資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (58 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
業務において、労働時間の長さは疲労の蓄積をもたらす最も重要な要
因と考えられる。本検討会は、長時間労働が脳・心臓疾患に影響を及ぼ
す理由として、①長時間労働のため睡眠時間が不足すること、②長時間
労働のため睡眠以外の休憩・休息や余暇活動の時間が不足し制限され、
かつ、生活習慣に悪影響があること、③長時間にわたり業務を遂行しな
ければならないこと自体が直接的な負荷要因となること、④就労態様に
よる負荷要因(心理的負荷、身体的負荷等を含む。)へのばく露時間が長
くなることなどがあると判断する。この整理は、平成 13 年検討会におけ
る整理と基本的に同一のものである。
これらの理由は、労働者の1日の生活時間のうち、①・②の労働時間
以外の時間の在り方に関するものと、③・④の労働時間そのものの在り
方に関するものとに区分されるが、生活時間は 24 時間であってこれらは
表裏一体の関係にあり、また、相互に関わりながら生体に影響を与える
ものであるので、④に関連する労働時間以外の負荷要因の内容(就労態
様)も含め、全体を総合的に考慮する必要がある。
そのなかでも、疲労の蓄積をもたらす要因として睡眠不足は深く関わ
っているといえ、本検討会は、現時点の疫学調査の結果を踏まえても、
引き続き、1日5~6時間程度の睡眠が確保できない状態が継続してい
た場合には、そのような短時間睡眠となる長時間労働(業務)と発症と
の関連性が強いと評価できるものと判断する。これは、前記(イ)(41 頁)
の睡眠時間と脳・心臓疾患の発症等との関係についての疫学調査の結果
だけでなく、前記(ウ)(43 頁)の労働時間と脳・心臓疾患の発症等との関
係についての疫学調査の結果も一部重なる部分となる。
前記(エ)(47 頁)のとおり、1日6時間程度の睡眠が確保できない状態
が1か月継続した場合としては、おおむね 80 時間を超える時間外労働が
想定され、1日5時間程度の睡眠が確保できない状態が1か月継続した
場合としては、おおむね 100 時間を超える時間外労働が想定される。
また、現時点の疫学調査の結果を全体としてみると、前記(イ)のとおり、
1日の睡眠時間7時間ないし7~8時間の群を対照群として、それより
も睡眠が短い群も長い群も脳・心臓疾患のリスクが高くなる傾向がある
といえる。これを踏まえ、本検討会は、引き続き、その日の疲労がその
日の睡眠等で回復できる状態であったかどうかは、1日7~8時間程度
の睡眠ないしそれに相当する休息が確保できていたかどうかという視点
48