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歴史の転換点における財政運営 (122 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
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の主要国と遜色ない水準128で推移してきた中、令和4年度予算(契約ベー
ス129)では、2,911 億円(対前年度比+796 億円)と、これまでを大きく
上回る過去最大の金額を計上している。
一般に、防衛装備品は、既存のものであっても契約、製造、取得、配備、
訓練といった過程を2~5年程度かけるなど、実戦向けに使用可能とな
るまでに多大な期間を要する特性を持つ。その上、研究開発から開始する
場合は、量産取得段階や運用段階までのリードタイムが一層長くなり、ス
ケジュール・成果・コストの観点からリスクが大きいため、これに優先的
に資源投入できるかは、その国を取り巻く安全保障環境を踏まえたリス
ク許容度によるところも大きい。例えば、米国では、冷戦終結以降、国防
費に占める研究開発費の割合が高くなっているが、目前の脅威への対処
が求められていた冷戦期では、研究開発よりも装備品調達を優先させて
いた。我が国においても、これまでにない安全保障環境の緊迫化を踏まえ
れば、いつ・どのような成果が得られるか等、具体的な事業内容を検証す
ることは当然として、さらに、緊要性・優先度の観点から足もとの財源の
振分けが適切か、見直す必要があるのではないか。
〔資料Ⅱ-7-9参照〕
また、効果の発現を念頭においた研究開発の在り方も検討する必要が
ある。防衛関係の研究開発は、防衛装備品の生産・技術基盤の確保という
効果がある一方で、それ以外への波及効果を見ると、民生技術への転用に
ついては、実績上、これまで限定的な範囲にとどまっている130。このほか、
海外市場への防衛装備品移転という効果もあるが、現状では、ほとんど実
績がない131。海外市場への移転に係る効果の高い国として、イタリアやス
ウェーデンの実態をみると、国費としての研究開発費は約 80 億円と少額
であるものの、企業自身が自らの強みのある領域を明確化した上で 10 倍

128

日本の防衛関係の研究開発費を上回る水準を維持している国は、米国、フランスなどに限ら
れる。
129 一般物件費と新規後年度負担の合計額。
しょうかい

防衛技術の民間転用契約の実績は、P-1 哨 戒機用 F7 エンジンに係るもの(平成 28 年(2016
年)
)に限られる。また、経済安全保障の観点から、機微技術の情報保全に向けた取組も進んで
おり、防衛関連のものは厳格な管理対象となる見込みである。
131 完成装備品の移転実績は、フィリピンへの防空レーダーに係るもの(令和2年(2020 年)

のみである。
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