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参考資料1 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会とりまとめ (29 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65728.html |
| 出典情報 | 社会保障審議会 介護保険部会(第128回 11/10)《厚生労働省》 |
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2.有料老人ホームの指導監督のあり方
(1)届出制や標準指導指針による現行制度の課題
①現状と課題
○
有料老人ホームの要件に該当する場合、設置事業者は、老人福祉法に基づいて都道府県等に対
し事前に届出を行う義務がある41。
○
届出制は、参入のハードルが低いことから多様な事業者の参入が促される一方、仮に高齢者向
けのサービスを提供するという認識に欠けている事業者や、事業計画の妥当性が事前に確認で
きない事業者も、届出を行うことで事業開始が可能であり、また、過去に事業停止命令等の重
大な処分を受けた事業者であっても参入を阻むことが制度上できないとの指摘がある。
○
また、自治体として、有料老人ホームの開設前の事前協議の段階で把握した課題について改善
事項を伝えたとしても反映されないままに届出され、そうした瑕疵のある届出も受理せざるを
得ないとの指摘もある。
○
都道府県等は、国が示す標準指導指針を参考に、地域の実情に応じて策定する自治体指導指針
に基づいて行政指導を実施するとともに、未届の有料老人ホームに対する指導を行っている42。
自治体指導指針に基づく行政指導には強制力がないため、指導を行っても改善に向けた対応を
しない事業者が一定程度存在するとともに、処分基準が不明確であるため行政処分を行うこと
が難しいという指摘がある。
○
また、事業者の経営状態に関して、有料老人ホームから提出された財務諸表に基づく指導を行
っている自治体は全体の3割弱にとどまっていた。その理由としては、経営状況や事業計画の
妥当性を判断できる専門知識・スキルを持つ職員が配置されていない、との回答が5割を超え
ていた43。
○
こうした中、令和6年9月に、複数県で事業展開していた事業者の経営が行き詰まり、当該事
業者の運営する複数の「住宅型」有料老人ホームにおいて、職員が一斉退去したことにより入
居者全員が短期間に他の施設への転居を余儀なくされる事案44が発生し、複数自治体において入
居者保護のための早急な措置が求められた。
○
この他、自治体による実地指導において、サービスの提供実態と請求内容に乖離が疑われる介
護事業所に指導を実施しても、実績などを記載した書類が整っている場合、不適切なサービス
41
昭和 38 年(1963 年)老人福祉法制定により、有料老人ホームが創設され、事後の届出義務が課されていたところ、
平成 2 年(1991 年)に事前届出制に改正され、その後、累次の見直しにより、有料老人ホームに対する新たな義
務付けや、行政に指導権限の強化などが行われてきた。
42
近年、未届施設数は減少傾向にあり、直近では、3.5%(604 件)が未届施設として確認されている。厚生労働省老
43
令和 7 年度 10 月 31 日
44
本事案は、経営が行き詰まり職員への給料が未払いとなったことにより、職員が⼀⻫退職し、入居者へのサービス
健局高齢者支援課調べ(令和5年6月 30 日時点)
。
第7回検討会 参考資料「事業者の経営状態に関する自治体の指導監督状況」
提供が行われなくなったため、他の施設への転居を余儀なくされた事案。本事案の後、厚生労働省において、有料
老人ホームにおける安定的かつ継続的な運営確保の観点から、全都道府県等に対し、開設1年以内の立入調査の実
施、及び事業計画に沿った運営がされているか等の確認を要請した。
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(1)届出制や標準指導指針による現行制度の課題
①現状と課題
○
有料老人ホームの要件に該当する場合、設置事業者は、老人福祉法に基づいて都道府県等に対
し事前に届出を行う義務がある41。
○
届出制は、参入のハードルが低いことから多様な事業者の参入が促される一方、仮に高齢者向
けのサービスを提供するという認識に欠けている事業者や、事業計画の妥当性が事前に確認で
きない事業者も、届出を行うことで事業開始が可能であり、また、過去に事業停止命令等の重
大な処分を受けた事業者であっても参入を阻むことが制度上できないとの指摘がある。
○
また、自治体として、有料老人ホームの開設前の事前協議の段階で把握した課題について改善
事項を伝えたとしても反映されないままに届出され、そうした瑕疵のある届出も受理せざるを
得ないとの指摘もある。
○
都道府県等は、国が示す標準指導指針を参考に、地域の実情に応じて策定する自治体指導指針
に基づいて行政指導を実施するとともに、未届の有料老人ホームに対する指導を行っている42。
自治体指導指針に基づく行政指導には強制力がないため、指導を行っても改善に向けた対応を
しない事業者が一定程度存在するとともに、処分基準が不明確であるため行政処分を行うこと
が難しいという指摘がある。
○
また、事業者の経営状態に関して、有料老人ホームから提出された財務諸表に基づく指導を行
っている自治体は全体の3割弱にとどまっていた。その理由としては、経営状況や事業計画の
妥当性を判断できる専門知識・スキルを持つ職員が配置されていない、との回答が5割を超え
ていた43。
○
こうした中、令和6年9月に、複数県で事業展開していた事業者の経営が行き詰まり、当該事
業者の運営する複数の「住宅型」有料老人ホームにおいて、職員が一斉退去したことにより入
居者全員が短期間に他の施設への転居を余儀なくされる事案44が発生し、複数自治体において入
居者保護のための早急な措置が求められた。
○
この他、自治体による実地指導において、サービスの提供実態と請求内容に乖離が疑われる介
護事業所に指導を実施しても、実績などを記載した書類が整っている場合、不適切なサービス
41
昭和 38 年(1963 年)老人福祉法制定により、有料老人ホームが創設され、事後の届出義務が課されていたところ、
平成 2 年(1991 年)に事前届出制に改正され、その後、累次の見直しにより、有料老人ホームに対する新たな義
務付けや、行政に指導権限の強化などが行われてきた。
42
近年、未届施設数は減少傾向にあり、直近では、3.5%(604 件)が未届施設として確認されている。厚生労働省老
43
令和 7 年度 10 月 31 日
44
本事案は、経営が行き詰まり職員への給料が未払いとなったことにより、職員が⼀⻫退職し、入居者へのサービス
健局高齢者支援課調べ(令和5年6月 30 日時点)
。
第7回検討会 参考資料「事業者の経営状態に関する自治体の指導監督状況」
提供が行われなくなったため、他の施設への転居を余儀なくされた事案。本事案の後、厚生労働省において、有料
老人ホームにおける安定的かつ継続的な運営確保の観点から、全都道府県等に対し、開設1年以内の立入調査の実
施、及び事業計画に沿った運営がされているか等の確認を要請した。
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