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05資料2-1森野委員提出資料(RSウイルス母子免疫ワクチンと抗体製剤ファクトシート) (16 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html
出典情報 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》
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② RSV 感染症の疾病負荷
1)諸外国の疾病負荷
RSV 感染症は、世界的に小児における主要な死亡および疾病負荷の原因である。国際的な疾病負荷推
定研究では 50、2019 年において、生後 0 か月~60 か月の小児における RSV 関連急性下気道感染症(RSVALRI)の推定発生数は 3,300 万(不確実性範囲[UR]:2,540 万~4,460 万)であり、RSV-ALRI 入院は 360
万(UR:290 万~460 万)、RSV-ALRI 院内死亡は 26,300(UR:15,100~49,100)と推定された。さらに、
生後 0 か月~60 か月の小児における RSV に起因する死亡推定数は 101,400(UR:84,500~125,200)に上
る。なかでも生後 0 か月~6 か月の乳児における疾病負荷は大きく、同年における RSV-ALRI の発生数は
660 万例(UR:460 万~970 万)、入院数は 140 万例(UR:100 万~200 万)、RSV に起因する全死亡数は
45,700 例(UR:38,400~55,900)と推定された。生後 0 か月~60 か月の小児の死亡の 2.0%(UR:1.6~
2.4)、生後 28 日~6 か月の乳児の死亡の 3.6%(UR:3.0~4.4)が RSV に寄与すると推定された。また、
RSV による疾病および死亡の大多数は低・中所得国において発生し、RSV-ALRI の 95%以上および RSV
関連死亡の 97%以上がこれらの国々において発生したと推定された。
高所得国においても小児 RSV 感染症の疾病負荷は大きく、入院の主要な原因の一つである。高所得国
において ALRI で入院した小児における RSV 陽性割合は、0 か月~60 か月の小児において 29%(低・中
所得国では 23%~26%)、0 か月~6 か月の乳児において 50%(低・中所得国では 32%~33%)と推定され
た 50。高所得国における RSV 関連 ALRI 入院率は 0 か月~60 か月において年間 1,000 人当たり 6.0(UR:
4.7~7.7)、年少児で高く 0 か月~3 か月児において 34.7(UR:21.5~56.2)と推定された 50。またヨーロ
ッパにおいて 2017 年から 2020 年にかけて実施された多施設共同前向き出生コホート研究では、健康な
正期産児における生後 1 年以内の RSV 感染症による入院発生率は 1.8%[95%CI;confidence interval(信頼
区間): 1.6, 2.1]と報告された 51。RSV-ARLI と小児期の反復性喘鳴や喘息と関連について、観察研究を対
象としたメタアナリシスでは、RSV-ARLI に曝露された児における続発性喘鳴疾患に関するオッズは非
曝露群と比較し 3.4[95%CI: 2.7, 4.2]倍高く、6歳以降の喘息にアウトカムを限定すると 2.6[95%CI: 1.7,
4.0]倍高いと報告された 52,53。これら疾患の因果関係や共通の素因の有無については議論がある一方で、
1歳未満の RSV-LRTI 予防が主目的を超えた効果をもたらす可能性も指摘されている 53。
2)国内の罹患及び入院
国内において RSV 感染症は小児の医療機関受診および入院の主要な原因である 5,54-57。近年の大規模デ
ータベースに基づく研究の概要を以下に示す。
電子健康記録データベースを用いた 2011 年~2022 年の解析では、5 歳未満の RSV 感染症診断確定外
来数は累計 176,911 人、入院数は 90,413 人と報告された 54 。人工換気の使用は、入院のうち 2.1%であ
り、0.7%が集中治療室に入院したと報告された。2つのレセプト及び健診データベースを用いた研究で
は、2005 年度~2021 年度の生後 12 か月未満の推定 RSV 感染症罹患率は 2010 年代において 1,000 人年
あたり 50~100 で推移した 56。推定入院率は 1,000 人年あたり 20~30 で推移した。2010 年代における
0か月~5か月の小児における RSV 感染の罹患率は、人口 1,000 人年あたり 30~90 と推定され、推定
入院率は 1,000 人年あたり 20~40 で推移した。また、同研究では国勢調査による人口推計を用いて国内
の RSV 発生数を推定し、2010 年代の生後 24 か月未満の年間 RSV 感染症発生数は 12 万人~18 万人で
あり、3 万人~5 万人が入院を要したとされた 56。
レセプト及び健診データベースを用いた研究では、2017 年~2018 年における 2 歳未満の RSV 患者の
うち 25%が入院し、入院例の 90%は RSV 感染症重症化のハイリスクとされる基礎疾患等は有していな
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