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歴史の転換点における財政運営 (25 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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上の一般会計による支援が行われてきた。このうち4兆円を措置した雇
用調整助成金の特例措置等については、失業率が 3.1%までの上昇に抑制
されたことに寄与した点は評価できる。その一方で人手不足・成長分野等
への労働移動の阻害、労働者のモチベーションや能力の低下、将来の事業
主負担増といった懸念もある。
全ての国民に一律 10 万円が給付された特別定額給付金については、低
所得者や新型コロナの影響が大きかった世帯の所得・消費を下支えした
一方、家計の消費と貯蓄の状況を経済全体でみると令和2年度(2020 年
度)に貯蓄が増加することにつながった。
地方創生臨時交付金については、これまでの合計で 15 兆円が措置され
てきた。そのうち協力要請推進枠等(9兆円)は、時短要請等に協力する
飲食店の経営の維持に貢献してきたものの、状況に応じてその在り方に
ついて適切に見直していくべきとの声もある。また、地方単独事業分の地
方創生臨時交付金(5兆円)については、概して小規模地方公共団体ほど
手厚く配分され、結果として一般財源が節約され、危機時にもかかわらず、
基金の増加につながった可能性がある。
さらに、中小企業をはじめとした事業者支援については、持続化給付金
や実質無担保・無利子融資をはじめとする各種支援策29により、新型コロ
ナの影響にもかかわらず、昨年の倒産件数は 6,030 件と、過去の好況期
と比較しても低い水準となった。新型コロナの影響を受けた中小企業等
の事業継続を支える上で意義があったとも考えられるものの、新陳代謝
を過度に抑制することがないよう見直していくべきである。
現在も、こうした新型コロナ対応の予算の執行は続いている。新型コロ
ナウイルス感染症対策予備費によるものも含めこれらの予算が多額の支
出に見合う成果を挙げられたのか、検証を続け、
「正常化」に向けた今後
の政策対応や、将来の危機対応にいかしていくべきである。

当初予算及び補正予算を合わせた中小企業対策費の規模は、令和2年度(2020 年度)は 27.7
兆円、令和3年度(2021 年度)は 4.2 兆円と、リーマンショックや東日本大震災時の規模を大
きく上回っている。内容については、参考資料「Ⅱ-6-1」を参照。
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