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参考資料4_歯学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版) (86 ページ)

公開元URL https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/125/mext_00004.html
出典情報 看護学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂に関する連絡調整委員会(第1回 7/19)《文部科学省》
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(3)診療能力の評価
患者診療の現場では、様々な知識をもとに推論を重ねた上で適切な判断を行い、確かな技能をもとに質の保
たれた診療を提供する必要がある。患者診療としては、歯科臨床手技の巧緻だけではなく、患者安全、感染対
策、倫理的配慮、コミュニケーション等の能力を総合的に実践する必要があるため、様々な場面で、評価者に
よる直接的な観察評価が必要となる。臨床現場での学修の特徴としては、学修者間での学修症例の同一性担保
が困難であることや評価機会や評価者が複数にわたること等、恒常的な評価活動を行うためには、評価者間の
すり合わせ、ルーブリック等の評価基準の設定が必要となる。これまで、臨床実習の評価としては、症例自験
ケース数の積算による評価等が活用されてきたが、量的な評価だけではなく、学修者の学修目標への到達度、
臨床に必要な総合的な能力を具体的に評価することが必要である。教員だけではなく、病院スタッフや患者の
協力を得て行う 360 度評価についても、運営に周到な準備が必要ではあるが有用性が高い方法である。
・診療能力に関係する評価方法
実際の診療現場や診療現場を模した擬似環境(模擬患者・擬似診療場面等)で実施できる診療能力評価は、
以下が例として挙げられる。
知識:口頭試験(mini-CEX)
技能・行動:シミュレーション試験(OSCE)、臨床実地試験、観察記録、活動記録(ログブック)、ポートフ
ォリオ、360 度評価等
* 客観性・信頼性を高めるためのツール:ルーブリック・評定尺度・チェックリスト等
(4)共用試験
平成 14 年から平成 17 年のトライアル期間を経て平成 18 年から正式実施となった共用試験は、臨床実習開
始前の歯学生を対象に臨床実習で歯科医行為を許容できる能力を修得できているかを評価する試験であった。
しかし、十数年の実績を元に社会的な評価を受け、令和 3 年の歯科医師法改正により、令和 6 年から公的化さ
れることとなった。臨床実習開始時に必要な能力の修得状況を評価するために、知識の総合的理解力について
はコンピューターを用いた客観試験(CBT)で、また診療に必要な基本的診療技能・態度については客観的臨床
能力試験(OSCE)が用いられ、公的化に伴い両者の合格が歯科医師国家試験の受験要件となった。
臨床実習開始前の評価と相まって、学生が臨床実習により修得した臨床能力が歯学部卒業許容レベルである
かを評価するために、臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-CC PX)が、平成 29 年から令和元年のトライアル期
間を経て令和 2 年から実施となった。Post-CC PX は「歯学教育モデル・コア・カリキュラム(平成 28 年度改訂
版)」において「G 臨床実習」の別表「臨床実習の内容と分類」に提示された「3. 基本的臨床技能」のうち
「I. 指導者のもと実践する」「II. 指導者のもとでの実践が望まれる」の内容を中心に構成される課題に対し
て、主に態度領域の評価を目的とする臨床実地試験(CPX)、また複数疾患を再現した統合型共通模型を用いて技
能領域を評価する一斉技能試験(CSX)によって構成されている。
このように共用試験は臨床実習前後の学生の臨床能力を評価する試験である。
(5)歯科医師国家試験
歯科医師国家試験は、歯科医師法第 9 条により「臨床上必要な歯科医学および口くう衛生に関して、歯科医
師として具有すべき知識および技能」に関して実施される国家試験である。現在は、年 1 回実施される。概ね
4 年に一度見直される歯科医師国家試験出題基準によって、出題数、出題内容、合格基準が定められる。共用
試験の公的化と合わせ、国民・社会に対し、歯科医師としての医業を開始するにあたっての質を保証するため
の試験である。最新の関連情報は、厚生労働省の情報を確認されたい。

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