資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (54 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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O'Reilly ら
27
は、北アイルランドの週 35 時間以上働く労働者 414,949
人(男性 270,011 人、女性 144,938 人)を 2001 年から 8.7 年間追跡した
コホート研究において、週の労働時間が 35~40 時間(対照群)、41~48
時間、49~54 時間、55 時間以上の群で比較した。職業階層を考慮しない
男女別の分析では、いずれの労働時間も、総死亡リスクとの有意な関連
はみられなかったが、職業階層(管理職、中間職、自営業、単純労働職)
別の分析では、週 55 時間以上労働の男性・単純労働職について、対照群
と 比 較 し て 、 総 死 亡 ( HR1.31 、 95%CI:1.11-1.55 )、 全 心 血 管 疾 患
(HR1.49、95%CI:1.10-2.00)虚血性心疾患(HR1.53、95%CI:1.08-2.17)、
脳血管疾患(HR2.65、95%CI:1.28-5.50)の死亡リスクが有意に高かった
としている。
Kivimäki ら 28 は、前記 O'Reilly の研究を含め、冠動脈性心疾患に関す
る 22 件の研究(対象者計 598,470 人)及び脳血管疾患に関する 14 件の研
究(対象者計 520,925 人)についてメタアナリシスを行い、発症の相対
リスクを週の労働時間が 35-40 時間(対照群)と 55 時間以上の群で比較
した。その結果、週の労働時間が 55 時間以上の群は、対照群と比較して、
冠動脈性心疾患(RR1.13、95%CI:1.02-1.26、図4-3)、脳血管疾患
(RR1.33、95%CI:1.11-1.61、図4-4)の発症リスクが有意に高かった
としている。ただし、分析対象とした研究のうち冠動脈性心疾患に関す
る 17 研究、脳血管疾患に関する 13 研究は、労働時間に関する研究とし
ては公開されていないものを Kivimäki らが各研究者にデータ提供を依頼
して分析を行ったものである。しかしながら、そのうち冠動脈性心疾患
に関する7研究、脳血管疾患に関する6研究については、その研究の質
は高くないとの記述がある35。
32
Hayashi R, et al. Working hours and risk of acute myocardial infarction and stroke among middle-aged
Japanese men. Circ J. 2019; 83: 1072-1079
33
Li J, et al. The effect of exposure to long working hours on ischaemic heart disease: A systematic review and
meta-analysis from the WHO/ILO Joint Estimates of the Work-related Burden of Disease and Injury. Environ Int.
2020; 142: 105739
34
Descatha A, et al. The effect of exposure to long working hours on stroke: A systematic review and metaanalysis from the WHO/ILO Joint Estimates of the Work-related Burden of Disease and Injury. Environ Int. 2020;
142: 105746
35
Kivimäki M, et al. Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke: a systematic review and
meta-analysis of published and unpublished data for 603 838 individuals. Lancet. 2015; 386: 1739-1746.
Supplementary appendix: 7
44