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資料2‐2 令和6年度 業務実績概要説明資料 (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59553.html
出典情報 厚生労働省国立研究開発法人等審議会 高度専門医療研究評価部会(第40回 8/7)《厚生労働省》
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評価項目No.1-1


担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進

がんの本態解明に関する研究

②肺腺がんに新たな治療標的となる遺伝子を発見<評価書P7>

①国際共同研究により世界最大規模の腎臓がんの全ゲノム解析を実施<評価書6P>
○淡明細胞型腎細胞がんは腎細胞がんの中で最も頻度が高く、全体の60~75%程度
を占める。その発症頻度は地域ごとに大きく異なるが、その理由は明らかでなかっ
た。
○突然変異の起こり方には一定のパターンがあり、このパターンは変異シグネチャー
と呼ばれ、喫煙や紫外線曝露といった様々な環境要因と遺伝的背景によって異なる。
○日本を含む11か国の国際共同研究により、過去最大の962症例の腎細胞がんの全ゲ
ノム解析が行われ、日本の淡明細胞型腎細胞がんの72%の症例でSBS12シグネ
チャーが検出されたが、一方、他国では2%程度の症例に留まっていた。
(ポイント)
●日本人の腎細胞がんの7割に、他国ではほとんど見られない未知の発がん要因が存
在することを明らかとした。
●未知の発がん要因やそのメカニズムなどについてさらに研究を進めることにより、
日本における腎細胞がんに対する新たな予防法や治療法の開発が期待される。
参加した国々と収集したサンプル数、各地域における
淡明細胞型腎細胞がんの発症頻度

日本36症例、イギリス115症例、チェコ259症例、セ
ルビア69症例、リトアニア16症例、ルーマニア64症例、
ポーランド13症例、ロシア216症例、カナダ73症例、
ブラジル96症例、タイ5症例

〇肺腺がんではEGFR、ALKなどの遺伝子の活性化変異に対する分子標的治療の登場に
より治療成績が向上したが、約30%の症例では有効な治療薬の標的となる遺伝子変
異が見つかっておらず、新たな治療標的を検出する革新的な解析方法が求められてる。
○分子標的治療の対象となる遺伝子変異が見つからない174例の肺腺がんについて、ロ
ボティクス技術を含めた先駆的な全ゲノムシークエンス技術の統合解析を実施した。
○肺腺がんには、HER2(ERBB2)など治療標的として有望な遺伝子が存在することや
これまで判明していなかった新たな遺伝子が多く存在することを確認。
(ポイント)
●研究チームが新たに開発した、特定の遺伝子発現を強力に促進するゲノム領域とそ
の構造変異を全ゲノムシークエンスにより統合的に解析する手法「スーパーエンハ
ンサー」が、がんの個別化医療の進展に寄与し、新たな治療標的や予後予測因子を
見つけるための基盤となることが期待される。
全ゲノムシークエンス、ChIP-seq、Hi-Cを用いた統合解析

各国との変異シグネチャーの比較

SBS4は喫煙が原因、SBS12は原因不
明、SBS22a/22bはアリストロキア
酸が原因、SBS40a/b/cは原因不明

本研究成果は国際学術誌『Nature』に掲載された

HER2遺伝子の周辺領域におけるスーパーエンハンサーの形成や構造変異を、全ゲノムシークエンス、ChIP-seq、
およびHi-C解析を用いて統合的に解析することで、HER2の遺伝子発現におけるエピジェネティクスとゲノム構造の
相互作用が明らかにすることが可能(左)。HER2遺伝子におけるスーパーエンハンサーと遺伝子発現とのリンク
分析(右上)。個々の肺腺がん症例におけるスーパーエンハンサーの形成と構造変異の俯瞰図(右下)。
本研究成果は国際学術誌『Molecular Cancer』に掲載された

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