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資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (92 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html
出典情報 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》
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の疾患を原因とする心筋症(二次性心筋症)を除く。)69。
肥大型心筋症は、①左室ないしは右室心筋の肥大と②心肥大に基づく
左室拡張能低下を特徴とする疾患群と定義される。その原因として、心
筋の収縮単位であるサルコメアなど心筋構成蛋白をコードする遺伝子の
変異によって発症することが明らかになってきており、肥大型心筋症及
び肥大型心筋症類似心肥大の発症要因としては、サルコメア遺伝子変異
によるものが 40~60%、二次性心筋症が5~10%、原因不明のものが 25
~30%とされている70。
肥大型心筋症における疾患関連死の主な原因は突然死、心不全死、主
に心房細動により起こる塞栓症による脳卒中である。2002 年にわが国で
行われた大規模な疫学調査では、肥大型心筋症の年間死亡率は 2.8%であ
り、死因としては不整脈が 31.9%、心不全が 21.3%であった。しかし、
肥大型心筋症患者の中には、80 歳、90 歳を超える年齢までほぼ無症状で
経過する例も少なくなく、近年の地域在住肥大型心筋症患者の予後に関
する検討では、治療法の進歩も相まって 0.5~1.5%/年程度の死亡率と報
告されている71。
b

拡張型心筋症
拡張型心筋症は、①左室のびまん性収縮障害と②左室拡大を特徴とす
る疾患群と定義される。慢性心不全症状を特徴とし急性増悪を繰り返す
予後不良・進行性の疾患である。その原因は、遺伝性(家族性)と非遺
伝性(非家族性)に分けて分析されるようになり、とくに成人で発症す
る拡張型心筋症の多くは、両成因が関与した症候群という考えが主流と
なっている。非遺伝性の拡張型心筋症の原因についてはいまだ不明であ
る。これまでの知見をふまえると、何らかの慢性炎症や自己免疫による
ものも原因として考えられている。
拡張型心筋症の予後については、明確な調査がないのが現状であるが、
一般の心不全患者の予後を参考にすると、その1年死亡率は JCARE-CARD、
CHART-1 では 7.3%と報告されている。わが国では心臓移植の原因疾患と
して最も多く、2018 年8月までに 408 例の心臓移植症例のうち、68%を
拡張型心筋症が占め、依然として移植に至る重症心不全の原因疾患とし
て最多である。平成 11 年の旧厚生省の調査で5年生存率 76%となってい

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日本循環器学会ら. 心筋症診療ガイドライン(2018 年改訂版): 2019; 12

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日本循環器学会ら. 心筋症診療ガイドライン(2018 年改訂版): 2019; 15

71

日本循環器学会ら. 心筋症診療ガイドライン(2018 年改訂版). 2019; 18

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