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規制改革推進に関する答申(案) (92 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/220527/agenda.html
出典情報 規制改革推進会議(第13回 5/27)《内閣府》
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の実現に向けて取り組んでいく上で、漁協がその役割をより一層発揮していくこ
とが求められている。そのような役割を果たすためには、「漁協等向けの総合的
な監督指針(信用事業及び共済事業のみに係るものを除く。)」
(以下「監督指針」
という。)に基づき、漁協の規模等に応じて、コンプライアンス担当役員及び代
表理事を長とするコンプライアンス委員会の設置、コンプライアンス・マニュア
ルの策定・改定、法令等遵守等の研修の実施、役職員の当事者責任及び監督責任
の取り方の明確化、内部通報窓口の設置、内部監査の実施、問題発生時の対処要
領等の策定など、実効性ある監督体制の構築に努める必要がある。
しかし、足元では漁協職員が当事者となっている焼津漁港冷凍カツオ窃盗事件
を始め、青森県大間町産クロマグロの漁獲報告漏れの疑い、熊本県産表示アサリ
に大量の外国産アサリが混入していた産地偽装問題、JFしまねが平成 29 年か
ら令和3年まで過去5年分の密漁について告訴をせず大部分が刑事責任を問え
なくなった件など、水産業全体で複数の不祥事・不正行為が発覚しており、水産
業の成長産業化を妨げかねない状況となっている。
また、漁協に関しては、独占禁止法の遵守についても課題がある。令和3年2
月1日の農林水産ワーキング・グループにおいて、系統外出荷の制限や役務提供
を伴わない手数料の徴収など、独占禁止法違反の疑いのある漁協の行為が複数報
告された。これを受けて、同年4月には「漁業協同組合における独占禁止法の遵
守について」(令和3年4月 14 日付3水漁第 69 号水産庁長官通知及び令和3年
4月 15 日付2水漁第 69 号水産庁長官通知)が発出され、同年6月の規制改革実
施計画において、独占禁止法に違反する行為の根絶に向けた取組を行うことが閣
議決定された。公正取引委員会による調査が行われ、系統外出荷の制限などの疑
いがあったことから、当該行為を行っていた者に対して注意が行われている。問
題のある事例を解説した「水産物・水産加工品の適正取引推進ガイドライン」が
同年 11 月に取りまとめられ、一部の地域においては改善が見られた。一方、例
えば、海苔の取引に関して、全量組合出荷を前提とする誓約書が作成・提出され
る事案が見られたほか、一部の都道府県においても、独占禁止法上問題となるお
それのある行為が確認されている。
以上のような漁協の不祥事・不正行為を根絶するためには、実効性ある監督体
制の構築を行うべきである。特に、独占禁止法の遵守については、監督指針にお
いて、漁協関係者への周知・徹底を図ることとされている「農業協同組合の活動
に関する独占禁止法上の指針」
(平成 19 年 4 月 18 日公正取引委員会)によれば、
組合員が生産資材の購入や生産物の出荷をする際に「農業協同組合の事業を利用
するか否かは組合員の自由意思に委ねられている。」とされている。同じく令和
2年に公正取引委員会が作成した「協同組合等における独占禁止法コンプライア
ンスに関する取組状況について」も参考として、漁協の販売事業は組合員自らの
自由意思に委ねられていることを現場に徹底する必要がある。
さらに、漁協は、法令遵守を含むガバナンス体制の構築に努めるとともに、組
合員の所得向上を図るという重要な役割を担うこととされているが、農林水産省
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