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提案書15(2801頁~2999頁) (147 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

●骨粗鬆症(歯槽骨密度低下)が歯周病や歯の欠損のリスク因子であることはよく知られている.歯周炎やメカニカルストレスに
加えて,第3の攻撃因子:非感染性疾患の重要性が強調されるようになった(野口ら:オーラルヘルス,p10-11(4章)_1602.).
●デンタルX線写真撮影により測定された献体の歯槽骨密度は,医科用CTにより得られた同一部位のCT値から算出した骨密度と比較
すると,十分妥当性高く歯槽骨密度を測定できていることがわかった(相関係数:0.76, p<0.01).また,デンタルX線写真から得
られる歯槽骨密度測定の信頼性においては,検者間(級内相関係数ICC: 0.950),検者内一致度(ICC: 0.958, 0.906)が「ほぼ完
全な一致」と判断された.すなわち,デンタルX線写真撮影により歯槽骨密度を測定する方法論においては,十分な信頼性と妥当性
が担保されていると考えられる(参考文献1,樋口ら,日本補綴歯科学会誌,2021).
●医科の全身の骨粗鬆症の確定診断を黄金律にした場合,本歯槽骨密度測定法により全身の骨粗鬆症を予測した場合の感度は
90%,特異度は94%,また,歯槽骨減少症と診断した患者が,椎骨の圧迫骨折を発症する頻度(骨折予測的中率)は86.7%となっ
ている(参考文献2,Takaishi Y et al. Adv Ther 2013;30:487-502, Fig.4).この数値は,本歯槽骨密度測定法が,全身の骨粗
鬆症の確定診断や椎骨の圧迫骨折に対して臨床上十分な予測妥当性を有していることを示している.
2b

ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

本新規技術は,日本口腔インプラント学会と日本補綴歯科学会が策定して
いるイノベーションロードマップに掲載され,早急に臨床応用されるべき
技術とされている.日本歯科医学会連合から,医療問題関連事業「課題」
として認められ,本技術のエビデンスをまとめ指針として提出したところ
である.さらに,口腔インプラント学会では,研究推進委員会が中心にな
り,多施設臨床研究を進めており,歯槽骨密度測定を含めた術前検査に関
する指針や診療ガイドラインの策定中である.

1400万人
1400万回

※患者数及び実施回数の推定根拠等

2019年3月概算値(総務省統計局人口推計,平成31年3月概算)より,50歳台〜80歳台の総人口は,5709万人となる.これに歯科医
院への定期受診率を算出した安藤らの厚労科研(地域医療基盤開発推進研究事業)分担研究報告書によると,半年に1度程度以上
定期受診する者の割合は,男性で20.9%,女性で28.0%,年間少なくとも1度歯科診療施設に受診する者の割合は,男性で
38.5%,女性で43.5%となっている.したがって,半年に1度程度以上(あるいは年間少なくとも1度)歯科医院に定期的に受診
する者は男女合わせて24.5%(41.0%)と見積もることができる.これを50歳台〜80歳台の総人口に掛け合わせてみると,1400万
人(2340万人)となる.これらの患者の何割が歯科医師の求めに応じて歯槽骨密度の測定に応じるかは試算が難しいが,半年に1
度程度以上歯科医院に通院している患者の多くに加えて,⑩で扱う骨粗鬆症予備軍の歯科受診患者がその対象候補と考えられるこ
とから,これらを合わせた1400万人が1年に1度,本方法によって歯槽骨密度を測定したとすると,年間約1400万回の測定がなさ
れるという試算になる.

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

●学会等における位置づけ:本新規技術は,日本口腔インプラント学会と日本補綴歯科学会が策定しているイノベーションロード
マップに掲載され,早急に実現されるべき技術とされている.日本歯科医学会連合から,医療問題関連事業「課題」として認めら
れ,本技術のエビデンスをまとめ指針として提出したところである.さらに,口腔インプラント学会では,研究推進委員会が中心
になり,多施設臨床研究を進めており,歯槽骨密度測定を含めた術前検査に関する指針の策定中である.また,平成26年度から香
川県(歯科医師会,医師会)では,本医科歯科連携活動が骨粗鬆症の早期発見に有効であるばかりか,顎骨壊死の予防に貢献する
ことを明らかにし,第23回日本歯科医学会総会で報告している(概要図参照).
●本技術は,大阪市立大学 森井浩世名誉教授と神戸大学医学部 藤田拓男名誉教授の下で長年研究を継続して来た医科歯科連携
研究組織の成果であり,医科歯科共同研究の成果と言える.本医科歯科連携を強く支持するバックグランドには,それぞれの強い
ニーズがある.すなわち,医科においては,人口の高齢化に伴い病的骨折を予防するための骨粗鬆症のスクリーニング検査の推進
がまったなしの状況にあるが,未だに患者のほとんどは病的骨折を生じて初めて受診する状況にあり,糸口がつかめていなかっ
た.自治体が実施する全身の骨粗鬆症検診は,40歳から70歳までの女性に限られており,骨粗鬆症の高発現年齢である70歳以上の
男女にスクリーニングを拡大するには,放射線被曝の問題や検診費用の問題がある.歯科においては,う蝕の予防の実績はある
が,歯槽骨の病とも言える歯周病やインプラント周囲炎,薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)の予防は十分成果があがっていなかった.こ
の両面を補う本技術の導入は医科歯科の双方に大きなメリットがあり,保険収載された曉には,医療費の削減に向けて必ず実効性
を持つものと確信されるところである.
●難易度(専門性等):本技術は,医科で保険適応されている骨密度測定法(MD法)の歯科版であり,十分な歴史と技術の成熟
がなされていると言ってよい.また,デンタルX線写真撮影は,デジタル化された場合でも,アナログフィルムを用いた場合でも
その撮影はどのような歯科医でも日常的に行っているものである.この画像をデジタルで取り込み,画像処理に要する時間は3分
と,非常に簡便な診断システムとなっている.したがって,その技術の成熟度は非常に高いと判断される.

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の
要件)

標榜科:歯科
検査や手術の体制:デンタルエックス線写真撮影装置,ならびに第二種医療機器に認証された歯槽骨密度診断ソフト(Bone Right,
Dentalgraphic.com社)の設置
人的配置要件:歯科医師

特になし

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

使用するデンタルX線写真撮影装置ならびにデンタルX線写真撮影用のセンサーやフィルムは,国内の医療機器承認を取得してお
り,歯科医療施設で日常的に行われている中核的な医療技術となっており,安全性,有効性が保証されている.また,診断に用い
る顎骨歯槽骨骨密度診断ソフト(Bone Right, Dentalgraphic.com社)は,第二種医療機器に認証されている.

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

特になし

⑩希望する診療
報酬上の取扱い



妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)

140

その根拠

医科で保険適応されている手指によるMD法(原発性骨粗鬆症の診断基準2012年度改訂版)(140点,フィルムの費用は手技料とは
別に算定できる)とほぼ同等の骨密度測定法であることから,同点数を診断時に算定可能とすること.

区分
関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)

区分をリストから選択

番号
技術名

具体的な内容

特になし

プラスマイナス

増(+)

予想影響額(円)

歯科医療費は196.0億円+ということになるが,骨折によって発生した医療・介護費を含めて考えると,3440億円〜5120億円の減額
になると試算されている.

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