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08参考資料1 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンファクトシート追補版 (43 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63875.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第31回 9/25)《厚生労働省》 |
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5. 2 費用対効果分析
① 前提条件
男性への HPV ワクチン接種の費用対効果について、Ng らの 9 価 HPV ワクチンの費用
対効果評価のシステマティックレビュー (2018) (79)では、34 件の費用対効果の論文が検
討されており、このうち 14 件が男性接種すなわち"gender-neutral vaccination"の研究であ
る。14 件すべての研究で、女性への間接的効果(主に子宮頸がん)が評価に組み込まれて
いる。
「男性」接種による「女性」の子宮頸がんの罹患減少効果を推計する際には、必然的に接種
者以外への波及効果を組み込んだモデルが必要になる。そのため、接種者本人以外の罹患減
少効果を考慮できる Dynamic model が、14 件全ての研究で採用されている。
Dynamic model は集団への影響評価を前提とするため、通常の罹患率のデータのみなら
ず、性行動の頻度や男女間の感染確率などについてもデータが必要になる。十分な国内デー
タに基づいて Dynamic model を再構築することが困難であることから、Palmer らの
Dynamic model による国内の推計(78) (80)と、Kitano らの Markov model (Static model に
分類される)に基づいた国内の推計(81)をベースに、i) 男性の HPV 関連各種疾患への直接
的効果を Markov model により推計し、ii) 女性への間接的効果(子宮頸がんの予防効果)
を女性接種に関する評価モデルを通して推計することとした。
分析にあたっては、受益者の視点、製造販売承認の範囲内かどうかという視点から、下記
の 3 つのシナリオに対してそれぞれ評価を行った。
A)
B)
C)
男性に対する尖圭コンジローマ・肛門がんを対象とした場合
A)に加えて、中咽頭部周辺のがん・陰茎がんを対象とした場合
B)に加えて、女性への間接的効果を組み入れた場合
また、男性の HPV 関連疾患の影響を評価するためには、疾患そのものの罹患率に加えて、
1)各疾患のうち HPV(より正確には、ワクチンに含まれる HPV 型の HPV)が関与す
る割合
2)「HPV が関与している疾患」を、ワクチンによって予防できる期間
の検討が必要になる。
1)については、既存の費用対効果の文献(78)(80)から関与割合を求めた。2)について
は、通常のワクチン効果持続期間に加えて、感染から発症に至るまでの経過時間も考慮する
必要がある。しかし、感染から発症までのモデル化が試みられている女性の子宮頸がんとは
異なり、男性の疾患では HPV の関与割合 (A)の評価はあるものの、(2)の予防期間につい
て、ワクチンの効果持続期間と HPV 感染から発症までの期間を合わせて評価する必要があ
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① 前提条件
男性への HPV ワクチン接種の費用対効果について、Ng らの 9 価 HPV ワクチンの費用
対効果評価のシステマティックレビュー (2018) (79)では、34 件の費用対効果の論文が検
討されており、このうち 14 件が男性接種すなわち"gender-neutral vaccination"の研究であ
る。14 件すべての研究で、女性への間接的効果(主に子宮頸がん)が評価に組み込まれて
いる。
「男性」接種による「女性」の子宮頸がんの罹患減少効果を推計する際には、必然的に接種
者以外への波及効果を組み込んだモデルが必要になる。そのため、接種者本人以外の罹患減
少効果を考慮できる Dynamic model が、14 件全ての研究で採用されている。
Dynamic model は集団への影響評価を前提とするため、通常の罹患率のデータのみなら
ず、性行動の頻度や男女間の感染確率などについてもデータが必要になる。十分な国内デー
タに基づいて Dynamic model を再構築することが困難であることから、Palmer らの
Dynamic model による国内の推計(78) (80)と、Kitano らの Markov model (Static model に
分類される)に基づいた国内の推計(81)をベースに、i) 男性の HPV 関連各種疾患への直接
的効果を Markov model により推計し、ii) 女性への間接的効果(子宮頸がんの予防効果)
を女性接種に関する評価モデルを通して推計することとした。
分析にあたっては、受益者の視点、製造販売承認の範囲内かどうかという視点から、下記
の 3 つのシナリオに対してそれぞれ評価を行った。
A)
B)
C)
男性に対する尖圭コンジローマ・肛門がんを対象とした場合
A)に加えて、中咽頭部周辺のがん・陰茎がんを対象とした場合
B)に加えて、女性への間接的効果を組み入れた場合
また、男性の HPV 関連疾患の影響を評価するためには、疾患そのものの罹患率に加えて、
1)各疾患のうち HPV(より正確には、ワクチンに含まれる HPV 型の HPV)が関与す
る割合
2)「HPV が関与している疾患」を、ワクチンによって予防できる期間
の検討が必要になる。
1)については、既存の費用対効果の文献(78)(80)から関与割合を求めた。2)について
は、通常のワクチン効果持続期間に加えて、感染から発症に至るまでの経過時間も考慮する
必要がある。しかし、感染から発症までのモデル化が試みられている女性の子宮頸がんとは
異なり、男性の疾患では HPV の関与割合 (A)の評価はあるものの、(2)の予防期間につい
て、ワクチンの効果持続期間と HPV 感染から発症までの期間を合わせて評価する必要があ
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