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資料1‐2 令和6年度 業務実績概要説明資料 (10 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59633.html
出典情報 厚生労働省国立研究開発法人等審議会 高度専門医療研究評価部会(第39回 8/5)《厚生労働省》
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2.日本人のアルツハイマー病の進展に関わる遺伝子群の同定
と新規レビー小体型認知症発症リスク遺伝子変異の同定









アルツハイマー病(AD)患者、認知機能障害(MCI)者、認知機
能正常高齢者(CN)の網羅的な遺伝子発現データを解析。
認知機能の低下段階(CN→MCI→AD)に応じて、変動する遺伝
子セット(機能モジュール)が異なることを発見。

(1)

ADの進行段階に応じて関与する遺伝子群が異なることを発見



当センターバイオバンクに登録されている日本人AD患者424名、
MCI者543名、CN者260名の遺伝子発現データ解析からAD進
行に関わる遺伝子群を網羅的に調べた。
CNからMCIへの移行ではリボソーム関連遺伝子が、MCIから
ADへの移行では免疫関連遺伝子、細胞周期関連遺伝子、タンパ
ク質プロセシング関連遺伝子が、主に発現変動していた。
ADの発症・進行に関わる分子メカニズムの解明に貢献する知見。









レビー小体型認知症(DLB)の全ゲノムシークエンス解析から、DLB
発症に関連する遺伝子変異(CDH233変異)を同定。
東アジア人特異的な変異で、主観的聴覚障害との関連を示す。
CDH23変異保因者は聴覚障害を合併してDLBに進展。

(2)







評価項目1-1
担当領域の特性を踏まえた戦略的
かつ重点的な研究・開発の推進

新規DLB遺伝子変異(CDH23変異)の同定
当センターバイオバンクに登録されている日本人DLB患者45名と
CN者1,699名の全ゲノムシークエンス解析から網羅的にDLB発症に
関連する遺伝子内のバリアントを調べた。
CDH23遺伝子にある3つのミスセンス変異(アミノ酸置換が伴う変
異)がDLB発症と関連することが見出された。
これらの変異は東アジア人以外ではほとんど確認されない。
遺伝子型数

SNP番号
(ミスセンス変異)

CN

オッズ比
(95%信頼区間)

DLB

P値

rs181275139

0/2/43

0/8/1611

9.01 (1.79-45.49)

0.0078

rs563688802

0/2/43

0/8/1611

8.67 (1.54-48.85)

0.014

rs137937502

0/4/41

1/19/1599

5.86 (1.99-17.31)

0.0014

DLB患者においてCDH23変異と主観的聴覚障害が関連を示した。
CDH23変異は聴覚障害を通してDLB発症に関わっている可能性が示
唆されました。
グループ

CDH23変異

DLB集団
DLB以外
の集団

主観的聴覚障害

P値







7

0

0.04





20
3
124

14
6
140

0.88

本研究成果は、神経科学分野の国際専門誌『npg Aging』に掲載。
緑はCNとMCI間、赤紫はMCIとAD間で発現変動していた遺伝子群を示し
ている。矢印は左側がCNとMCI間、右側がMCIとAD間の遺伝子発現量の
変化を表しており、青は減少、赤が上昇、黄色が変化なしを表している。
本研究成果は、自然科学分野の国際専門誌『Sci Rep』に掲載。

⚫ 当センターの保有するゲノム情報資源から、新たな日本人特有の認知症
発症リスク遺伝子変異を発見。疾患研究には、人種・民族のゲノム解析
が重要であることを示している。
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