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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (93 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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たが、その後の適切な薬物治療、心臓再同期療法、植込み型補助人工心
臓などとともに改善していると考えられる72。
c

その他の心筋疾患
その他の心筋疾患には、不整脈原性右室心筋症、心筋炎、サルコイド
ーシスなどがある。
不整脈原性右室心筋症は、原因不明の右室心筋の変性、脂肪浸潤、線
維化を特徴とし、右室の拡大や収縮不全、右室起源の心室性不整脈を呈
する進行性の疾患である。遺伝子変異で本症が発生することがあり、デ
スモソーム蛋白の plakophilin-2(PKP-2)の遺伝子異常が多い。遺伝子
異常が判明しない場合には、原因は不明といわざるを得ない。我が国で
は持続性心室頻拍の原疾患全体の約 10%を占める。正確な頻度は不明で
あるが、1/5,000 人とされ、若年の男性が圧倒的に多い。持続性心室頻拍
の発症年齢は 40~50 歳で、病変は徐々に進行する73。
サルコイドーシスは、原因不明の全身性肉芽腫性疾患であるが、わが
国では欧米に比較して心病変が多い74。心サルコイドーシスにみられる致
死的不整脈として、房室ブロック、持続性心室頻拍がある。その他、筋
ジストロフィー、慢性肺疾患、進行性全身硬化症、糖尿病などに持続性
心室頻拍が合併する例がある75。また、たこつぼ心筋症においても、発症
後急性期にトルサード・ド・ポアンツ(一過性心室細動)から突然死を
起こす場合がある。

(ウ)

遺伝性不整脈
「不整脈」は一般に「正常洞調律以外を全て不整脈と呼び、治療を必要
とする場合と必要としない場合がある」と定義される。前記イ(80 頁)のと
おり、心室頻拍や心室細動は危険な不整脈である。器質的心疾患がないに
もかかわらず、これらの危険な不整脈や心臓突然死を生じさせ得る病態を
遺伝性不整脈と呼んでいる76。
a

ブルガダ症候群
Brugada 症候群は、心電図の右側胸部誘導(V1~V3 誘導)で特徴的な
coved 型 ST 上昇を呈し、主に副交感神経が優位な時間帯に心室細動で突

72

日本循環器学会ら. 心筋症診療ガイドライン(2018 年改訂版). 2019; 62

73

日本循環器学会ら. 心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010 年改訂版). 2010; 17

74

医療情報科学研究所. 病気がみえる vol.2

75

日本循環器学会ら. 心臓突然死と予防法のガイドライン(2010 年改訂版). 2010; 18

76

日本循環器学会ら. 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017 年改訂版). 2018; 6

循環器.メディックメディア. 2017; 240

83