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医療IT委員会 答申 (22 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.med.or.jp/nichiionline/article/012779.html |
| 出典情報 | 日本医師会 定例記者会見(6/10)《日本医師会》 |
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2-1-6.周産期医療を崩壊させないための地域から進める少子化対策
-50 万人出生時代に向けたデジタル変革の必要性-
1. はじめに:現在の少子化対策の政策的限界と地域医療の現状
我が国の少子化は急速に進行し、
「厚生労働省『人口動態統計(2024 年)』によれば、2024
年の出生数は 68.6 万人、合計特殊出生率は 1.15 と過去最低を更新した。2035 年には 50 万
人割れも予測され、分娩取扱施設は 12 年間で 26%減少、今後さらに分娩取扱施設は減少し、
地域での周産期医療の維持が困難な状況にある。産科医療機関の撤退は、当該地域での分
娩を不可能にし、若年世代の流出や地域活力の低下を招く要因となる。
地域の持続可能性を守るためには、産科医療機関を残すことが不可欠である。少子化対
策としての医療 DX は、単なる技術導入ではなく、
「産みたくても産めない」環境を改善し、
安心して子供を産み育てられる地域づくりの基盤である。50 万人出生時代に向けたデジタ
ル変革による新しい周産期医療体制の構築が急務であり、その鍵は ICT を活用した医療 DX
実証事業の全国展開である。
2. 周産期医療 DX の実証事業成果と社会実装
日本産婦人科医会では、医療 DX を活用して周産期医療の安全性と効率性を両立させる実
証事業を積み重ねてきた。これらの実証事業は、埼玉県内で、県・医師会・産婦人科医会
が協働し、地域の実情を踏まえた現場発のボトムアップ型 DX 推進として展開されている。
地域医療を熟知した医師会が実証研究を通じて有効性を検証し、そのデータに基づいて医
会が政策提言を行うプロセスが、実効性のある医療 DX を実現する鍵となる。
第一に、CTG 共同監視システム 10実証事業である。埼玉県特区において 9,239 件の運用実
績があり、遠隔地の専門医によるリアルタイム診断支援を実現した。先行する宮崎県での
導入事例では、新生児の低 pH(<7.10)発生率が 0.43%から 0.11%へと統計的に有意に低下
し(P=0.028)し、新生児予後の改善効果が客観的に実証された。また、母体救急搬送時モ
バイル CTG 遠隔リアルタイムモニタリング実証においても、搬送中の胎児状態把握による
受け入れ体制の最適化が確認されている。
第二に、PHR(Personal Health Record) 11アプリ開発実証である。標準化が進まない電子
母子健康手帳に代わり、妊産婦自身が健康情報を管理できる PHR アプリの開発を進めてい
る。東北大学大学院医学系研究科藤井進教授と連携し、音声 AI による問診と SOAP 変換の
実証を進めており、医療従事者の記録業務負担の軽減と正確な情報記録の両立を目指して
いる。
10
CTG 共同監視システム:分娩監視装置(CTG : Cardiotocograph)で測定した胎児の心拍数と母親の陣痛
のデータを、ネットワークを介して複数の医療従事者がリアルタイムで共有・監視するシステム。
11
PHR:個人が自身の健康・医療情報を一元的に管理する仕組み。本人が閲覧・活用し、必要に応じて医療機
関や行政と共有することを前提とする。
20
-50 万人出生時代に向けたデジタル変革の必要性-
1. はじめに:現在の少子化対策の政策的限界と地域医療の現状
我が国の少子化は急速に進行し、
「厚生労働省『人口動態統計(2024 年)』によれば、2024
年の出生数は 68.6 万人、合計特殊出生率は 1.15 と過去最低を更新した。2035 年には 50 万
人割れも予測され、分娩取扱施設は 12 年間で 26%減少、今後さらに分娩取扱施設は減少し、
地域での周産期医療の維持が困難な状況にある。産科医療機関の撤退は、当該地域での分
娩を不可能にし、若年世代の流出や地域活力の低下を招く要因となる。
地域の持続可能性を守るためには、産科医療機関を残すことが不可欠である。少子化対
策としての医療 DX は、単なる技術導入ではなく、
「産みたくても産めない」環境を改善し、
安心して子供を産み育てられる地域づくりの基盤である。50 万人出生時代に向けたデジタ
ル変革による新しい周産期医療体制の構築が急務であり、その鍵は ICT を活用した医療 DX
実証事業の全国展開である。
2. 周産期医療 DX の実証事業成果と社会実装
日本産婦人科医会では、医療 DX を活用して周産期医療の安全性と効率性を両立させる実
証事業を積み重ねてきた。これらの実証事業は、埼玉県内で、県・医師会・産婦人科医会
が協働し、地域の実情を踏まえた現場発のボトムアップ型 DX 推進として展開されている。
地域医療を熟知した医師会が実証研究を通じて有効性を検証し、そのデータに基づいて医
会が政策提言を行うプロセスが、実効性のある医療 DX を実現する鍵となる。
第一に、CTG 共同監視システム 10実証事業である。埼玉県特区において 9,239 件の運用実
績があり、遠隔地の専門医によるリアルタイム診断支援を実現した。先行する宮崎県での
導入事例では、新生児の低 pH(<7.10)発生率が 0.43%から 0.11%へと統計的に有意に低下
し(P=0.028)し、新生児予後の改善効果が客観的に実証された。また、母体救急搬送時モ
バイル CTG 遠隔リアルタイムモニタリング実証においても、搬送中の胎児状態把握による
受け入れ体制の最適化が確認されている。
第二に、PHR(Personal Health Record) 11アプリ開発実証である。標準化が進まない電子
母子健康手帳に代わり、妊産婦自身が健康情報を管理できる PHR アプリの開発を進めてい
る。東北大学大学院医学系研究科藤井進教授と連携し、音声 AI による問診と SOAP 変換の
実証を進めており、医療従事者の記録業務負担の軽減と正確な情報記録の両立を目指して
いる。
10
CTG 共同監視システム:分娩監視装置(CTG : Cardiotocograph)で測定した胎児の心拍数と母親の陣痛
のデータを、ネットワークを介して複数の医療従事者がリアルタイムで共有・監視するシステム。
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PHR:個人が自身の健康・医療情報を一元的に管理する仕組み。本人が閲覧・活用し、必要に応じて医療機
関や行政と共有することを前提とする。
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