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提案書20(3802頁~4000頁) (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

①肺縦隔腫瘍:I期肺癌多施設共同研究(306名解析)、3年生存率84%、局所制御率89%で、定位照射の生存率60%と82%と良好であった
(Karube M et al.JRR.2017 )。レジストリデータ解析では陽子線治療および重粒子線治療を受けたI期肺癌425例で3年生存率78%、局所制御率
96%であった、III気肺癌69例では3年生存率62%であった。限局期非小細胞肺癌に対し,定位放射線治療(SRT)と重粒子線治療(CIRT)における同一施
設内での治療成績を比較した報告(参考文献1)ではSRT/CIRT例の3年全生存率は71.6%/80.1%(p=0.0077)、3年局所制御率は79.1%/89.7%
(p=0.0037)であり、重粒子線治療はSRTより、局所制御のみならず生存に関しても優れた成績であった。
②食道癌のT1bN0症例(47例)の重粒子線単独照射で5年生存率80%、比較対象となる現在の標準治療(JCOG0502)の条件を満たす32例では83%と化
学療法を併用した放射線治療とほぼ同等(85%)であった(Isozaki,et al.J-CROS報告,2023)。レジストリデータの解析で食道癌では陽子線治療
および重粒子線治療を受けた174例で2年生存率60%であった(文献2)。小型の肝細胞癌に対する重粒子線治療とラジオ波焼灼術(RFA)の治療成績
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 を傾向スコアマッチングを用いて後方視的に解析した結果では、重粒子線治療の2年局所再発率:6.4%、同亜区域再発率:12.6%、全生存率:82.8%で
あり、RFAと比較して同等の局所制御、全生存率を示し同亜区域再発率は低率であった(文献3)。レジストリデータの解析で小型の原発性肝癌
後等のアウトカム
(腫瘍径3.5cm以下)では陽子線治療および重粒子線治療を受けた425例で2年生存率82%であった。
③婦人科腫瘍:婦人科領域切除不能悪性黒色腫では重粒子線治療後2年の局所制御率および生存率は71%および53%と良好であった(Murata H,
Cancers. 2019) 。レジストリデータの解析で腫瘍径6cm以上の子宮頸部扁平上皮癌に対して重粒子線治療が行われた21例の2年生存率が93%で
あった。
④少数転移性腫瘍:レジストリーデータの解析で転移性肺腫瘍では陽子線治療および重粒子線治療132例で、2年生存率77%、局所制御率83%と良
好であった。転移性肝腫瘍では陽子線治療および重粒子線治療200例で、2年生存率54%、局所制御率82%と良好であった。限局性リンパ節転移で
は陽子線治療および重粒子線治療282例で、2年生存率61%、局所制御率79%と良好であった。(文献5)。
先進医療で治療されている全症例は学会が主導するレジストリに全例登録されており,解析結果を提示することが可能となっている。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

肺癌診療ガイドライン 2022年 日本肺癌学会 I期非小細胞肺癌の根治的放射線治療とし
て陽子線・炭素線照射を用いることが示されている。
子宮頸癌治療ガイドライン 2022年 日本婦人科腫瘍学会 進行子宮頸癌に対する初回治
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
療として重粒子線治療が示されている。リンパ節転移などの再発に対する治療法としても
る。)
陽子線治療・重粒子線治療が紹介されている。
肝癌治療ガイドライン 2021年 日本肝臓学会 粒子線治療は他の局所療法が困難な場合
の選択肢として推奨されている。

保険収載要望疾患の2020年7月〜2021年6月の全実施数350例であった。2018年度改訂による保険収載分の患者数の増加は1.6倍程度で2024年度改訂
後の対象患者数は600例程度と推定され、新規保険収載による対象患者数は約600例と予測される。1件当たりの実施回数は12回程度。

見直し前の症例数(人)

350

見直し後の症例数(人)

600

見直し前の回数(回)

4,200

見直し後の回数(回)

7,200

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

オーストラリア:公的医療補償MTOP(the Medical Treatment Overseas Program)承認、イタリア:公的医療保険:国民保険サービス機構
(Servizio Sanitario Nazionale = SSN)承認、ドイツ:公的医療保険対象になっており、国内では1994年より臨床応用が開始され、2023年2月
現在7施設で保険診療ならびに先進医療として実施されている。切除不能骨軟部腫瘍、頭頚部腫瘍、前立腺腫瘍、大型の肝細胞癌、肝内胆管癌、
膵癌、大腸癌術後再発、子宮頸部腺癌については保険診療として行われており、先進医療として2021年7月1日から2022年6月30日までの1年間で、
重粒子線治療は689例(2022年に保険診療に移行した疾患も含む)に実施されている。高度治療で難易度が高いが重粒子線治療の施設基準に合致
し習熟訓練を終えた施設において十分施行可能である。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 放射線科を標榜している保険医療機関である。薬事法の承認を受けた重粒子線治療装置を有する施設である。
制等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

放射線治療を専ら担当する常勤の医師が2名以上配置されている。そのうち1名は、放射線治療の経験を10年以上有するとともに、重粒子線治療の
経験を2年以上有する。放射線治療を専ら担当する常勤の診療放射線技師が配置されている。放射線治療における機器の精度管理、照射計画の検
証、照射計画補助作業等を専ら担当する者(診療放射線技師その他の技術者等)が1名以上配置されている。
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 当該治療を行うために必要な次に揚げる機器、施設を備えている。粒子線治療装置、治療計画用CT装置、粒子線治療計画システム、照射中心に対
する患者の動きや体内移動を制限する装置,微少容量電離箱線量計又は半導体線量計(ダイヤモンド線量計を含む)及び併用する水ファントム又
性や経験年数等)
は水等価固定ファントム。
当該治療に用いる医療機器について、適切に保守管理がなされている。重粒子線治療の実績を10例以上有している。
その他
放射線治療計画ガイドライン(日本放射線腫瘍学会編)、頭頸部癌診療ガイドライン、肺癌診療ガイドライン、食道癌診療ガンドライン、肝癌診
(遵守すべきガイドライン等その他の 療ガイドライン、大腸癌治療ガイドライン,子宮頸癌治療ガイドラインなど
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

①肺縦隔腫瘍:Ⅰ期肺癌のGrade3以上の障害発生は1%(放医研および多施設共同研究)で定位照射より少なかった(Shioyama Y, et
al.IJROBP.2016 )。Ⅱ-Ⅲ期肺癌多施設共同研究でGrade3以上の副作用を認めていない(Karube M,et al.JRR.2017 )。
②消化器腫瘍:食道癌の術前重粒子線治療でGrade3以上の遅発性有害反応は認めなかった(J Surg Oncol.2012)。T1bN0症例38例の根治照射で
Grade3以上の遅発性反応は認めなかった(J-CROS報告2018)。また食道がん診療ガイドライン2022年版(金原出版)のCQ32において心肺機能が不
良な患者に対して陽子線治療による化学放射線療法を考慮することを弱く推奨する(エビデンスの強さ:C)と述べられ、その解説に同じ荷電粒
子である重粒子線も線量分布が優れており、心肺機能障害が低いことが記載されている。レジストリデータ解析では食道がんに対する陽子線治療
および重粒子線治療が行われた425例ではGrade3以上の有害事象は0.9%であった(文献2)。小型肝細胞癌に対する重粒子線治療とラジオ波焼灼術
(RFA)の治療成績を傾向スコアマッチングを用いて後方視的に解析した結果ではGrade3以上の有害事象は重粒子線:0%、RFA:1.2%であった(文献
3)。レジストリデータの解析で小型の原発性肝癌(腫瘍径3.5cm以下)では陽子線治療および重粒子線治療を受けた425例でGrade3以上の有害事
象が1.9%であった。
③婦人科腫瘍:子宮頸癌ではGrade3以上は0-9%であり、標準的治療と同等である(Wakatsuki M,et al.Cancer.2014)。レジストリデータの解析
で腫瘍径6cm以上の子宮頸部扁平上皮癌および婦人科悪性黒色腫に対して重粒子線治療が行われた32例でGrade3以上の有害事象は0%であった。二
次がん発症リスクも光子線治療と重粒子線治療は同等であった(文献4)。
④レジストリーデータの解析で転移性肺腫瘍では陽子線治療および重粒子線治療132例で、Grade3以上の有害事象は0.8%であった。転移性肝腫瘍
では陽子線治療および重粒子線治療200例で、Grade3以上の有害事象は3.5%であった。限局性リンパ節転移ではは陽子線治療および重粒子線治療
282例で、Grade3以上の有害事象は3.2%であった。(文献5)。
⑤AYA世代の腫瘍性疾患:通常のX線と比較して病巣に集中しつつ正常組織への線量の低減を図ることが可能であることから、晩期有害事象の発症
リスクや二次がん発症リスクを低減できると期待される。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後

該当なし
該当なし

その根拠

点数の見直しはなし

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