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08参考資料1 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンファクトシート追補版 (20 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63875.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第31回 9/25)《厚生労働省》 |
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第3章 有効性の観点
3.1 4 価 HPV ワクチンの有効性
男性における HPV6、11、16、18 の感染に起因する肛門がん(扁平上皮がん)及びその前駆病変(肛
門上皮内腫瘍(AIN)グレード 1、2、3)
、尖圭コンジローマの発症予防を目的としており、日本を含めた
18 か国の 16 歳~26 歳の健康な男性を対象とした無作為化二重盲検試験が実施されている(39)。陰茎/陰
茎亀頭、陰嚢及び会陰/肛門周囲の肛門外にあたる部位を性器周辺部とし、HPV6、11、16、18 に関連し
た性器周辺部病変(尖圭コンジローマ、陰茎/肛門周囲/会陰部の上皮内腫瘍(PIN)及び陰茎/肛門周囲/会
陰部のがん)に対する 4 価 HPV ワクチンの発症予防効果が検討された。初回接種前から 3 回目接種後 1
か月まで HPV6、11、16、18 型に未感染の集団(per-protocol population)で、4 価 HPV ワクチン接種者
(1,397 人)とプラセボ接種者(1,408 人)を 3 年間観察した。HPV6、11、16、18 型に関連した性器周
辺部病変に対する発症予防効果は 90.4%(95%CI:69.2, 98.1)
、尖圭コンジローマに対する発症予防効果
は 89.4%(95%CI:65.5, 97.9)であった。プラセボ接種群で PIN1 以上は 3 人だったのに対し、ワクチ
ン接種群では 0 人であった。また性器周辺部での HPV6、11、16、18 型の持続感染に対する予防効果は
85.6%(95%CI:73.4, 92.9)
、HPV16 型の持続感染に対する予防効果は 78.7%(95%CI:55.5, 90.9)
、
HPV18 型の持続感染に対する予防効果は 96.0%(95%CI:75.6, 99.9)であった。一方、登録時の HPV
感染を問わない集団(intention-to-treat population)では、持続感染に対するワクチンの有効率は、HPV16
型で 46.9%(95%CI:28.6, 60.8)
、HPV18 型で 56.0%(95%CI:28.2, 73.7)であった。
この臨床試験では肛門疾患の発症頻度が高い集団として、男性と性交渉を持つ男性(mem who have sex
with men:MSM)の被験者群が設定されている(3) 。この被験者群の per-protocol population のワクチン
接種者(299 人)とプラセボ接種者(299 人)において、HPV6、11、16、18 型に関連した肛門疾患(AIN
又は肛門がん)に対する予防効果は 77.5%(95%CI:39.6, 93.3)であった。AIN グレード1および 2/3
に対する予防効果は、73.0%(95%CI:16.3, 93.4)および 74.9%(95%CI:8.8, 95.4)であった。また
肛門部での HPV6、11、16、18 型の持続感染に対する予防効果は 94.9%(95%CI:80.4, 99.4)であっ
た。
血清抗体陽転(seroconversion)については、4 価 HPV ワクチンを 3 回接種後 1 か月の時点で、ほぼ全
ての被験者が HPV6、11、16、18 型に対する抗体陽性を示した(表 2)(39) 。10 年間にわたる長期観察
の結果では、
抗体陽性率は徐々に低下し、HPV18 型に対する抗体陽性率は約 40%まで低下したが、HPV6、
11、16 型に対しては約 80%以上の被験者で抗体陽性が維持されていた(40) 。
表2 4 価 HPV ワクチン接種者(16 歳~26 歳の男性)の抗体陽性率
ワクチン接種後 1 か月
ワクチン接種後 10 年
(95%CI)(39)
(95%CI) (40)
HPV6 型抗体
98.9% (98.1~99.4)
79.1% (74.7~83.2)
HPV11 型抗体
99.2% (98.4~99.6)
79.9% (75.5~83.9)
HPV16 型抗体
98.8% (97.9~99.3)
94.9% (92.2~96.9)
HPV18 型抗体
97.4% (96.3~98.2)
40.2% (35.4~45.1)
より若い年代の男性に対する 4 価 HPV ワクチンの免疫原性も報告されている。10 歳~15 歳の健康男
女を対象にした臨床試験では、4 価 HPV ワクチンを 3 回接種後 1 か月の時点で、ほぼ全ての男性被験者
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3.1 4 価 HPV ワクチンの有効性
男性における HPV6、11、16、18 の感染に起因する肛門がん(扁平上皮がん)及びその前駆病変(肛
門上皮内腫瘍(AIN)グレード 1、2、3)
、尖圭コンジローマの発症予防を目的としており、日本を含めた
18 か国の 16 歳~26 歳の健康な男性を対象とした無作為化二重盲検試験が実施されている(39)。陰茎/陰
茎亀頭、陰嚢及び会陰/肛門周囲の肛門外にあたる部位を性器周辺部とし、HPV6、11、16、18 に関連し
た性器周辺部病変(尖圭コンジローマ、陰茎/肛門周囲/会陰部の上皮内腫瘍(PIN)及び陰茎/肛門周囲/会
陰部のがん)に対する 4 価 HPV ワクチンの発症予防効果が検討された。初回接種前から 3 回目接種後 1
か月まで HPV6、11、16、18 型に未感染の集団(per-protocol population)で、4 価 HPV ワクチン接種者
(1,397 人)とプラセボ接種者(1,408 人)を 3 年間観察した。HPV6、11、16、18 型に関連した性器周
辺部病変に対する発症予防効果は 90.4%(95%CI:69.2, 98.1)
、尖圭コンジローマに対する発症予防効果
は 89.4%(95%CI:65.5, 97.9)であった。プラセボ接種群で PIN1 以上は 3 人だったのに対し、ワクチ
ン接種群では 0 人であった。また性器周辺部での HPV6、11、16、18 型の持続感染に対する予防効果は
85.6%(95%CI:73.4, 92.9)
、HPV16 型の持続感染に対する予防効果は 78.7%(95%CI:55.5, 90.9)
、
HPV18 型の持続感染に対する予防効果は 96.0%(95%CI:75.6, 99.9)であった。一方、登録時の HPV
感染を問わない集団(intention-to-treat population)では、持続感染に対するワクチンの有効率は、HPV16
型で 46.9%(95%CI:28.6, 60.8)
、HPV18 型で 56.0%(95%CI:28.2, 73.7)であった。
この臨床試験では肛門疾患の発症頻度が高い集団として、男性と性交渉を持つ男性(mem who have sex
with men:MSM)の被験者群が設定されている(3) 。この被験者群の per-protocol population のワクチン
接種者(299 人)とプラセボ接種者(299 人)において、HPV6、11、16、18 型に関連した肛門疾患(AIN
又は肛門がん)に対する予防効果は 77.5%(95%CI:39.6, 93.3)であった。AIN グレード1および 2/3
に対する予防効果は、73.0%(95%CI:16.3, 93.4)および 74.9%(95%CI:8.8, 95.4)であった。また
肛門部での HPV6、11、16、18 型の持続感染に対する予防効果は 94.9%(95%CI:80.4, 99.4)であっ
た。
血清抗体陽転(seroconversion)については、4 価 HPV ワクチンを 3 回接種後 1 か月の時点で、ほぼ全
ての被験者が HPV6、11、16、18 型に対する抗体陽性を示した(表 2)(39) 。10 年間にわたる長期観察
の結果では、
抗体陽性率は徐々に低下し、HPV18 型に対する抗体陽性率は約 40%まで低下したが、HPV6、
11、16 型に対しては約 80%以上の被験者で抗体陽性が維持されていた(40) 。
表2 4 価 HPV ワクチン接種者(16 歳~26 歳の男性)の抗体陽性率
ワクチン接種後 1 か月
ワクチン接種後 10 年
(95%CI)(39)
(95%CI) (40)
HPV6 型抗体
98.9% (98.1~99.4)
79.1% (74.7~83.2)
HPV11 型抗体
99.2% (98.4~99.6)
79.9% (75.5~83.9)
HPV16 型抗体
98.8% (97.9~99.3)
94.9% (92.2~96.9)
HPV18 型抗体
97.4% (96.3~98.2)
40.2% (35.4~45.1)
より若い年代の男性に対する 4 価 HPV ワクチンの免疫原性も報告されている。10 歳~15 歳の健康男
女を対象にした臨床試験では、4 価 HPV ワクチンを 3 回接種後 1 か月の時点で、ほぼ全ての男性被験者
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