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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (107 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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がみられなかったと報告している。
さらに、日本人一般住民 7,901 例を 2.7 年間追跡した研究でも、hs-CRP
濃度高値群は低値群に比し脳梗塞発症率が有意に高いことが報告されて
いる。
hs-CRP にはすでに確立された測定系が存在するが、健常人でわが国で
は欧米に比しその濃度が半値以下であることに留意する必要がある。
hs-CRP をはじめとした炎症マーカーは、画像評価と組み合わせるとさ
らにその有用性が高まることが報告されている。Cardiovascular health
Study で、5,020 例を 12 年間追跡したところ、CRP 高値群は低値群に比し
脳卒中のリスクを 1.26 倍有意に高めていたが、頚動脈硬化が進展してい
ない例では hs-CRP と血管イベントの関連は認めないが、頚動脈硬化が進
展した例では hs-CRP 濃度高値群で血管イベントリスクが有意に高まり、
脳卒中リスクについても同様な傾向がみられたと報告している。
脳 MRI を撮像した日本人高血圧患者 514 例を 41 か月追跡した検討では、
無症候性脳梗塞の存在、hs-CRP 高値はともに将来の脳卒中リスクを高め
ていたが、無症候性脳梗塞を有し hs-CRP 濃度高値群は脳卒中発症リスク
が有意に高いことが報告された。これらの知見は、hs-CRP 濃度測定は、
アテローム血栓症リスクの高い患者でリスク層別化に有用であることを
示唆している。
(ク) 睡眠時無呼吸症候群103
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要な指標となる習慣性いびきが脳梗塞
の独立した危険因子であることが報告されている。
急性期脳梗塞患者 181 例と健常者 181 例での患者対照研究では、SAS の
随伴症状である過剰な日中の眠気が脳卒中(OR3.07、95%CI:1.65-6.08)
に関連することも報告されている。
閉塞性無呼吸を有する 697 人の前向き調査では、脳卒中あるいは死亡
が起こる危険は、年齢、性、人種、喫煙、飲酒、 body mass index(BMI)
及び糖尿病、脂質異常症、心房細動、高血圧の有無を調整した場合は、
HR1.97(95%CI:1.12-3.48)であると報告されている。
また、70 歳以上の高齢者 810 人の前向き調査によれば無呼吸指数が 30
以上の重症の閉塞性無呼吸では、脳梗塞発症は HR2.52(95%CI:1.04-6.01)
であると報告されている。
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日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2019 対応]. 協和企画. 2019; 42

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