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05資料2-1森野委員提出資料(RSウイルス母子免疫ワクチンと抗体製剤ファクトシート) (27 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》 |
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とどまっており、自然界での中和抵抗性変異は極めてまれであることが示された 91。いずれの試験におい
ても逃避株は極めてまれとされているが、変異株に対するサーベイランスを行う重要性が言及されてい
た。
(オ)リアルワールドデータによる有効性
ニルセビマブは、世界各国で接種の推奨や定期接種が行われており、実臨床における研究が実施されて
いる。
スペインのガリシア地方において 2023 年 9 月~2024 年 3 月に実施されたニルセビマブ接種キャンペ
ーン後 3 年間の追跡を行う人口ベースの縦断研究では、
中間結果が報告された。ニルセビマブ投与者 9,408
名(投与率 91.7%)
、非投与者 851 名、合計 10,259 名を対象とした 2023 年 9 月から 12 月までの結果で
は、RSV 関連下気道感染症による入院に対するニルセビマブ投与の有効性は 80.2%であった。キャンペ
ーンにより防ぐことのできた入院の予測値は 407 件、減少率は 89.8%であった。この研究では、3 年間
の追跡調査を予定しており、今回はキャンペーン初期の 3 か月のみのデータのため解釈には注意が必要
であると述べられていた 94。
フランスでは、2023 年~2024 年の RSV 感染症流行期には、2023 年 2 月 6 日以降にフランスで生まれ
た子供にニルセビマブを 1 回無料で投与することが推奨された。2023 年 10 月 15 日から 12 月 10 日にフ
ランス首都圏の 6 つの 3 次医療機関に RSV 性細気管支炎のため入院した生後 12 か月未満の乳児を対象
に行われたマッチング症例対照研究(対照:呼吸器症状のない尿路感染症や急性胃腸炎等を含む受診)で
は、RSV 性細気管支炎で入院した乳児 690 人(症例)と対照患者 345 人がマッチングされ、RSV 性細気
管支炎による入院に対する有効性が評価された。ニルセビマブ投与を受けていた入院もしくは小児救急
科を受診した症例は、症例患者 60/690 名(8.7%)と対照群 97/345 名(28.1%)であった。RSV 性細気
管支炎による入院に対するニルセビマブの推定調整後有効性は 83.0%[95%CI: 73.4, 89.2]であった。こ
の研究は RSV 感染症の流行が大きかった時期に実施され、母体の自然感染による移行抗体による防御が
備わっていた可能性があり、今後のさらなる研究が必要と述べられていた。また、対照群では RSV の PCR
検査が行われていないことによる影響や、対照と症例では救急外来受診と入院とケアレベルが違う患者
をリクルートしている点、今回の研究は国家プログラムの初期段階での評価となっている点などが研究
の限界とされていた 95。
(カ)パリビズマブの有効性(参考)
高リスク乳児(在胎週数 35 週以下かつ生後 6 か月以下、生後 24 か月以下であり、継続的な医療を必
要とする気管支肺異形成症(BPD)の小児)に対する、パリビズマブのプラセボ対照ランダム化二重盲
検試験は、1996 年~1997 年の RSV 感染症シーズン中に、1,502 名を対象に実施され、パリビズマブに
よる月 1 回の予防投与は、プラセボと比較して RSV 感染症による入院を 55%[95%CI: 38, 72]、
(p 値
= .00004)減少させた 96。
(4) 安全性の観点
①
母子免疫ワクチンの安全性
アブリスボ® 筋注用の第 3 相の国際共同多施設無作為化二重盲検試験(Maternal Immunization Study
for Safety and Efficacy: MATISSE 試験)については、妊娠 24 週~36 週の 49 歳以下の妊婦を対象として
実施され、ワクチン群はアブリスボ®(120 µg)を単回接種された。解析時期、対象、目的等別に 4 編の
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ても逃避株は極めてまれとされているが、変異株に対するサーベイランスを行う重要性が言及されてい
た。
(オ)リアルワールドデータによる有効性
ニルセビマブは、世界各国で接種の推奨や定期接種が行われており、実臨床における研究が実施されて
いる。
スペインのガリシア地方において 2023 年 9 月~2024 年 3 月に実施されたニルセビマブ接種キャンペ
ーン後 3 年間の追跡を行う人口ベースの縦断研究では、
中間結果が報告された。ニルセビマブ投与者 9,408
名(投与率 91.7%)
、非投与者 851 名、合計 10,259 名を対象とした 2023 年 9 月から 12 月までの結果で
は、RSV 関連下気道感染症による入院に対するニルセビマブ投与の有効性は 80.2%であった。キャンペ
ーンにより防ぐことのできた入院の予測値は 407 件、減少率は 89.8%であった。この研究では、3 年間
の追跡調査を予定しており、今回はキャンペーン初期の 3 か月のみのデータのため解釈には注意が必要
であると述べられていた 94。
フランスでは、2023 年~2024 年の RSV 感染症流行期には、2023 年 2 月 6 日以降にフランスで生まれ
た子供にニルセビマブを 1 回無料で投与することが推奨された。2023 年 10 月 15 日から 12 月 10 日にフ
ランス首都圏の 6 つの 3 次医療機関に RSV 性細気管支炎のため入院した生後 12 か月未満の乳児を対象
に行われたマッチング症例対照研究(対照:呼吸器症状のない尿路感染症や急性胃腸炎等を含む受診)で
は、RSV 性細気管支炎で入院した乳児 690 人(症例)と対照患者 345 人がマッチングされ、RSV 性細気
管支炎による入院に対する有効性が評価された。ニルセビマブ投与を受けていた入院もしくは小児救急
科を受診した症例は、症例患者 60/690 名(8.7%)と対照群 97/345 名(28.1%)であった。RSV 性細気
管支炎による入院に対するニルセビマブの推定調整後有効性は 83.0%[95%CI: 73.4, 89.2]であった。こ
の研究は RSV 感染症の流行が大きかった時期に実施され、母体の自然感染による移行抗体による防御が
備わっていた可能性があり、今後のさらなる研究が必要と述べられていた。また、対照群では RSV の PCR
検査が行われていないことによる影響や、対照と症例では救急外来受診と入院とケアレベルが違う患者
をリクルートしている点、今回の研究は国家プログラムの初期段階での評価となっている点などが研究
の限界とされていた 95。
(カ)パリビズマブの有効性(参考)
高リスク乳児(在胎週数 35 週以下かつ生後 6 か月以下、生後 24 か月以下であり、継続的な医療を必
要とする気管支肺異形成症(BPD)の小児)に対する、パリビズマブのプラセボ対照ランダム化二重盲
検試験は、1996 年~1997 年の RSV 感染症シーズン中に、1,502 名を対象に実施され、パリビズマブに
よる月 1 回の予防投与は、プラセボと比較して RSV 感染症による入院を 55%[95%CI: 38, 72]、
(p 値
= .00004)減少させた 96。
(4) 安全性の観点
①
母子免疫ワクチンの安全性
アブリスボ® 筋注用の第 3 相の国際共同多施設無作為化二重盲検試験(Maternal Immunization Study
for Safety and Efficacy: MATISSE 試験)については、妊娠 24 週~36 週の 49 歳以下の妊婦を対象として
実施され、ワクチン群はアブリスボ®(120 µg)を単回接種された。解析時期、対象、目的等別に 4 編の
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