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提案書15(2801頁~2999頁) (28 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

2022年上半期の開頭術におけるSSI発生率はJANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)によると、29/1975例:1.5%であった。感染例
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 では上述のごとく、長期の濃厚な医療が必要であり、髄膜脳炎を併発すれば後遺障害につながる。ちなみに、年間300例の開頭術が行われる岡山
大学において調査したところ、2021-2022年に、成人ハイリスク症例(18歳以上)に対する吸収性プレートが使用されたケースが7例
後等のアウトカム
(7/600=1.2%)であり、頭蓋形成術についてはわずか1例(0.2%)であった。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

病院情報局のデータ(2020年)によると、頭蓋・頭蓋内損傷に対する減圧開頭術は3,669例で行われている。頭蓋形成術は脳梗塞に対する減圧開
頭術や、SSI発生後の骨弁除去後など他の病態に対しても行われることから、少なくみても、1年間で6,000例は本邦で実施されていると考えられ
る。そのうち、SSI発生後の頭蓋形成も含めて、成人ハイリスク症例は5%程度と推察される。下記数字は6,000x0.05=300例として算出された。年
間実施数はSSIを繰り返す例も存在することから、10%増加させた。

見直し前の症例数(人)

300

見直し後の症例数(人)

300

見直し前の回数(回)

330

見直し後の回数(回)

330

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

今後、日本脳神経外傷学会において、頭蓋形成術後SSI発生に関する全国調査が行われる予
ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等
定であり、そのデータをもって、一定以上の悉皆性のあるSSI発生率が同定される。さらに
の改訂の見込み等を記載する。)
将来には、どのような対策がSSI発生を低減させられるか調査が行われる見込みである。

技術度はD であり、K180 1は2時間、K180 2は2.5時間で外保連試案上、設定されている。極めて高難度の手術ではないが、ハイリスク症例を
正しく選定し、皮膚切開線の直下にプレートなど固定具をおかないように工夫したり、周術期の管理もSSI発生が最小限になるような技術が必要
である。

施設の要件
脳神経外科専門医と専攻医を含めた3名で行うべき手術である。全身麻酔を実施でき、急変時・問題発生時にICU管理が行えるような施設での実施
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 が必要である。
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 上述のごとく、脳神経外科専門医1名以上を含めた3名で行われるべき手術である。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 特になし
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

吸収性プレートを用いることで、SSI発生率は低減する。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

倫理的な問題はない。ハイリスク症例を厳格に設定し、レセプトに詳述させることができれば、医療費における影響もむしろプラスになると算出
される。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後

K180
K180

1: 43,765点
1: 58,005点

その根拠

吸収性プレート

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

K180
K180

2:52,571点
2:66,811点

2枚とスクリュー4枚分を加算した(通常のプレートスクリューシステムとの差額を勘案し、スクリューも最小限にセットした)
本件に関連して減点・削除が可能な医療技術はございません。

区分をリストから選択

番号
技術名
具体的な内容
増(+)

プラスマイナス
予想影響額(円)

650万円

その根拠

吸収性プレートスクリューシステムを用いることを勘案し、330件の手術で142,400円が余分に請求されるとすると、46,992,000円が余分にかか
る。一方で、吸収性プレートにより、本来であれば、10%であるSSI発生が5%に低減するなら、その患者数は330x0.05=16.5名。1名あたり、余
分な入院期間が2ヶ月(ICU管理料2日: 284,220円、急性期一般入院料7 1ヶ月1,382点x30+地域一般入院料3 1ヶ月988点x30=995,220円)、1
か月の点滴による抗生剤治療(スルバシリン3g+生食100x3回x20日で計算 34,800円)、2回の余分な全身麻酔開頭手術(減圧開頭術x1:K149-1
282,000円+頭蓋形成x1:K180-2 236,600円)が最低限かかる経費である。1名あたり1,548,620円以上は必ずかかることになる。1,548,620円
x16.5=25,552,230円が最低限かかる経費になる。さらに、復職が3ヶ月遅れると考えるならば、その個人が社会において生み出せる金額を30万円
とするなら、30万円x3ヶ月=90万円 90万円x16.5名=1,485万円である。これらを勘案すると、1年あたり650万円のマイナスとなるが、患者・患
者家族・医療従事者への負担を勘案し、SSI発生により、実際にはより多くの医療費がかかることを勘案すれば、本申請の妥当性がお分かりいた
だけると考える。

⑩予想影響額

備考
⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

特になし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

⑭参考文献1

1)名称

Japanese National Questionnaire Survey in 2018 on Complications Related to Cranial Implants in Neurosurgery

2)著者

Takao Yasuhara, Satoshi Murai, Nobuhiro Mikuni, Susumu Miyamoto, Isao Date

3)雑誌名、年、月、号、ページ

Neurol Med Chir (Tokyo). 2020 Jul 15;60(7):337-350

4)概要

本邦における脳神経外科開頭術における頭蓋固定具関連合併症発生は年間に0.6%である。

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