資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (144 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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調査期間
(発症前)
負荷要因
1
交替制勤務(夜
勤等)
2
交替制勤務、深
夜勤務
3
交替制勤務(夕
方、夜間、ロー 調査対象者の
テーション、混 勤務形態
合型、不規則)
4
睡眠障害
交替制勤務
深夜勤務
業務上のストレ
ス
5
交替制勤務
6
調査対象者の
勤務形態
交替制勤務に
よる睡眠と概日 リズムのかく乱
7
精神的ストレス
夜間勤務
長時間労働
仕事要求度
8
交替制勤務
長時間勤務
警察業務特有
の職場ストレス 発症時の職業
に起因する過
度の飲酒、生活
様式の歪み
観察期間
-
疾病
調査対象
調査方法
睡眠障害、がん、代謝
系・内分泌系の疾患(糖
PubMed(MEDLINE)の検索結果30件
尿病、肥満等)、生殖へ
総説
のシステマティックレビュー例
の影響、心血管疾患、
消化器疾患等
調整因子
結果
有意性
著者名
タイトル
-
メタ解析の結果、交替制勤務と各疾病への相対危険度は、
がん(1.48、95%CI: 1.36-1.61)、内分泌不順(1.12、95%CI:
1.06-1.19)、不妊(1.31、95%CI: 1.16-1.47)、虚血性心疾患
(1.48、95%CI: 1.36-1.61)であった。
交代勤務と健康との関連 レ
虚血性心疾患あ Itani O & ビュー
り
Kaneita Y (The association between shift
work and health: a review)
-
大規模疫学研究JACC Studyからは、男性労働者17,649人を
10年間フォローアップした結果、日勤者と比較して仕事の時
間が昼夜決まっていない交替制勤務者では虚血性心疾患等 虚血性心疾患あ
久保達彦 交替制勤務者の健康管理
による死亡リスクが2.32倍(95%CI: 1.37-3.95)と有意に増加 り
していたと報告されている(Fujino Y.Am J Epidemiol.
2006,164:128-135.)。
書誌情報
Sleep Biol
Rhythms. 2016;
14: 231-239
産業医学レ
ビュー. 2016;
29: 17-39
虚血性心疾患等
交替制勤務(深夜勤務含む)と健康被
文献レビュー
害に関する文献レビュー
血管系疾患
交替制勤務と血管系疾患との関係を システマティック
調べた研究34件を抽出し、合計
レビュー、メタア 2,011,935人のデータ
ナリシス
交替制勤務者の疾患別の罹患率を通常の昼時間帯の勤務
者と比較した結果、心筋梗塞の相対危険度は1.23(95%CI:
1.15-1.31)、脳卒中は1.05(95%CI: 1.01-1.09)であった。 夕 心筋梗塞、冠動
方勤務を除くすべての交替制勤務パターン(不規則、混在、 脈系疾患あり
夜勤のみ、ローテーション)は、冠動脈系疾患の増加と有意
な関連があった。
Shift work and vascular events
Vyas MV,
BMJ. 2012; 345:
:systematic review and metaet al
e4800
analysis
-
脳・心臓疾患
近年のシステマティックレビュー及びメ
総説
タ解析
交替制勤務・深夜勤務に従事することにより心血管疾患リス
クが高いことが指摘されており、34件の観察研究を用いてメ
上記No.3のレ
タ解析を行った結果、交替制勤務者では心筋梗塞のリスクが
ビュー
1.23倍(95%CI: 1.15-1.31)、虚血性脳梗塞のリスクが1.05倍
(95%CI: 1.01-1.09)であった(Vyas MV, et al. 2012)。
過労死等防止対策の歴史とこ
茅嶋康太 れから これまでに蓄積された
郎ら
過重労働と健康障害等との関
連性に関する知見
産業医学レ
ビュー. 2017;
29: 163-187
-
心血管疾患(CVD)
交替制勤務と心血管疾患(CVD)の有
システマティック
病率、死亡率との関係を調べた17件
レビュー
の研究を対象
17件の研究では、交替制勤務によるCVDのORは0.4-3.6と幅
があるが、多くの大規模研究の平均的なORは約1.4である。 心血管疾患あり
方法論的に最も妥当性が高い研究例でもOR1.4であった。
Bøggild H
&
Shift work, risk factors and
Knutsson cardiovascular disease
A
Scand J Work
Environ Health.
2001; 25: 85-99
交替制勤務が健康に与える有害な影
総説
響について最近の研究を総括
-
交替制勤務と疾患の関係については、冠動脈心疾患が最も
研究が多く、交替制勤務によるリスク増加が示されている。
高血圧も交替制勤務との有意な関係が示されているが、脳
血管疾患に関する証拠は限られている。虚血性心疾患につ 冠動脈心疾患、
いても、約7万人の女性看護師のコホート研究により、リスク 高血圧、虚血性
が増加することが報告されている。交替制勤務による睡眠と 心疾患あり
概日リズムは神経行動学的な機能不全を引き起こし、これが
通常とは異なる勤務時間中の怪我、作業能率低下等につな
がることが考えられる。
Sleep and
Takahash Assisting shift workers through Biological
iM
sleep and circadian research
Rhythms. 2014;
12: 85-95
-
脳卒中及び虚血性心疾患による死亡の相対危険度が有意
に高い職業は、以下であった。
脳卒中:サービス業(4.56)、経営者(2.93)農業・漁業(2.75)、
建設・採鉱(1.94)、電気・ガス(4.90)、輸送(1.78)、専門・エン
ジニアリング(1.68)。
虚血性心疾患:サービス業(3.72)、経営者(2.68)農業・漁業
(2.55)、建設・採鉱(1.40)、電気・ガス(4.30)輸送(1.65)、専
門・エンジニアリング(1.67)。
-
-
-
死亡届記載の
産業・職業(人
口動態産業・職
業調査の分析)
1996年4月から
2011年9月まで
(当該期間の発
症者及び年齢・
階級が相当す
る対照群を調
査)
冠動脈心疾患、高血
圧、脳血管疾患、虚血
性心疾患、機能不全
厚生労働省が保持する男性労働者約
2,300万人(25-59歳)のデータ
サービス業(135万人)
経営者(66万人)
脳卒中、虚血性心疾患 農業・漁業(54万人)
横断研究
建築・採鉱業(195万人)
電気・ガス業(21万人)
輸送業(146万人)
専門・エンジニアリング(373万人)
-
脳卒中及び虚血
性心疾患による Wada K,
死亡あり(職業
et al
別)
Differences in stroke and
ischemic heart disease
mortality by occupation and
industry among
警察官においても高血圧、耐糖機能障害、高LDL-C血症、
高LDLコレステロール血症等の既知の危険因子が虚血性心
疾患の発症と関連していた。一般職員と比較し、警察官では
肥満、メタボリック
警察官における虚血性心疾患
年齢階層の上昇に伴う肥満の有病率又はメタボリック症候群
塩崎万起
症候群あり(警察
の危険因子とその背景要因に
による腹部肥満率の増加が顕著だった。警察官におけるメタ
ら
官)
関する検討
ボリック症候群の発症には交替制勤務や長時間勤務等の特
殊な勤務形態、飲酒や睡眠の状態等の生活様式が関係して
いることが示唆された。
日本で虚血性心疾患を発症した警察
官58人と発症歴のない警察官58人を
虚血性心疾患、各種危
比較。
険因子の保有率、メタボ
症例対照研究、
次に警察官1,539人と一般職員153人
リック症候群の有所見
横断研究
を対象に比較。
率
(警察官の交替制勤務者割合は25%
(一般職員は5%))
134
SSM Popul
Health. 2016; 2:
745-749
産業衛生学雑
誌. 2013; 55:
115-124