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08参考資料1 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンファクトシート追補版 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63875.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第31回 9/25)《厚生労働省》 |
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ヒトパピローマウイルス( HPV )ワクチンファクトシート追補版作成の背景
2020 年 12 月に 4 価 HPV ワクチンの効能・効果について、前駆病変を含む肛門がん(男女)及び尖
圭コンジローマ(男性)の予防に対する適応拡大が承認された。これを受け、男性に対して HPV ワク
チンの定期接種化の議論が求められてきた。2022 年 8 月第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン
分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会にて、2価・4価 HPV ワクチン及び、9
価 HPV ワクチンのファクトシートに追記する形で、男性も含めた HPV 関連疾患の予防に関する最新
のエビデンスの整理を中心に、ファクトシート追補版を作成することが議論された。
本追補版では、国立がん研究センター、国際医療福祉大学、横浜市立大学の協力を得て、男性に発生
する HPV 関連疾患の特性、その疫学、男性に対する予防接種の効果、安全性、医療経済学的評価、諸
外国の男性への HPV ワクチン導入状況を中心に、2023 年 3 月まで(一部それ以降)のエビデンス、状
況について追記または情報更新をした。男性に対する HPV ワクチンのわが国の予防接種政策における
位置づけ、スケジュールなどに関する今後の議論の場で、本資料が活用されれば幸いである。
HPV ワクチンファクトシート追補版の要約
(疾患の特性)
ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)はさまざまながんと関連しており、男女とも
に発症リスクがある肛門がんや頭頸部がん、男女それぞれに特有の生殖器がんの原因ウイルスである。特
に、高リスク型 HPV と呼ばれる HPV16 型や HPV18 型は、肛門がん、中咽頭部周辺のがん、腟がん、
外陰がん、陰茎がんなどの病変部位の多くから検出されており、高リスク型 HPV を標的とした 4 価 HPV
ワクチンによる予防効果が期待される。また、HPV の主要な感染経路は異性間の性的接触であり、男性
から女性への感染だけでなく女性から男性への異性間感染にも大きな注意を払う必要がある。
(疫学の状況(国内及び海外)
)
HPV は子宮頸がん以外に、肛門がん、中咽頭がん、陰茎がん、腟がんなどの原因になることが知られ
ている。肛門がんの年齢調整罹患率は男性 0.49 例、女性 0.38 例(2019 年;人口 10 万対)で、男性が女
性に比べて罹患率がやや高い。肛門がんの年齢調整死亡率の推移は男性ではゆるやかな上昇傾向がみら
れるが、女性はほぼ横ばいの推移となっている。中咽頭部周辺のがんの年齢調整罹患率は 1993 年から
2015 年にかけて男女ともゆるやかに上昇しており、毎年の増加率は男性で 5.0%、女性で 7.6%であった
と推計されている。中咽頭部周辺のがんの 50%強が HPV 感染に関連していることが示唆されている。
陰茎がん、外陰部がん、腟がんともに、1995 年から 2021 年にかけて罹患率・死亡率ともにほぼ横ばい
の推移で著明な増減の傾向は見られていない。
5 類感染症定点把握疾患である尖圭コンジローマの年齢別報告数は男女ともに 20 代が最も多く、最近
の発生動向は、男性は横ばい~やや増加傾向、女性は横ばいである。HPV ワクチン導入前の疫学とし
て、尖圭コンジローマ患者の約 9 割から低リスク遺伝子とされる HPV6 型、11 型が検出される一方、
約半数が高リスク HPV 遺伝子型にも重複感染していることが示されている。海外では HPV ワクチンを
女性のみに導入後 5~8 年間追跡した結果、肛門性器の疣贅は男女ともに減少したことが報告されてい
る。HPV の主要な感染経路が異性間の性的接触であることを反映し、その減少のタイミングは、男性
は女性より 1 年程度遅れて観察されている。
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2020 年 12 月に 4 価 HPV ワクチンの効能・効果について、前駆病変を含む肛門がん(男女)及び尖
圭コンジローマ(男性)の予防に対する適応拡大が承認された。これを受け、男性に対して HPV ワク
チンの定期接種化の議論が求められてきた。2022 年 8 月第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン
分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会にて、2価・4価 HPV ワクチン及び、9
価 HPV ワクチンのファクトシートに追記する形で、男性も含めた HPV 関連疾患の予防に関する最新
のエビデンスの整理を中心に、ファクトシート追補版を作成することが議論された。
本追補版では、国立がん研究センター、国際医療福祉大学、横浜市立大学の協力を得て、男性に発生
する HPV 関連疾患の特性、その疫学、男性に対する予防接種の効果、安全性、医療経済学的評価、諸
外国の男性への HPV ワクチン導入状況を中心に、2023 年 3 月まで(一部それ以降)のエビデンス、状
況について追記または情報更新をした。男性に対する HPV ワクチンのわが国の予防接種政策における
位置づけ、スケジュールなどに関する今後の議論の場で、本資料が活用されれば幸いである。
HPV ワクチンファクトシート追補版の要約
(疾患の特性)
ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)はさまざまながんと関連しており、男女とも
に発症リスクがある肛門がんや頭頸部がん、男女それぞれに特有の生殖器がんの原因ウイルスである。特
に、高リスク型 HPV と呼ばれる HPV16 型や HPV18 型は、肛門がん、中咽頭部周辺のがん、腟がん、
外陰がん、陰茎がんなどの病変部位の多くから検出されており、高リスク型 HPV を標的とした 4 価 HPV
ワクチンによる予防効果が期待される。また、HPV の主要な感染経路は異性間の性的接触であり、男性
から女性への感染だけでなく女性から男性への異性間感染にも大きな注意を払う必要がある。
(疫学の状況(国内及び海外)
)
HPV は子宮頸がん以外に、肛門がん、中咽頭がん、陰茎がん、腟がんなどの原因になることが知られ
ている。肛門がんの年齢調整罹患率は男性 0.49 例、女性 0.38 例(2019 年;人口 10 万対)で、男性が女
性に比べて罹患率がやや高い。肛門がんの年齢調整死亡率の推移は男性ではゆるやかな上昇傾向がみら
れるが、女性はほぼ横ばいの推移となっている。中咽頭部周辺のがんの年齢調整罹患率は 1993 年から
2015 年にかけて男女ともゆるやかに上昇しており、毎年の増加率は男性で 5.0%、女性で 7.6%であった
と推計されている。中咽頭部周辺のがんの 50%強が HPV 感染に関連していることが示唆されている。
陰茎がん、外陰部がん、腟がんともに、1995 年から 2021 年にかけて罹患率・死亡率ともにほぼ横ばい
の推移で著明な増減の傾向は見られていない。
5 類感染症定点把握疾患である尖圭コンジローマの年齢別報告数は男女ともに 20 代が最も多く、最近
の発生動向は、男性は横ばい~やや増加傾向、女性は横ばいである。HPV ワクチン導入前の疫学とし
て、尖圭コンジローマ患者の約 9 割から低リスク遺伝子とされる HPV6 型、11 型が検出される一方、
約半数が高リスク HPV 遺伝子型にも重複感染していることが示されている。海外では HPV ワクチンを
女性のみに導入後 5~8 年間追跡した結果、肛門性器の疣贅は男女ともに減少したことが報告されてい
る。HPV の主要な感染経路が異性間の性的接触であることを反映し、その減少のタイミングは、男性
は女性より 1 年程度遅れて観察されている。
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