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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (98 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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性大動脈瘤(dissecting aneurysm)」という名称は、急性期から慢性期にか
けて瘤形成を認めた場合に使用される。他の原因による大動脈瘤は、成因を
区分するために非解離性と記載されることもある。
イ 成因
大動脈解離は、大動脈中膜の筋・弾性組織の障害(弾性板の断裂、線維化、
嚢状中膜壊死、中膜壊死)による脆弱性が原因となる。
若年(50 歳未満)の例では遺伝性を考える。マルハン症候群(細胞外マト
リックス蛋白遺伝子 FBN1 異常)、Loeys-Dietz 症候群(TGF-βシグナル伝達遺
伝子 TGFBR1,2 異常、血管平滑筋収縮構成 ACTA2 遺伝子異常、大動脈二尖弁関
連遺伝子異常)が明らかにされている。家族性に大動脈拡張を呈する例では、
遺伝子異常が不明な例も多い。また、妊娠中の女性にも発症する。
後天的には、慢性の高血圧、閉塞型睡眠時無呼吸、炎症性大動脈疾患(大
動脈炎症候群等)、大動脈粥状硬化等が関与する。また、交通事故等の外傷、
医原性(カテーテル操作あるいは心臓外科手術等)によっても起こる。
解離発症の引き金は、壁への血行力学的ストレスであり、解離の準備状態
(前臨床段階)から種々の要因が関与して発症に至る。大動脈解離の発症は、
冬場に多く、夏場に少ない。また、時間的には活動時間帯である日中の発症
頻度が高く、特に6~12 時に多い。
大動脈解離の発症様式は、大動脈拡張がなく内膜の裂孔(エントリー)か
ら壁内に血液が流入して発症する場合と、大動脈拡張が進行して裂孔ができ
る(あるいは大動脈破裂に至る)場合がある。裂孔は大動脈のあらゆる部位
に生じる可能性がある。好発部位は、壁への力学的ストレスの高い、上行大
動脈近位部(上下動している大動脈基部から2cm 程度の部位)、大動脈の固定
部位である腕頭動脈分岐部及び大動脈峡部(左鎖骨下動脈起始部直下)であ
る。
解離は、エントリーから遠位部へ進展し(順行性)別の内膜破綻部で大動
脈腔(真腔)と再交通(リエントリー)する。また、通常の血流方向とは逆
方向に偽腔が進展し(逆行性)、リエントリーせずに偽腔内に血栓形成を認め
る例もある。
ウ 病型分類
欧米の病型分類では、大動脈壁の偽腔の血栓形成と血流の状態から偽腔閉
塞型(偽腔に血流がない型をいい、さらにエントリーがあるとないものに区
分される)、偽腔開存型(偽腔に血流がある型をいい、さらに偽腔内の血栓が
ないもの、部分的にあるもの、全体にあるものに区分される)を古典的大動
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