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05資料2-1森野委員提出資料(RSウイルス母子免疫ワクチンと抗体製剤ファクトシート) (24 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》 |
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抗体製剤の有効性
抗 RS ウイルスヒトモノクローナル抗体製剤ニルセビマブは、生後初回または 2 回目の RS ウイルス流
行期の重篤な RSV 感染症のリスクを有する新生児、乳児および幼児における RS ウイルス感染症による
下気道疾患の発生抑制、および生後初回の RSV 感染流行期のすべての新生児、乳児および幼児における
RSV 感染による下気道疾患の予防を目的として開発され、臨床試験によりその有効性が示され、加えて
実臨床における研究においても発症抑制効果が示された。
1)薬物動態
(ア)在胎週数 29 週から 35 週未満の乳児を対象とした薬物動態
2016 年 11 月 3 日から 2017 年 12 月 1 日の期間に 1,453 名がランダム化された、在胎週数 29 週以上
35 週未満で出生し、初めて RSV 感染流行期を迎える 1 歳以下の健康な早産児を対象とした第 2b 相のプ
ラセボ対照二重盲検ランダム化試験において、ニルセビマブの平均半減期(±SD)は 59.3±9.6 日であ
った。RSV ニルセビマブ群の 97.9%(833/851 名)の血清中ニルセビマブ濃度が、151 日目に目標の 90%
有効濃度閾値である 6.8μg/mL を上回ったことが示された。ニルセビマブ投与後の抗薬物抗体は、ニル
セビマブ群の 5.6%(52/929 名)で検出され、抗薬物抗体の陽性・陰性に関わらずニルセビマブの血清濃
度の経時的変化は同様であった。なお、抗薬物抗体は、プラセボ群においても 3.8%(18/469 名)で検出
された 87。
(イ)在胎週数 35 週以上の乳児における薬物動態
在胎週数 35 週以上で出生した乳児(n=1,453)に対して体重 5kg 未満の乳児には 50 ㎎、5kg 以上の乳
児では 100 ㎎のニルセビマブ投与により実施された第 3 相臨床試験では、ニルセビマブの血清濃度は時
間の経過とともに直線的に減少が確認され、平均(±SD)半減期は 68.7±10.9 日であった。平均血清ニ
ルセビマブ濃度は 151 日目に、体重 5kg 未満の乳児では 19.6±7.7 ㎍/mL、体重 5kg 以上の乳児では
31.2±13.7 ㎍/mL で、
4 名の乳児ではニルセビマブを投与したが定量可能な血清濃度が示されなかった。
抗薬物抗体は、361 日目まで追跡できた乳児を対象に解析され、投与後に抗薬物抗体が検出された乳児
は、ニルセビマブ群では 58/951 名(6.1%)
、プラセボ群では 5/473 名(1.1%)であった。抗薬物抗体の
検出は、361 日目が最も高く、151 日目では抗薬物抗体陽性者と陰性者での血清中ニルセビマブ濃度は同
等で、361 日目には血清中ニルセビマブ濃度は、抗薬物抗体陽性者において陰性者に比べ定量限界以下の
乳児が多かった。
抗薬物抗体は 151 日目まではニルセビマブの薬物動態への影響は確認されなかったが、
151~361 日目までは影響を及ぼしたことが示された 73。
(ウ)免疫不全をともなう乳児における薬物動態
免疫不全を伴う乳児および小児の一部において血清中ニルセビマブ濃度の急速な低下が認められた。
免疫不全を伴う新生児、乳児及び小児へニルセビマブの単回投与を行った第 2 相臨床試験では、投与後
に血清ニルセビマブ濃度が低い被験者が 24/96 名認められ、低下の原因は不明であるものの、14 例では
血液中タンパク質喪失を生じうる基礎疾患(慢性肝疾患 5 例、悪性腫瘍 3 例、オーメン症候群 2 例、HIV
感染症 2 例、移植片対宿主病 2 例、ネフローゼ症候群 1 例、うち 1 例はオーメン症候群と移植片対宿主
病を併発)の併発が影響した可能性が考えられた 72。
(エ)パリビズマブとニルセビマブの薬物動態比較
ニルセビマブとパリビズマブを比較した研究は非常に限られている。在胎週数 35 週未満の早産児また
は先天性心疾患、慢性肺疾患の乳児を対象とした、パリビズマブ対照ランダム化試験として RSV 感染症
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抗体製剤の有効性
抗 RS ウイルスヒトモノクローナル抗体製剤ニルセビマブは、生後初回または 2 回目の RS ウイルス流
行期の重篤な RSV 感染症のリスクを有する新生児、乳児および幼児における RS ウイルス感染症による
下気道疾患の発生抑制、および生後初回の RSV 感染流行期のすべての新生児、乳児および幼児における
RSV 感染による下気道疾患の予防を目的として開発され、臨床試験によりその有効性が示され、加えて
実臨床における研究においても発症抑制効果が示された。
1)薬物動態
(ア)在胎週数 29 週から 35 週未満の乳児を対象とした薬物動態
2016 年 11 月 3 日から 2017 年 12 月 1 日の期間に 1,453 名がランダム化された、在胎週数 29 週以上
35 週未満で出生し、初めて RSV 感染流行期を迎える 1 歳以下の健康な早産児を対象とした第 2b 相のプ
ラセボ対照二重盲検ランダム化試験において、ニルセビマブの平均半減期(±SD)は 59.3±9.6 日であ
った。RSV ニルセビマブ群の 97.9%(833/851 名)の血清中ニルセビマブ濃度が、151 日目に目標の 90%
有効濃度閾値である 6.8μg/mL を上回ったことが示された。ニルセビマブ投与後の抗薬物抗体は、ニル
セビマブ群の 5.6%(52/929 名)で検出され、抗薬物抗体の陽性・陰性に関わらずニルセビマブの血清濃
度の経時的変化は同様であった。なお、抗薬物抗体は、プラセボ群においても 3.8%(18/469 名)で検出
された 87。
(イ)在胎週数 35 週以上の乳児における薬物動態
在胎週数 35 週以上で出生した乳児(n=1,453)に対して体重 5kg 未満の乳児には 50 ㎎、5kg 以上の乳
児では 100 ㎎のニルセビマブ投与により実施された第 3 相臨床試験では、ニルセビマブの血清濃度は時
間の経過とともに直線的に減少が確認され、平均(±SD)半減期は 68.7±10.9 日であった。平均血清ニ
ルセビマブ濃度は 151 日目に、体重 5kg 未満の乳児では 19.6±7.7 ㎍/mL、体重 5kg 以上の乳児では
31.2±13.7 ㎍/mL で、
4 名の乳児ではニルセビマブを投与したが定量可能な血清濃度が示されなかった。
抗薬物抗体は、361 日目まで追跡できた乳児を対象に解析され、投与後に抗薬物抗体が検出された乳児
は、ニルセビマブ群では 58/951 名(6.1%)
、プラセボ群では 5/473 名(1.1%)であった。抗薬物抗体の
検出は、361 日目が最も高く、151 日目では抗薬物抗体陽性者と陰性者での血清中ニルセビマブ濃度は同
等で、361 日目には血清中ニルセビマブ濃度は、抗薬物抗体陽性者において陰性者に比べ定量限界以下の
乳児が多かった。
抗薬物抗体は 151 日目まではニルセビマブの薬物動態への影響は確認されなかったが、
151~361 日目までは影響を及ぼしたことが示された 73。
(ウ)免疫不全をともなう乳児における薬物動態
免疫不全を伴う乳児および小児の一部において血清中ニルセビマブ濃度の急速な低下が認められた。
免疫不全を伴う新生児、乳児及び小児へニルセビマブの単回投与を行った第 2 相臨床試験では、投与後
に血清ニルセビマブ濃度が低い被験者が 24/96 名認められ、低下の原因は不明であるものの、14 例では
血液中タンパク質喪失を生じうる基礎疾患(慢性肝疾患 5 例、悪性腫瘍 3 例、オーメン症候群 2 例、HIV
感染症 2 例、移植片対宿主病 2 例、ネフローゼ症候群 1 例、うち 1 例はオーメン症候群と移植片対宿主
病を併発)の併発が影響した可能性が考えられた 72。
(エ)パリビズマブとニルセビマブの薬物動態比較
ニルセビマブとパリビズマブを比較した研究は非常に限られている。在胎週数 35 週未満の早産児また
は先天性心疾患、慢性肺疾患の乳児を対象とした、パリビズマブ対照ランダム化試験として RSV 感染症
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