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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (83 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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圧症の増悪期に高血圧性脳症が出現する場合と、もともと血圧が正常な人に急
性腎炎や妊娠高血圧症候群などで著しい血圧の上昇が起こり高血圧性脳症が出
現する場合とがある。


自然経過、治療、予後
高血圧性脳症は、高血圧緊急症のうち最も重篤なもので、適切な降圧治療を
緊急に行わなければ、脳出血、意識障害、昏睡、死に至る。脳血流の自動調節
能が障害されており、急激で大きな降圧により脳虚血に陥りやすいため、用量
を調節しやすい静注薬で治療を始める。血圧値と神経症状を監視しながら、降
圧速度を調整する57。



虚血性心疾患等

(1)虚血性心疾患等の概要
ア 虚血性心疾患とは
虚血性心疾患とは、血液を供給する導管としての冠動脈の異常(狭窄・閉
塞)によって、心筋の需要に応じた酸素の供給不足が生じ、その結果心筋が
酸素不足(虚血)に陥り、心筋機能が障害される疾患である。虚血性心疾患
の主要な原因は動脈硬化である。
同様な病名の冠動脈疾患は、冠動脈に病変のある場合に使用されるが、必
ずしも心筋虚血による症状や、心筋虚血が証明されることを条件としない。
虚血性心疾患は、心筋虚血により生じた機能的異常に基づいた病名であり、
冠動脈疾患は冠動脈の形態的異常の有無による診断名である。
虚血性心疾患のうち、動脈硬化により形成された不安定プラークが破綻し、
そこに血栓ができることによって冠動脈内腔が急速に狭窄又は閉塞する病態
を急性冠症候群と呼ぶ。急性冠症候群は、不安定狭心症、急性心筋梗塞、虚
血による心臓突然死を含む概念である(後記(2)イ、75 頁参照)。
イ 動脈硬化
動脈硬化とは、血管壁の肥厚、硬化、改築及び機能低下を示した動脈病変
の総称である。病理学的特徴から、粥状硬化(アテローム性動脈硬化)、細動
脈硬化、メンケベルグ型動脈硬化に分類される。粥状硬化は、虚血性心疾患、
胸部・腹部大動脈瘤、脳梗塞などの成因として臨床上重要な病態である。一
般には、動脈硬化といった場合には粥状硬化を意味する。
粥状硬化は、主に大型・中型動脈に生じる限局性の病変で、血管内膜に脂

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日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン 2019. 2019; 170

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