資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (113 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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が2倍以上になることが明らかになった。冠動脈疾患死亡に対しては、
リスクに対する性差も認められ、男性のみで有意なリスク上昇を認めて
いる。
わが国の数多くのコホート研究により、総コレステロール(TC)の上昇
に伴い冠動脈疾患発症率・死亡率が上昇することが報 告されてきた。
NIPPON DATA80 では、24 年間の追跡から、TC220mg/dL 以上の冠動脈疾
患死亡のハザード比は、220mg/dL 未満の群に比べ 1.55 倍、集団寄与危険
割合(PAF)は 18.2%であった。この基準を TC240mg/dL とした場合には、
ハザード比は 1.79 倍と高くなるものの、PAF は 11.9%まで低下した。TC
と冠動脈疾患の発症率・死亡率との関連はほぼ直線的であったが、多く
の研究において、TC220mg/dL 周辺から統計学的に有意なリスクの上昇が
観察されていた。TC と冠動脈疾患死亡リスクとの関係は男女ともに認め
られたが、65 歳以上の高齢者ではその関連が弱まるという報告もある。
Non-HDL コレステロール(Non-HDL-C)はレムナントリポ蛋白などの動
脈硬化惹起性のリポ蛋白をすべて含むため LDL-C よりも動脈硬化性疾患
の発症予測能が優れているという考え方がある。Non-HD-C と冠動脈疾患
の関連については、国内から多くの疫学調査成績が報告されている。
Non-HDL-C は、LDL-C と同様に心筋梗塞の発症と関連し、両者の心筋梗
塞発症予測能は同等であった。一方、non-HDL-C の心筋梗塞発症予測能は
TC より優れていた。Non-HDL-C の冠動脈疾患、心筋梗塞の発症・死亡リ
スクは、男性、あるいは男女合わせた分析から 140mg/dL 前後から上昇す
るという報告も見受けられ、いずれの研究でも 170~180mg/dL 以上では
明らかな増加を認めたが、女性では一定の傾向を認めていない。
HDL-C の低値は冠動脈疾患や脳梗塞の発症リスクとなり、逆に高いほど
リスクが減少する。
なお、日本を含む 23 のアジア・オセアニア地域の研究では、HDL-C の
低値、特にアジア地域においては LDL-C や TG は正常域にあって HDL-C の
みが低下していた場面にも冠動脈疾患の危険因子になることが示された。
しかしながら、日本人のみに限った大規模コホート研究では、HDL-C のみ
が低い場合には冠動脈疾患のリスクにはならないとする報告も示されて
いる。
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