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提案書15(2801頁~2999頁) (146 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

409101
歯槽骨密度評価
公益社団法人日本口腔インプラント学会
37歯科・歯科口腔外科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

リストから選択
関連する診療科(2つまで)
リストから選択

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
「実績あり」の 度)
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 194
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)


令和4年度
歯槽骨密度評価

歯科用X線フィルムにアルミステップウエッジを貼付して歯槽部をデンタルX線写真撮影し,歯槽骨密度診断ソフトウエアにより
補正と正規化処理を行った後,関心領域の輝度値で歯槽骨減少症と硬化症を診断する.歯槽骨減少症の場合には,医科に骨粗鬆症
の疑いで紹介し,診断・加療を受ける.骨吸収阻害薬投与中の患者で歯槽骨硬化症の場合には,顎骨壊死の予防のため,医科と診
療情報を共有しながら歯科治療を計画する.
歯槽骨減少症,歯槽骨硬化症
歯槽骨密度は,骨粗鬆症やBP製剤投与等の全身因子や,歯周病や過度なメカニカルストレスなどの局所因子により影響を受ける.
歯槽骨減少症は歯や補綴物の寿命を低下させるリスク因子である一方,歯槽骨硬化症は薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)を引き起こすリ
スク因子であることが知られている.しかし,これら歯槽骨の病態はこれまで簡便に診断することが難しく,放置されてきた.本
技術により,歯や補綴物のトラブル,MRONJ等の予兆をいち早く捉え,歯の延命に効果的で,安心・安全な歯科治療を行うことを可
能ならしめるとともに,医科歯科連携による骨粗鬆症の早期発見・治療により,病的骨折回避による介護予防に大きく貢献する.

文字数: 297
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

有歯顎,無歯顎に関わらない50歳以上の歯科治療受診者
骨粗鬆症やがんの転移抑制のためにビスフォスフォネート製剤等骨代謝に影響する薬剤を投与されている患者.

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

●方法:歯科用X線フィルムにアルミステップウエッジを貼付して下顎第一小臼歯根尖部周囲(相等部)歯槽部をデンタルX線写真
撮影し,歯槽骨密度診断ソフトウエアにより補正と正規化処理を行った後,関心領域の輝度値で歯槽骨減少症と歯槽骨硬化症を診
断する.
●診断閾値:現在,医科においては,腰椎のdual-energy X-ray absorptiometry (DXA) 値が,Young Adult Mean (YAM) 値の70%
より大きく,80%未満(骨密度値がYAMの-2.5 SDより大きく、-1.0 SD未満)を骨減少症,70%以下(骨密度値がYAMの70%以下ま
たは,-2.5 SD以下)を骨粗鬆症と診断する(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版).閉経を迎えた女性患者の下顎小臼歯
根尖部の歯槽骨密度を測定し,DXA法で骨減少症(70〜80%)や骨粗鬆症(70%以下)と診断された患者の平均歯槽骨密度値がそれ
ぞれ,84.9,71.4であることがわかっている.したがって,歯槽骨密度が84.9以下を示した者は歯槽骨減少症と診断する(参考文
献2,Takaishi Y et al. Adv Ther 2013;30:487–502).歯槽骨減少症と診断された場合には,骨粗鬆症の疑いありとして患者に
その旨の説明を行い,医科に精密検査の依頼を行う.歯槽骨密度の平均YAM値は131.7であり,遺伝的疾患等に罹患しない限り,歯
槽骨硬化症は自然発症しないが,薬剤関連性顎骨壊死(MRONJ),放射線治療等により高値を示す.MRONJ発症患者の平均歯槽骨密度
が160.8であったと報告されているため,歯槽骨密度が160.8以上を呈した場合に歯槽骨硬化症と診断する(参考文献4,Takaishi Y
et al. Osteoporos Int 2010;21:815-825).歯槽骨硬化症と診断された場合には抜歯等,外科侵襲を伴う歯科処置は十分注意を払
う必要があり,歯槽骨密度が著しく上昇しないタイミングで行う様に歯科の治療計画を調整する.骨吸収抑制薬を投与されており
歯槽骨密度がこの数値を超えて上昇した場合には,ステージ0(顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016,表1 ARONJの臨床
症状とステージング)の可能性があり,医科に情報提供し,投薬の調整に役立てる.
●実施頻度および期間等:50歳以上の定期的に来院する歯科患者に対して下顎第1小臼歯部付近のデンタルX線写真撮影を行い,
歯槽骨密度測定を行う.歯槽骨密度が84.9以下を示した者は歯槽骨減少症と診断し,患者に骨粗鬆症の専門医療機関への受診を勧
める.この際には,医科に向けての診療情報提供を行う.50歳以上の患者には,この検査を,4月に一度(年間3度まで)継続し
て行う.

③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)

区分

区分をリストから選択

番号
医療技術名

特になし
特になし

既存の治療法・検査法等の内容

特になし

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

歯科において該当するものはない

歯槽骨密度を計測・診断できる保険収載された検査法はないため,既存の方法と比較することはできないが,献体において医科用
のCT装置で歯槽骨を測定して得た骨密度を指標として本申請検査法の妥当性を検討し,十分な妥当性が確認されている.また,臨
床上十分な測定系の信頼性も担保されている.歯科で頻繁に撮影する機会があるデンタルX線写真を用いる点が効率的,かつ倫理
的であり,歯科用X線写真撮影装置で撮影した写真を用い,3分以内という短時間で評価できる.医科で保険適応されている骨密度
測定法(MD法)の歯科版であり,無症状の骨粗鬆症患者の約90%をスクリーニングできる.
本検査法は,歯科治療における歯や人工歯根を守る診断体系を提供するばかりか,本医療技術が認められれば,要介護高齢者が寝
たきりになる原因の大きなきっかけと言われている「骨粗鬆症による病的骨折」を防ぐための早期発見や早期治療に繋がるスク
リーニング検査を提供することになる.また,この病的な骨折を防ぐために医科で投与されている骨吸収抑制薬の影響で歯槽骨硬
化症,ひいては,顎骨壊死が引き起こされることが知られている.歯科において,このような歯槽骨の生物学的情報により,抜歯
等の外科的な侵襲を伴う治療を歯槽骨密度が著しく上昇しないタイミングで行う様に治療計画を調整できる.また,その歯槽骨密
度という検査情報から,医科で顎骨壊死が回避できる様に投薬期間や投薬量を調整できることも有益である.

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