抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

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2. 総論

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(1) 抗微生物薬適正使用とは

医科・入院編

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抗微生物薬適正使用 注 3 とは、文字通り抗微生物薬を適正に使用するための取組

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（介入）に係る全般的な概念である。抗微生物薬適正使用では、主に抗微生物薬使

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用の適応を判断し、治療選択、使用量、使用期間等を明確に評価して、抗微生物薬

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が投与される患者のアウトカムを改善し、有害事象を最小限にすることを主目的と

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している 21。

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これまでの研究では、抗微生物薬適正使用の方法として、処方後監査と直接の処

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方者への情報提供、特定の抗微生物薬の採用の制限や処方前許可制の仕組み、抗微

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生物薬使用の教育・普及啓発、より狭域な抗微生物薬への変更、治療指針の導入、

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静注抗微生物薬から経口抗微生物薬への変更、迅速診断の導入、処方を遅らせるよ

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うな介入（抗菌薬の延期処方等）等が挙げられており、日常診療では、これらの介

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入を単独又は複数組み合わせて、抗微生物薬適正使用を進めていくことになる。な

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お、どの介入が適しているかに関しては、抗微生物薬適正使用を行う診療の状況

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（入院診療、外来診療）や、実際に適正使用を行う医療機関の資源の充実度により

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異なると考えられている 22。

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(2) 抗微生物薬使用の適応病態

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抗微生物薬使用の適応となる病態は、原則として抗微生物薬の投与が標準治療と

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して確立している感染症と診断されている、又は強く疑われる病態である。その適

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応以外での抗微生物薬使用は最小限に止めるべきであり、また、細菌感染症であっ

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ても、抗菌薬を使用しなくても自然軽快する感染症も存在するため、各医師は、抗

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菌薬の適応病態を自らが関わる診療の状況ごとに把握しておくべきである。

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患者は、適切に処方された抗菌薬については、症状が改善したからといって途中

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でやめるのではなく、医師の指示通り最後まで服用すべきである。また、医師から

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抗菌薬の服用中止の指示が出され、抗菌薬が余る状況になった際には、それらの抗

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菌薬は適切に廃棄すべきである。

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なお、外来診療における対応が困難な患者が受診した場合は、速やかに適切な医

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療機関に搬送すべきである。その際、その後の培養検査の感度を損なうことのない

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よう、抗菌薬を投与する前に適切な培養検査（血液培養の複数セット採取、喀痰や

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尿のグラム染色・培養）を実施することが望ましい。

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注3

英語ではしばしば Antimicrobial Stewardship という言葉も用いられる。

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