資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (103 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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Kadota ら(2008)92は、日本人 8,037 人(男性 3,586 人、女性 4,451 人)
を対象としたコホート研究において、脳卒中家族歴と脳卒中死亡リスク
との関連は認められなかった(男性 HR0.73、95%CI:0.47-1.15、女性
HR1.32、95%CI:0.85-2.04)が、60 歳以上の男性及び 60 歳未満の女性に
ついて,高血圧家族歴と脳卒中死亡リスクとの有意な関連が認められた
(それぞれ、HR1.52、95%CI:1.02-2.27、HR3.06、95%CI:1.37-6.86)と
している。
イ
是正可能な危険因子
(ア) 高血圧93
高血圧は、脳出血、くも膜下出血及び脳梗塞に共通の最大の危険因子
である。
血圧値と脳卒中(脳出血、くも膜下出血及び脳梗塞)発症率との関係
は直線的な正の相関関係にあり、血圧が高いほど脳卒中の発症率は高く
なる。したがって、高血圧治療は脳卒中の予防に極めて有効である。
14 件の降圧薬の介入試験をメタアナリシスにより解析した成績によれ
ば、3~5年間の5~6mmHg の拡張期血圧の下降により脳卒中の発症率
は 42%減少する。
同様 に、 高血 圧 患 者 を含む、 すべての 降 圧治療 に 関 する 68 件の
randomized controlled trial(RCT)のメタアナリシスでは、冠動脈イ
ベント、心血管イベントよりも脳卒中の発症率は 36%減少する。また、
高齢者の収縮期高血圧の治療により脳卒中の発症率は 30%減少する。
(イ) 糖尿病94
糖尿病は脳梗塞の確立された危険因子である。
最近のメタアナリシスでは、糖尿病は脳梗塞の発症リスクを 2.27 倍高
めるのみならず、出血性脳卒中のリスクも 1.56 倍に高めることが示され
た。
2型糖尿病では血糖のコントロールにより細小血管症(網膜症、腎症、
末梢神経障害)は減少する。一方、Action to Control Cardiovascular
Risk in Diabetes(ACCORD)試験では HbA1c(ヘモグロビン A1c)を
92
Kadota A, et al. NIPPON DATA80 Research Group. Relationships between family histories of stroke and of
hypertension and stroke mortality: NIPPON DATA80, 1980-1999. Hypertens Res, 2008; 31: 1525-31
93
日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2019 対応]. 協和企画. 2019; 25
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日本脳卒中学会. 脳卒中治療ガイドライン 2015[追補 2019 対応]. 協和企画. 2019; 28
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