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歴史の転換点における財政運営 (14 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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可能な準備を行わなければならない。危機においても我が国が円滑に資
金調達できるよう、財政の対応余力を持っておく必要性がこれまで以上
に高まっている。
こうした情勢変化の中で、経済・財政の「正常化」のために我々に残さ
れた時間は一層少なくなっている。やるべきことを先送りせず、
「正常化」
に向けた取組を加速させていく必要がある。
我が国の債務残高が累増する最大の要因は、社会保障をはじめとする
受益(給付)と負担のアンバランスである。こうした事実から目を背ける
ことなく、まず達成すべき 2025 年度のプライマリーバランス4黒字化な
どの財政健全化目標を堅持し、危機に対応できる余力を持った持続可能
な財政構造の確立に向けて、歳出・歳入両面の改革を着実に進めていかな
ければならない。
(2)世界的な物価・金利の局面変化
戦後の内外の物価と金利の動きをたどると、1990 年(平成2年)頃の
冷戦終結を境に大きく流れが変わった。それ以前は、東西冷戦の中で、世
界のサプライチェーンは統合されておらず、また、2度の石油ショックを
はじめ、紛争による資源価格の高騰などにより、インフレ率は比較的高く
推移したが、1990 年代以降は、旧東側諸国や発展途上国に生産の拠点が
広がり、マーケットの統合が進んだこともあって、物価がかつてよりも上
がりにくい構造が続いてきた。さらに金融危機などに対応して、中央銀行
による積極的な国債等の購入を含めた金融緩和措置がとられ、2010 年代
以降、主要国を中心に、特に金利が低く抑えられてきた。いわば「物価上
昇ゼロ、金利ゼロ」の世界が続いてきたと言える。
〔資料Ⅰ-1-2参照〕
しかし、令和2年(2020 年)に新型コロナが発生し、その回復過程で
需要に対する供給不足が発生した。さらに今般のロシアによるウクライ

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プライマリーバランスとは、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれ
だけ賄えているかを示す指標。税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いに
充てられる費用)を除く歳出との収支のことを表す。プライマリーバランスが均衡していれ
ば、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等で賄うことができていることと
なる(ただし債務残高の実額は利払費の分だけ増加する。


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