諸国との比較で見ても、我が国社会保障の現状は、受益(給付)
と負担のバランスが不均衡の「中福祉、低負担」と言うべき状況にある。
今後、高齢化に伴い一人当たり医療費や要支援・要介護認定率が上昇する
と、支え手を増やし成長への取組を行ってもなお、この不均衡は更に拡大
すると見込まれる。制度の持続可能性を確保するための改革は、急務であ
る。〔資料Ⅱ-1-23 参照〕
社会保障制度の受益(給付)と負担の不均衡を是正する取組としては、
受益(給付)と負担の両面の改革が求められる。負担面からの取組として
は、
「社会保障と税の一体改革」の下で消費税率が令和元年(2019 年) 10
月に 10%に引き上げられた。もっとも、これまでも当審議会で指摘して
きたとおり、この消費税率の引上げは、財政と社会保障制度の持続可能性
の確保に向けた長い道のりの一里塚に過ぎず、今後とも必要な財源の確
保に向けて検討する必要がある。受益(給付)面では、近年、歳出の規律
として、社会保障関係費について実質的な増加を「高齢化による増加分」
に相当する伸びにおさめる努力が続けられている。令和4年度(2022 年
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