資料2 脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会報告書 (111 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19809.html |
出典情報 | 「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します(7/16)《厚生労働省》 |
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疾患発症の相対リスクを約3倍増加させた。
最近の CREDO-Kyoto Study でも冠動脈疾患の家族歴が若年齢での主要心
血管イベント発症に関与していた。
従来の危険因子(高 LDL-C、低 LDL-C、高血圧、糖尿病、喫煙)は遺伝
的素因が関与したり、同じ家庭内での習慣が影響したりしてくる。すな
わち、冠動脈疾患の家族歴には、既知の遺伝的及び環境的危険因子も含
まれていると考えられる。また、その他の考慮すべき危険因子として
Lp(a)、small dense LDL、ホモシステインなどが注目されてきているが、
これらはいずれも遺伝的に規定されているものである。しかし、従来の
危険因子を多変量解析などですべて調整しても家族歴は強いリスクとし
て残るため、未だ解明されていない遺伝的要因が関与することが推定さ
れる。
このことから、家族歴に関するほとんどの研究が、冠動脈疾患の家族
歴は冠動脈疾患の独立した危険因子であると結論付けており、特に早発
性(発症年齢:男性 55 歳未満、女性 65 歳未満)冠動脈疾患の家族歴は高
リスクと考えるべきである。
イ
是正可能な危険因子
(ア) 高血圧110
高血圧は、冠動脈疾患などの脳心血管病及び心不全、慢性腎臓病(CKD)
などの臓器障害の重要な危険因子である。
国内の 10 コホート研究(男女計7万人)のメタ解析である EPOCHJAPAN の結果では、至適血圧(120/80mmHg 未満)を超えて血圧レベルが
高くなるほど脳・心臓疾患による死亡のハザード比が上昇し、その関連
は高齢者と比較して中壮年者で強かった。EPOCH-JAPAN による試算では、
脳・心臓疾患による死亡の 50%、冠動脈疾患による死亡の 59%が、至適
血圧を超える血圧高値に起因する死亡と評価され、いずれにおいてもⅠ
度高血圧者からの死亡数が占める割合が最も高かった。
脂質介入研究 J-LIT では、高血圧患者は非高血圧患者に比べ一次予防
対象者における冠動脈疾患発症の相対危険度が女性 2.05 倍、男性 2.15 倍
となっている。
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日本動脈硬化学会. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017 年版. 2017; 30
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