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提案書20(3802頁~4000頁) (32 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

見直し前の症例数(人)

約90万人(血液製剤使用実態調査などによる。輸血用血液製剤使用実患者数は約70万人。血漿分画製剤使用患者数は正確にはわからない)

見直し後の症例数(人)

約90万人(基本的には変わらない)

見直し前の回数(回)

約110万人(社会医療診療行為別統計より抽出)

見直し後の回数(回)

約110万人(社会医療診療行為別統計より抽出)基本的には変わらない

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

輸血管理料Ⅲの設定は、より安全で適正な輸血医療が実施できるためのものであり、輸血医療の適応に関しては「血液製剤使用指針」や学会の
「科学的根拠に基づいた血液製剤の使用ガイドライン」に基づいて実施されるために基本的に輸血を受ける患者数や輸血管理料を請求する患者数
は変わらない。

我々輸血に関わる医療従事者が目指すものは安全で適正な輸血療法の実践であり、過誤輸血など重症の輸血関連有害事象が起こらないように多職
種連携での輸血医療を目指してきた。医師・看護師・臨床検査技師とも他の関連学会や看護協会の推薦などを得て各認定制度を設立してきた。輸
血現場での安全性を維持するためには看護師の存在は重要であり、2010年に設立した学会認定・臨床輸血看護師制度の認定者は全国で2,000名を
超えて各医療施設における輸血教育・指導を行っている。その結果、血液製剤100万バッグ当りの過誤輸血件数は減少傾向を示している(2013年
7.05件/100万バッグ、2020年 2.08件/100万バッグ)。学会認定・臨床輸血看護師が配置されている施設とそうでない施設では、血液製剤100万
バッグあたりの過誤輸血件数が、3.16件、7.77件と差が認められた。学会としては「輸血チーム医療に関する指針」を制定し、認定制度の推進と
会員への周知に努めている。特に新規申請の看護師数は毎年200名を超えており、各医療施設の責任者(施設長、看護部長など)もその必要性を
痛感している(申請時に各施設の責任者の推薦書は必須である)。試験前日の講習会でしっかり勉強して頂き、合格率は95%程度である。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 輸血管理料(ⅠもしくはⅡ)取得施設であること
制等)
人的配置の要件
学会から示された指針の要件を満たし、その専門性が担保されている医師、臨床検査技師、看護師が常勤し、配置されており、輸血療法委員会を
(医師、看護師等の職種や人数、専門 設立し年6回以上開催し、さらに輸血医療に精通した医療スタッフによる輸血監査を行っていること
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 輸血チーム医療に関する指針(参考資料1:2017年12月発表)
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

血液製剤の安全性は飛躍的に向上したが、ある一定のリスクは伴う。特に輸血検査用の採血・検査、血液製剤保管管理と輸血の実施に際して、ヒ
トが行う以上、過誤を含めたリスクは伴う。一連の輸血医療における安全性を確保するには、各職種間のチーム医療が必要である。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

安全で適正な輸血医療の実践のために、輸血現場の医師、看護師の役割分担を明確化及び専門性の向上を目指し、輸血管理部門(医師、臨床検査
技師)を中心とした多職種連携の輸血医療の推進を担保するため、新設輸血管理料Ⅲは倫理的にも社会的にも妥当と考える。

見直し前

輸血管理料Ⅰ=220点/月

見直し後

輸血管理料Ⅲ=310点/月

その根拠

輸血医療に精通した医師・看護師・臨床検査技師が多職種連携によって安全で適正な輸血医療の実施を目指すことによって、赤血球製剤の適正使
用と廃棄血削減および過誤輸血防止が期待される(参考文献3)。令和3年6月の社会医療診療行為別統計(参考資料5)の輸血管理料総数は、輸
血管理料Ⅰ=53,232人/月であり、その中で認定医、認定輸血検査技師、学会認定・臨床輸血看護師が配置されている施設(以下認定施設とす
る) は112施設(全体の20.18%)なので、新設輸血管理料Ⅲが取得できる人数は月53,232x0.2018=10,742人である。認定施設の廃棄率は0.49%(2523
袋)で非認定施設は0.88%(9163袋)であり、この廃棄血の差(9163-2523袋)を赤血球液2単位製剤(18,132円/2単位)で換算すると120,396,480円と
なる。これを一人あたりで割ると、120,396,480/10,742/12≒910円となる。この差を従来の輸血管理料Ⅰの220点に追加して310点は妥当と考え
る。

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

区分
番号
技術名
具体的な内容


920
保存血液輸血
国にとっては、赤血球廃棄率の減少に伴う医療資源の減少=6,640本。保存血液輸血料として531万点(5,310万円)。
医療施設にとっては廃棄血による損失と保存血輸血料が請求できないことによる収入減となるが、その分、適正な輸血医療が推進されることが期
待される。
増(+)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

1.34億円

その根拠

●増加
令和元年6月の社会医療診療行為別統計(参考資料5)の輸血管理料総数は、輸血管理料Ⅰ53,232人であり、その中で認定医、認定輸血検査技
師、学会認定・臨床輸血看護師が配置されている施設は112施設(20.18%)なので、新設輸血管理料Ⅲが取得できる人数は月10,742人である。増加
する費用は、新設輸血管理料Ⅲ=310点として、10,742人x3,100円x12月=4.00億円と従来の輸血管理料Ⅰ取得施設(非認定施設)
43,143x2,200x12=11.39億円の合計15.39億円・・・①
本来輸血管理料Ⅰに対する費用=53,232x2,200x12=14.05億円・・・②
増加分=①-②=1.34億円
●減少
院内輸血管理体制が整備されることによる適正輸血の推進に伴う血液製剤の使用量減少と廃棄血削減に伴う医療資源の削減に繋がる。

備考

過誤輸血の減少は金額だけでは表現出来ないくらいの医療費削減に繋がるし、何よりも患者生命に関わるので計り知れない。

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

少なくと輸血管理料Ⅲを導入することで新たに使用される医薬品や医療機器は必要なく、むしろ輸血現場のスタッフと共に安全で適正な輸血療法
を実施するようになることで、廃棄血は減少し、輸血過誤などの輸血関連有害事象は減少することが期待される。適正輸血と安全な輸血の実施は
医療従事者の責務であり、輸血の専門性を有する医師・看護師・臨床検査技師が中心となって、院内スタッフの教育・指導を行うことで改善でき
ると思われる。

⑫その他

多職種連携による輸血医療の推進によって、院内輸血管理体制はさらに進み、輸血監査を行うことによって輸血現場の医療スタッフ共に、より安
全な輸血医療を目指すようになる。輸血管理料Ⅲ取得施設では、過誤輸血件数は発生しなくなり、輸血廃棄率が減少することによって、施設の経
営的にもプラスになるし、国内の医療施設における無駄を無くすことが可能となる。

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

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