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05資料2-1森野委員提出資料(RSウイルス母子免疫ワクチンと抗体製剤ファクトシート) (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》
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レベルが継続していた。南北アメリカ地域あるいは英国では観察された季節性への回帰は、日本全国レベ
ルで観察していない。一方で都道府県ごとに異なる流行波がみられるため、引き続き観察が必要である。
年齢群別にみると、2021 年には全報告数に占める 2 歳以上の占める割合がパンデミック前より増加した
が、その後は 1 歳までの児の報告例が増加し、現在はパンデミック前の年齢分布に近づいている。RSV
は世界的に小児の急性下気道感染症の主因であり、
特に生後 6 か月未満の乳児における疾病負荷が高い。
国内においても RSV 感染症は小児の医療機関受診および入院の主要な原因である。0 歳児の推定 RSV 感
染症罹患率は 2010 年代において 1,000 人年あたり 50~100 で推移し、推定入院率は 1,000 人年あたり
20~30 で推移したと報告がある。入院例の 90%は RSV 感染症重症化のハイリスクとされる基礎疾患等
は有していなかったと報告がある。
予防接種の目的と導入により期待される効果、安全性
ワクチン・抗体製剤
RSV 感染症は乳児に重篤な下気道疾患(LRTD)を引き起こすことがあり、これを予防するために母子
免疫ワクチンと抗体製剤の導入が進められている。WHO は、RSV 感染症の世界的な疾病負荷の大きさ
を受け、各国に予防手段の導入を推奨している。日本では、妊婦に接種するワクチンである組換え RS ウ
イルスワクチン(アブリスボ®)が新生児・乳児の RSV 感染による LRTD の予防に用いられ、モノクロー
ナル抗体製剤であるパリビズマブ(シナジス®)は高リスク児への、ニルセビマブ(ベイフォータス®)はリ
スクの無い児を含めて、接種により重症化を抑制する。パリビズマブは月 1 回の投与が必要だが、ニル
セビマブは投与頻度が少なく、より広い対象にも対応可能である。これらの製剤により、特に早産児や先
天性疾患を持つ児への予防が可能となり、RSV による入院や重篤化のリスク軽減が期待される。
母子免疫ワクチンの有効性、免疫原性
組換え RS ウイルスワクチン(販売名アブリスボ®)の免疫原性として、生後 6 か月時点の出生児におけ
る中和抗体価がワクチン群でプラセボ群を上回った。母体接種から出産までの期間が 14 日未満群、14 日
~29 日群では 30 日以上群に比較して出生児における GMT が低値であった。
第 3 相試験において医療受診を要した重症 RSV 関連下気道感染症(LRTI)に対する有効性は生後 90 日
以内 81.8%、生後 180 日以内 69.4%、RSV 関連 LRTI に対する有効性は同期間で各々57.1%、51.3%で
あった。接種時の母体妊娠週数別サブグループにおける生後 180 日以内の RSV 関連 LRTI に対する有効
性は 24 週~27 週 20.7%、28 週~31 週 67.4%、32 週~36 週 57.3%であった。
2024 年にアルゼンチンで実施された市販後の有効性評価においても合致する結果が示された。妊娠中
の接種の 2 回目以降の有効性についてはまだ知見が得られていない。
抗体製剤の有効性
ニルセビマブの平均半減期は早産児において 59.3±9.6 日、正期産児では 68.7±10.9 日であった。ニ
ルセビマブ投与後には早産児の 5.6%、正期産児の 6.1%で抗薬物抗体が検出されているが抗薬物抗体の
陽性陰性に関わらず、150 日目までのニルセビマブ血中濃度は同様の経時的変化をたどった。一方、361
日目では、抗薬物抗体陽性群のニルセビマブ血中濃度は陰性群と比較して低下が認められた乳児が多い
ことが示された。また、免疫不全を伴う乳児では、血清中ニルセビマブ濃度の急速な低下が認められ、そ
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