よむ、つかう、まなぶ。
05資料2-1森野委員提出資料(RSウイルス母子免疫ワクチンと抗体製剤ファクトシート) (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64997.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会(第32回 10/22)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
RSV や SARS-CoV-2 を含む 18 ウイルス・4 細菌の遺伝子を同時に検出できるようになった。ただし、そ
の適用は、感染症または臨床検査を 5 年以上経験した専属の常勤医師 1 名以上が配置されている医療機
関に限られ、救命救急入院科、特定集中治療室管理科、小児/新生児特定集中治療室管理科、新生児集中
治療室管理科が算定される患者で、重症呼吸器感染症と診断または疑われる場合、または、COVID-19 が
疑われる場合とされる。FilmArray®に加えて、SpotFire®、GeneXpert®、Genecube®などの遺伝子検査装置
で SARS-CoV-2 との同時検出キットが承認されており、こちらも COVID-19 が疑われる場合に検査可能
である。また、RSV のグローバルサーベイランスにおける検査法として国立感染症研究所から RSV の病
原体検出マニュアルが公表されている 32。このマニュアルでは、米国疾病予防管理センター(CDC)の開
発したリアルタイム RT-PCR 法を中心に RSV 遺伝子検出法が記載されている 36,37。
3)ウイルス分離法
ウイルス分離法は RSV に感受性のある培養細胞に検体中のウイルスを感染させることで行われる。感
受性のある培養細胞として HEp-2、HeLa、A549 等の各細胞があるが、高い感受性や細胞変性効果の観
察のしやすさなどから HEp-2 細胞が多用される。ウイルス分離法は RSV 感染診断のゴールドスタンダ
ードであったが、現在では、迅速抗原検出キットの開発・発展や、以下に述べる様々な制約により臨床検
査としての役割はきわめて限定的である。制約としては、ウイルス分離はバイオハザード設備の整った大
学や研究所での実施が求められること、培養細胞維持には専門の技術と労力が必要であること、結果判定
に数日を要し長ければ 1 週間~2 週間もかかること、などが挙げられる。しかし、ウイルス研究の観点か
らはウイルス分離は極めて重要である。
4)血清学的検査
RSV 感染の血清学的検査として、中和抗体反応(Neutralization Test; NT)や補体結合反応(Complement
Fixation Test; CF)がある。しかし、これらの抗体価測定法は臨床診断にはあまり適していない。その理
由として、小児の RSV 感染の主体は乳幼児であるが、初感染の乳児では抗体価の上昇が十分に認められ
ない 38、幼児期以降の年長児や成人の再感染においても抗体上昇率が低い 39、急性期と回復期のペア血清
での診断となるため早期診断ができない、迅速抗原検査の方が有用性が高い、などが挙げられる。
(2)国内の疫学状況(及び諸外国の状況、国内との比較)
① RS ウイルス感染症の発生動向
1)サーベイランスの変遷
RSV 感染症は感染症発生動向調査において 5 類感染症定点把握疾患に分類されており、2025 年第 14
週までは全国約 3,000 の小児科定点医療機関から、2025 年第 15 週以降は全国約 2,000 の小児科定点医
療機関から、毎週報告されている。報告の対象となるのは、医師が症状や所見から RSV 感染症を疑い、
かつ検査によって診断された症例数である。RSV 感染症の診断に用いられる抗原検査の公的医療保険の
適応範囲が、サーベイランスが開始された 2003 年では「3 歳未満の入院患者」のみであったが、2006 年
4 月に「全年齢の入院患者」へと拡大され、さらに 2011 年 10 月からは、入院患者に加えて外来の乳児
やパリビズマブなどの抗体製剤が適用される患者にも保険が適用されることになった 40。
2) 流行期
国内の RSV 感染症の流行期は年により、また地域により多様である。国立感染症研究所は、2018 年以
前の流行期に関して、2015 年シーズンまで、季節性インフルエンザに先行して夏頃より始まり秋に入る
12
の適用は、感染症または臨床検査を 5 年以上経験した専属の常勤医師 1 名以上が配置されている医療機
関に限られ、救命救急入院科、特定集中治療室管理科、小児/新生児特定集中治療室管理科、新生児集中
治療室管理科が算定される患者で、重症呼吸器感染症と診断または疑われる場合、または、COVID-19 が
疑われる場合とされる。FilmArray®に加えて、SpotFire®、GeneXpert®、Genecube®などの遺伝子検査装置
で SARS-CoV-2 との同時検出キットが承認されており、こちらも COVID-19 が疑われる場合に検査可能
である。また、RSV のグローバルサーベイランスにおける検査法として国立感染症研究所から RSV の病
原体検出マニュアルが公表されている 32。このマニュアルでは、米国疾病予防管理センター(CDC)の開
発したリアルタイム RT-PCR 法を中心に RSV 遺伝子検出法が記載されている 36,37。
3)ウイルス分離法
ウイルス分離法は RSV に感受性のある培養細胞に検体中のウイルスを感染させることで行われる。感
受性のある培養細胞として HEp-2、HeLa、A549 等の各細胞があるが、高い感受性や細胞変性効果の観
察のしやすさなどから HEp-2 細胞が多用される。ウイルス分離法は RSV 感染診断のゴールドスタンダ
ードであったが、現在では、迅速抗原検出キットの開発・発展や、以下に述べる様々な制約により臨床検
査としての役割はきわめて限定的である。制約としては、ウイルス分離はバイオハザード設備の整った大
学や研究所での実施が求められること、培養細胞維持には専門の技術と労力が必要であること、結果判定
に数日を要し長ければ 1 週間~2 週間もかかること、などが挙げられる。しかし、ウイルス研究の観点か
らはウイルス分離は極めて重要である。
4)血清学的検査
RSV 感染の血清学的検査として、中和抗体反応(Neutralization Test; NT)や補体結合反応(Complement
Fixation Test; CF)がある。しかし、これらの抗体価測定法は臨床診断にはあまり適していない。その理
由として、小児の RSV 感染の主体は乳幼児であるが、初感染の乳児では抗体価の上昇が十分に認められ
ない 38、幼児期以降の年長児や成人の再感染においても抗体上昇率が低い 39、急性期と回復期のペア血清
での診断となるため早期診断ができない、迅速抗原検査の方が有用性が高い、などが挙げられる。
(2)国内の疫学状況(及び諸外国の状況、国内との比較)
① RS ウイルス感染症の発生動向
1)サーベイランスの変遷
RSV 感染症は感染症発生動向調査において 5 類感染症定点把握疾患に分類されており、2025 年第 14
週までは全国約 3,000 の小児科定点医療機関から、2025 年第 15 週以降は全国約 2,000 の小児科定点医
療機関から、毎週報告されている。報告の対象となるのは、医師が症状や所見から RSV 感染症を疑い、
かつ検査によって診断された症例数である。RSV 感染症の診断に用いられる抗原検査の公的医療保険の
適応範囲が、サーベイランスが開始された 2003 年では「3 歳未満の入院患者」のみであったが、2006 年
4 月に「全年齢の入院患者」へと拡大され、さらに 2011 年 10 月からは、入院患者に加えて外来の乳児
やパリビズマブなどの抗体製剤が適用される患者にも保険が適用されることになった 40。
2) 流行期
国内の RSV 感染症の流行期は年により、また地域により多様である。国立感染症研究所は、2018 年以
前の流行期に関して、2015 年シーズンまで、季節性インフルエンザに先行して夏頃より始まり秋に入る
12