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08参考資料1 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンファクトシート追補版 (44 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63875.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第31回 9/25)《厚生労働省》
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るが、後者の HPV 感染後発症までの所要時間(発症プロセス)について援用可能な研究は
存在しない。Ng らのレビューに含まれている gender -neutral vaccination を扱った 14 件の
論文の発症予防効果をみると、生涯持続が 8 件、残りの 6 件のうち記述なしの 2 件を除い
た 4 件では 50 年以上の効果持続を仮定している。実際に有効性の持続期間を評価した研究
としては、Goldstone らの研究(40)や、Ferris ら(43)の研究で 4 価 HPV ワクチン接種後の
抗体価が 10 年持続するというデータが示されており、その後も一定程度効果が持続すると
想定されることから、今回の解析では、Datta らの研究を援用し、発症予防効果の持続期間
を接種後 20 年として、その後 5 年かけて発症予防効果が 95%から0%まで減衰すると仮定
した(82)。ただし、Datta の仮定は通常のワクチン効果持続期間そのものについての仮定で
あり、感染後発症までの所要時間は考慮されていない。そのため、発症予防効果が接種後 30
年持続するとした場合の感度分析を実施し、別途示した。
疾患そのものの罹患率は、Kitano らの研究での手法をもとに国内の数値を援用した。肛
門がん及び陰茎がんは WHO のデータ(83)から、尖圭コンジローマは Kawado ら(31)の研
究から得た。中咽頭がんの罹患率は、頭頸部がん全体の数値をがん統計(84)から取得した上
で、日本頭頸部癌学会のがん登録データ(85)から得た頭頸部がんのうちの中咽頭がんの占め
る割合を乗じて求めた。
公的医療費支払者の立場から、保健医療費(ワクチン接種関連費用と、感染症治療に関わ
る保険医療費)のみを分析に組み込んだ。1 回 12,000 円の 3 回接種を仮定しており、 接
種費用 1 回あたり 3,718 円を合わせると、15,718×3=47,354 円 となる。医療費のデー
タは、日本システム技術株式会社(JAST)と DeSC ヘルスケア株式会社のレセプトデータベ
ースの数値を用いた。2022 年までのレセプトが集計対象となった。
効果指標には QALY を用い、1QALY 獲得あたりの増分費用効果比 ICER を算出した。
QOL 値のデータは、Palmer らの数値を援用した。将来に発生するコストや QALY を現在
の価値に調整する割引 (discount)を適用した。割引率は年率 2%とした。年率 2%で調整す
ると、10 年後・30 年後・50 年後に発生する 100 万円のコストはそれぞれ現在の価値で 82.0
万円・55.2 万円・37.2 万円と換算される。
なお、海外においては男性への 9 価 HPV ワクチンの接種および 2 回が認められている
が、国内では認められていないため、4価 HPV ワクチンの3回接種を前提として解析を行
った。
② 費用対効果分析
ア)男性に対する疾患のみを対象とした場合
男性に対する疾患のみを対象とした場合、製造販売承認の範囲内である、尖圭コンジロー
マ・肛門がんを対象とする場合(A)と、承認の範囲外ではあるが、有効性が推定される中
咽頭部周辺のがん・陰茎がんを対象として加えた場合(B)のシナリオがある。(A)では、
ICER が 2 億 3,459.7 万円/QALY と極めて大きく、また、罹患率が相対的に高い中咽頭部
周辺のがんを含んだ(B)のシナリオでは ICER は 9,334.9 万円/QALY に低下するものの、
一般的に「費用対効果が良好である」と判断される水準(上限値)は 500 万円~600 万円で、
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