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居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員の“やりがい”と“カスタマーハラスメント”に関する実態調査報告書 (47 ページ)
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出典情報 | 居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員の“やりがい”と“カスタマーハラスメント”に関する実態調査報告書(4/1)《日本介護支援専門員協会》 |
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Q19.介護支援専門員はカスタマーハラスメントを受けやすいか、Q20.カスタマーハラス
メントを受けやすい理由の設問では、大半の回答者が介護支援専門員はカスタマーハラスメ
ントを受けやすいと回答した。その理由として複数選択でも単独選択でも「1.主な相談場所
が利用者の自宅であるため、利用者やその家族が主導権を握っていたり、立場が上と感じた
りしやすい」が最多だった。利用者の自宅を訪問することは介護支援専門員の業務上避けが
たいが、利用者の自宅であっても、利用者自身に優位を感じさせない工夫が有効な対策のポ
イントになる可能性がある。
また、「3.支援を打ち切ると利用者の生活や生命に大きな影響を与えるため、やむを得ず
支援を続けがち」「4.介護支援専門員は、自分のかかわり方や支援に問題があるかもしれな
い等、自分に原因や責任があると考えがち」
「5.専門職としての価値や倫理から、利用者を
見捨てるようなことをしてはならないと考えがち」に関しては、介護支援専門員自身に係る
課題である。これらが多く選択される要因は、介護支援専門員の価値・倫理の影響だけでな
く、高齢世帯や単身世帯等が増加していること等で介護支援専門員がより複雑で困難な状況
に対応することで様々な葛藤を抱えるといった現状も影響を及ぼしているのではなかろうか。
(P22・表1-19、P23・表1-20)
■分析・考察
本調査では新たな試みとして、テキストマイニング(KH Coder)を用いて、Q21.の自由記
載を解析し、特定のキーワードの頻度、文章の構造、感情分析、トピック抽出などの可視化
を試みた(P25・図1、P28・図2)。その結果は、やりがいに直結するものとして「利用者」
「家族」が大きく示された。一方で、やりがいや労働環境につながる「上司」や「職場」また
は「賃金」というカテゴリーは確認されず「仕事」というカテゴリーはあっても「利用者」お
よび「家族」と比較すると小さかった。また、
「家族」が含まれる Subgraph と「感謝」が含ま
れる Subgraph は関連付けられている。自由記載の中にも、「ありがとうの感謝の言葉やお礼
の手紙をもらった時」
「あなたが担当で良かったと仰って頂けた時や終了時に感謝の言葉を頂
けた時」等「感謝」という単語が見られる。介護支援専門員にとっての“やりがい”は、利用
者支援で生じる利用者や家族との関係性に見出している可能性が高い。特に、感謝の意を表
明されるとことで“やりがい”を感じる傾向がある推測できる。
さらに、Q22.に関してもテキストマイニング(KH Coder)を実施した。その結果、カスタ
マーハラスメントの当事者として多く選択された「利用者」や「家族」というグループが大
きい。また、
「利用者」
「家族」の Subgraph にある「言う」は、Q16.の SQ で最も選ばれてい
た「言葉の暴力や精神的な攻撃」に関連すると推測できる。自由記載の中には「エピソード
自体をあまり思い出したくありません」という非常に深刻なものもあり、カスタマーハラス
メントが介護支援専門員に及ぼす影響の深刻さが伝わってくる。
また、「相談」が所属する Subgraph には「管理者」や「地域包括支援センター」が含まれ
ている。Q16.の SQ の回答にも相談先として選択されていることを考慮すれば、これらの支
援機能を強化することもカスタマーハラスメント対策には欠くことはできないといえよう。
--------------------------------------------------------------------------------※ 第3章のクロス集計は、すべて IBM SPSS(統計解析ソフト)を用いて統計学的な検定(カイ二乗検定)を
行った。特に職員数別のクロス集計において統計的に有意な関連性が認められなかったものが多かったが、
傾向や実務上には意味があると思われると考え、分析・考察を行った。
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メントを受けやすい理由の設問では、大半の回答者が介護支援専門員はカスタマーハラスメ
ントを受けやすいと回答した。その理由として複数選択でも単独選択でも「1.主な相談場所
が利用者の自宅であるため、利用者やその家族が主導権を握っていたり、立場が上と感じた
りしやすい」が最多だった。利用者の自宅を訪問することは介護支援専門員の業務上避けが
たいが、利用者の自宅であっても、利用者自身に優位を感じさせない工夫が有効な対策のポ
イントになる可能性がある。
また、「3.支援を打ち切ると利用者の生活や生命に大きな影響を与えるため、やむを得ず
支援を続けがち」「4.介護支援専門員は、自分のかかわり方や支援に問題があるかもしれな
い等、自分に原因や責任があると考えがち」
「5.専門職としての価値や倫理から、利用者を
見捨てるようなことをしてはならないと考えがち」に関しては、介護支援専門員自身に係る
課題である。これらが多く選択される要因は、介護支援専門員の価値・倫理の影響だけでな
く、高齢世帯や単身世帯等が増加していること等で介護支援専門員がより複雑で困難な状況
に対応することで様々な葛藤を抱えるといった現状も影響を及ぼしているのではなかろうか。
(P22・表1-19、P23・表1-20)
■分析・考察
本調査では新たな試みとして、テキストマイニング(KH Coder)を用いて、Q21.の自由記
載を解析し、特定のキーワードの頻度、文章の構造、感情分析、トピック抽出などの可視化
を試みた(P25・図1、P28・図2)。その結果は、やりがいに直結するものとして「利用者」
「家族」が大きく示された。一方で、やりがいや労働環境につながる「上司」や「職場」また
は「賃金」というカテゴリーは確認されず「仕事」というカテゴリーはあっても「利用者」お
よび「家族」と比較すると小さかった。また、
「家族」が含まれる Subgraph と「感謝」が含ま
れる Subgraph は関連付けられている。自由記載の中にも、「ありがとうの感謝の言葉やお礼
の手紙をもらった時」
「あなたが担当で良かったと仰って頂けた時や終了時に感謝の言葉を頂
けた時」等「感謝」という単語が見られる。介護支援専門員にとっての“やりがい”は、利用
者支援で生じる利用者や家族との関係性に見出している可能性が高い。特に、感謝の意を表
明されるとことで“やりがい”を感じる傾向がある推測できる。
さらに、Q22.に関してもテキストマイニング(KH Coder)を実施した。その結果、カスタ
マーハラスメントの当事者として多く選択された「利用者」や「家族」というグループが大
きい。また、
「利用者」
「家族」の Subgraph にある「言う」は、Q16.の SQ で最も選ばれてい
た「言葉の暴力や精神的な攻撃」に関連すると推測できる。自由記載の中には「エピソード
自体をあまり思い出したくありません」という非常に深刻なものもあり、カスタマーハラス
メントが介護支援専門員に及ぼす影響の深刻さが伝わってくる。
また、「相談」が所属する Subgraph には「管理者」や「地域包括支援センター」が含まれ
ている。Q16.の SQ の回答にも相談先として選択されていることを考慮すれば、これらの支
援機能を強化することもカスタマーハラスメント対策には欠くことはできないといえよう。
--------------------------------------------------------------------------------※ 第3章のクロス集計は、すべて IBM SPSS(統計解析ソフト)を用いて統計学的な検定(カイ二乗検定)を
行った。特に職員数別のクロス集計において統計的に有意な関連性が認められなかったものが多かったが、
傾向や実務上には意味があると思われると考え、分析・考察を行った。
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