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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (126 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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1 睡眠時間と脳・心臓疾患の発症等に関する文献(疫学調査) (2)心臓疾患に関するもの(55文献)
調査期間
(発病前)

時間

観察期間

疾病

心筋梗塞の発生や
冠動脈性心疾患に
1971年から2007年
平均睡眠時間
よる死亡を含む冠

動脈性心疾患の発


15

6時間以下、7-8時間、
及び9時間以上

16

6時間未満、6-8時間及 日常的な睡眠
び8時間以上
時間

調査対象

調査方法

調整因子

モデル1:年齢と性別
30歳以上の成人のうち、冠
モデル2:モデル1の因子+喫煙状況、
動脈性心疾患の既往がな
週あたりのアルコール摂取量、収縮期
前向きコホート
く、C反応性タンパク質と睡
血圧、総コレステロール値、BMI、及び
研究
眠時間の測定値が欠落し
糖尿病
ていない3,381人
モデル3:モデル2の因子+C反応性タン
パク質

上腕足首脈波速度 台湾の地方病院の医療従
によって評価される 事者576人(平均43歳、女 横断研究
動脈硬化
性85%)

宮城県の大崎保健所が管
轄する地域の国民健康保
健受給者で、1995年にリク
ルートされた40–79歳の
コホート研究
51,253人のうち、49,256人
(男性23,749人、女性
25,507人

17

18

6時間未満、6時間(6時
間以上、7時間未満)、7
時間(7時間以上、8時
通常の睡眠時 平均追跡期間は
間未満)、8時間(8時間

2.3年
以上9時間未満)、9時
間(9時間以上10時間未
満)、10時間以上

性別、5歳ごとの年齢群、教育歴、婚姻
状況、居住地(大都市、地方、または遠
心血管疾患または 241,949人のオーストラリア 前向きコホート 隔地)、アルコール摂取量、喫煙状況、
糖尿病の発症
成人(45歳以上)
研究
健康保険ステータス、世帯の税引前年
間収入、BMI、及び十分な身体活動の有


20

心血管疾患(冠動
短時間睡眠(7時間未
脈性心疾患、高血
満)、標準睡眠時間(7- 平均睡眠時間 2004年から2013年 圧、糖尿病、腎機
8時間)
能障害、脳血管疾
患を含む)

-

全死因、死因別
(心血管疾患、が
ん)

著者名

モデル1による解析の結果、6時間以下の睡眠は冠動
脈性心疾患の発症リスク増加と関連していた
(HR1.42、95%CI: 1.15-1.76)が、9時間以上の睡眠では
有意な関連は見られなかった(HR1.23、95%CI: 0.90- 6時間以下あり Liu J, et
1.70)。モデル2では、6時間以下のHRが1.35(95%CI:
9時間以上なし al
1.09-1.67)、9時間以上が1.14(95%CI: 0.82-1.58)、モ
デル3ではそれぞれ1.29(95%CI: 1.03-1.61)、1.13
(95%CI: 0.81-1.58)であった。

8時間以上の睡眠では、心血管疾患による死亡リスク
との有意な関連が見られた(8時間HR1.21、95%CI:
1.08-1.36、9時間HR1.32、95%CI: 1.15-1.28、10時間以
上HR1.49、95%CI: 1.30-1.71)。6時間以下の睡眠では
年齢、性別、総エネルギー摂取量、体格 有意な関連は見られなかった。心血管疾患のうち、虚
指数、婚姻状況、教育レベル、雇用状 血性心疾患と脳血管疾患のみ、個別に分析した結果
況、心筋梗塞・がん・脳血管疾患・高血 では、6時間以下の睡眠、8時間以上の睡眠の両方が
圧・糖尿病の既往歴、喫煙状況、飲酒 虚血性心疾患による死亡と有意に関連していた(6時
習慣、1日の歩行時間、精神的ストレス 間以下HR1.38、95%CI: 1.02-1.86、8時間HR1.36、
レベル、主観的健康観、身体的機能(制 95%CI: 1.06-1.73、9時間HR1.49、95%CI: 1.10-2.02、10
限有無)
時間以上HR1.41、95%CI: 1.04-1.92)。一方で、脳血管
疾患では9時間以上での睡眠でのみ有意な関連が見
られ(9時間HR1.30、95%CI: 1.06-1.60、10時間以上
HR1.51、95%CI: 1.24-1.85)、6時間、8時間では有意な
関連はなかった。

全死因、冠動脈性
心疾患(虚血性心
疾患と脳血管疾
患)、がん、そのほ
かの原因による死


短時間睡眠(6-7時間未
満)
長時間睡眠(8-9時間以
上)

有意性

タイトル

書誌情報

Sleep duration, c-reactive
protein and risk of incident
coronary heart disease-results
from the framingham offspring
study

Nutr Metab
Cardiovasc Dis.
2014; 24: 600605

6時間未満の睡眠時間(β=0.3、95%CI: 0.0-0.6、
Work-related psychosocial
性別、年齢、医療従事者、労働時間、仕
P<0.05)と60時間を超える週労働時間(β=0.8、95%CI:
hazards and arteriosclerosis:
事の種類、うつ病、肥満度指数、収縮期
Chou LP,
0.2-1.5、 P<0.05)のみが、動脈硬化のリスク増加と有 6時間未満あり
Across-sectional study among
及び拡張期血圧、空腹時血糖値及びコ
et al
意に関連していた。それ以外の睡眠時間、労働時間で
medical employees in a
レステロール
は有意な関連は見られなかった。
Regional Hospital in Taiwan

1995年1月1日から
6時間以下、7時間、8時
前年の平均睡 2008年3月31日(平
間、9時間及び10時間以
眠時間
均追跡期間10.8
上/日
年)

19

結果

8時間以上あり
6時間以下あり Kakizaki
(虚血性心疾
M, et al
患)

Int Heart J.
2015; 56: 644650

Long sleep duration and causeJ Sleep Res.
specific mortality according to
2013; 22: 209physical function and self-rated
216
health: the Ohsaki Cohort study

6時間未満の睡眠は、ベースライン時に何らかの疾患
を報告していた者の心血管疾患の発症に関連してい
た(HR1.38、95%CI: 1.12-1.70)。しかし、ベースライン時
に病気のあった者を除外し、ベースラインの健康状態
を調整した後では有意ではなかった。ベースラインに
病気を有していた患者を除外し、ベースラインの健康
状態を調整した後でも2型糖尿病の発症リスクは6時間
未満の睡眠と関連していた(HR1.29、1.08-1.53、
P=0.004)。

Short sleep duration is
6時間未満あり
associated with risk of future
(ベースライン時 Holliday
PloS One. 2013;
diabetes but not cardiovascular
に何らかの疾患 EG, et al
8: e82305
disease: A prospective study
ありの者)
and meta-analysis

PubMedの検索等により、
睡眠時間と死亡率(全死
因、死因別)の関係を調べ
た研究23件(コホートサイ
システマティック
ズ:184-1,116,396人)を抽
レビュー、メタア 出。全死因に関し16の研究
ナリシス
(対象者1,376,728人)、心
血管疾患による死亡に関し
5の研究(対象者104,468
人)。

短時間睡眠(多くの研究で6-7時間未満、全死因に係
る1研究は8時間未満)を中程度の睡眠時間と比べた
時の死因別相対危険度は、全死因(1.10、95%CI: 1.061.15)、心血管疾患による死亡(1.06、95%CI: 0.941.18)、がんによる死亡(0.99、95%CI: 0.88-1.13)であっ
た(男性+女性)。
長時間睡眠(8-9時間以上)を中程度の睡眠時間と比
べた時の死因別相対危険度は、全死因:1.23(95%CI:
1.17-1.30)、心血管:1.38(95%CI: 1.13-1.69)、がん:
1.21(95%CI: 1.11-1.32)であった。
短時間睡眠、長時間睡眠の両方で、全死亡率の増加
との関連が認められた。

短時間睡眠(67時間未満)あ
り(全死因)
長時間睡眠あり

the National Health
Interview Survey (NHIS)の
対象者のうち、18歳以上
横断研究
の、地域居住の206,049人
(平均46.75 ±0.12歳、男性
45.3%)

短睡眠(7時間未満)と心血管疾患及び心血管疾患の
リスク因子には有意な関連が見られた(β=0.08、
Seixas
7時間未満あり
P<0.001)。また、BMI、精神的苦痛、身体活動による媒
AA ,et al
介効果も有意であった(すべてP<0.001)。

年齢、人種、性別、婚姻状況、世帯収
入、教育歴

116

Gallicchio
L&
Kalesan
B

Sleep duration and mortality: A
J Sleep Res.
systematic review and meta2009; 18: 58-66
analysis of prospective cohort
文献21
studies

Mediating effects of body mass
index, physical activity, and
emotional distress on the
relationship between short
sleep and cardiovascular
disease

Medicine
(Baltimore).
2018; 97:
e11939