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提案書20(3802頁~4000頁) (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

対象とする患者:限局性の固形悪性腫瘍の患者
技術内容:多分割絞り(マルチリーフコリメーター)などを用いて、空間的又は時間的な放射線強度の調整を同一部位に対する複数方向からの照
射について行うことで、三次元での線量分布を最適なものとする照射療法である。これにより、標的とリスク臓器が近接した症例に対して標的へ
の線量を担保しながらリスク臓器への線量を低減することを目的とした高精度放射線治療である。
現行の該当診療報酬区分と点数:
M000 4 放射線治療管理料 5,000点、M001 3 体外照射料 3,000点
算定の留意事項:関連学会のガイドラインに準拠し、3方向以上の照射角度から各門につき3種以上の線束強度変化を持つビームによる治療計画を
逆方向治療計画法にて立案したものについて照射した場合に限る。施設基準として、放射線治療を専ら担当する常勤の医師又は歯科医師が2名以
上配置されており、うち1名以上は放射線治療について相当の経験を有するものであることが必要である。
従前の施設基準における人的配置要件
1.放射線治療専任の常勤医師が2名以上(うち一人は放射線治療の経験を5年以上有する)が配置されていること。
専任の非常勤医師(週3日以上かつ週22時間以上の勤務)を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの医師
が配置されている場合は、当該医師の実労働時間を常勤換算し常勤医師数に参入することができる。ただし、常勤換算し常勤医師数への算入は、
常勤配置のうち1名(放射線治療の経験を5年以上有するもの1名)を除く。また、この場合には、IMRTは年間50例を限度として実施できる。
2.放射線治療を専ら担当する常勤の診療放射線技師(放射線治療の経験を5年以上有するものに限る。)が1名以上配置されていること。
3.放射線治療における機器の精度管理、照射計画の検証、 照射計画補助作業等を専ら担当する者(診療放射線技師その他の技術者等)が1名以
上配置されていること。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

000 4, 001 3

医療技術名

強度変調放射線治療
IMRTは、前立腺癌においては制御率を約13%改善し重篤な晩期消化管毒性発生頻度を約10%軽減でき、上咽頭癌においては死亡リスクを約30%軽
減し、頭頚部癌全般において加療を要する口腔内乾燥症の発生を約20%軽減でき、子宮頚癌をはじめとする他の多くのがん種において有害事象を
有意に軽減可能であることが、大規模集団ベースのコホート研究やランダム化比較試験等のメタ解析によって明らかにされている(参考文献1治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 5)。
後等のアウトカム
一方、2000年に本邦に導入以降約21年が経過し、IMRT技術の成熟と経験・ノウハウの蓄積が進み、治療計画、照射技術、QA/QC、安全管理に関す
る下記の各種ガイドラインが整備され、IMRTに関する各種講習会も各地で開催されるようになり、経験豊富な放射線治療専任の常勤医師1名と1名
以上の放射線治療専任の非常勤医師でも、件数を制限すれば安全に実施可能な環境が整っている。

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

・ 放射線治療計画ガイドライン 2020年版
・ 強度変調放射線治療における物理・技術的ガイドライン2023(略称:IMRT物理技術ガイ
ドライン)(2023年)
・ 強度変調放射線治療ガイドライン(2008年)
・ 多分割コリメーターによる強度変調放射線治療の機器的精度確保に関するガイドライン
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す (Ver.1)(2004年)
・ 強度変調放射線治療の線量検証法 日本医学物理学会 タスクグループ03 (2009年)
る。)
また、前立腺癌診療ガイドライン 2016年版(9.放射線療法 CQ6 p.152-155)、頭頚部癌
診療ガイドライン 2018年版(CQ12-2、p.158-160)において、有害事象軽減目的でのIMRT
使用が推奨グレードAまたはBで推奨されている。また、子宮頚癌治療ガイドライン 2017年
版 (CQ17 p.122-124)においても、IMRTによる有害事象軽減効果について記載されてい
る。

放射線治療施設を有するがん診療拠点病院のうち常勤医が1名で現在IMRTを実施できていない100施設が、今回の人的配置要件の改定により非常勤
医師を雇用し50例/年をIMRTで加療することと仮定して試算を行った。
常勤医師1名の施設では、年間件数の制限から有効性のエビデンスと需要の高い前立腺癌と頭頚部癌が治療対象の大部分となると予想され、治療
対象疾患内訳は、比較的難易度が低く患者数が圧倒的に多い前立腺癌の割合がかなり多くなると考えられる。(これまでの例からも、IMRTを新た
に開始した施設では、大部分の症例が前立腺がんである。)したがって、各施設における治療疾患数は、前立腺癌:40例、頭頚部癌:10例(うち
上咽頭癌2例)と見積もった。(100施設では年間で前立腺癌:4,000例、頭頚部(上咽頭)癌:1,000例(200例))

見直し前の症例数(人)

28,000

見直し後の症例数(人)

33,000

見直し前の回数(回)

980,000

見直し後の回数(回)

1,155,000

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

2000年に本邦に導入以降約23年が経過し、IMRT技術の成熟と経験・ノウハウの蓄積が進み、治療計画、照射技術、QA/QC、安全管理に関する各種
ガイドラインが整備され、IMRTに関する各種講習会も各地で開催されている。
その結果、大学病院在籍者中心にIMRT経験者が増加している。
日本放射線腫瘍学会 高精度放射線外部照射部会によるIMRT全国調査によると、2019年には、全国の249施設において33,298例(前立腺癌:10,888
例 [33%]、頭頚部癌:7,758例 [23%]、その他の癌:14,652例 [44%])がIMRTで加療されており、普及が進んでいる。

1.放射線科を標榜している保険医療機関であること。
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 2.IMRTを行うために必要な機器・施設を備えていること。
3.IMRTを年間10例以上実施していること。
制等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

1.①放射線治療専任の常勤医師が2名以上(うち一人は放射線治療の経験を5年以上有する)が配置されていること。
または、②1名の5年以上の放射線治療経験を有する常勤医と週に1日以上勤務する専任の非常勤医師を2名以上組み合わせて週40時間以上
の勤務をもって1名分の常勤換算可。
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 2.放射線治療を専ら担当する常勤の診療放射線技師(放射線治療の経験を5年以上有するものに限る。)
が1名以上配置されていること。
性や経験年数等)
3.放射線治療における機器の精度管理、照射計画の検証、照射計画補助作業等を専ら担当する者(診療放射線技師
その他の技術者等)が1名以上配置されていること。
遵守すべきガイドライン
その他
・ 強度変調放射線治療における物理・技術的ガイドライン2023(略称:IMRT物理技術ガイドライン)(2023年)
(遵守すべきガイドライン等その他の ・ 強度変調放射線治療ガイドライン(2008年)
要件)
・ 多分割コリメーターによる強度変調放射線治療の機器的精度確保に関するガイドライン(Ver.1)(2004年)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

適切な治療計画によるIMRTにおいては、当該部位(がん病巣・正常組織)への線量は従来の放射線治療における線量を大きく超えるものではな
い。むしろ従来法と比較して、正常臓器への線量は同等かそれ以下に抑制される。実際、前立腺癌、頭頸部癌、子宮頚癌をはじめとする多くのが
ん腫では、がん病巣への線量増加にもかかわらず有害事象の軽減が示されている(参考文献 1-3、5)。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

今回の提案により、がん診療連携拠点病院の多くがIMRT実施のための認定要件を満たすことができるようになるとともに、地方を中心により多く
の患者にIMRTを提供することが可能となり、治療成績の改善と有害事象の軽減による医療費削減も実現可能である。また、より良い治療を希望す
る患者の要望を満たすことにもなり、社会的妥当性は高い。一方で、倫理的問題点は見当たらない。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

3,000
3,000
点数の見直しはない。

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