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総合事業の充実に向けたワークシート(2025年7月10日更新) (58 ページ)

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出典情報 総合事業の充実に向けたワークシート(7/10)《厚生労働省》
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①[実績額の増加]の背景として、地域ケア会議における認定ケース検討の簡略化がある。A 市では、
平成27年度より、地域ケア会議において、初回認定時を含む最大3回、ケースを検討する取組を開始
した 7が、平成 30 年~令和元年は初回認定時のみとし、ここ数年は、一部ケースのみを対象としてい
る。認定ケースの検討を簡略化したことが、認定率の増加、給付費の増加に影響している可能性があ
る。

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加えて、コロナ禍以降、地域の通いの場の閉鎖があり、デイサービスしか選択肢がないという雰囲気が
定着していることも要因と考えられる。サービス・活動 C(短期集中予防サービス)は、コロナ禍以前は、
利用者の4割がサービス終了することができていたが、現在は、サービス・活動 C の終了後、ほとんど
の利用者が通所型サービス・活動Aに移行している。

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②[事業費に占める通所型サービスの割合が多いこと]について、費用で見ると、従前相当の訪問型サ
ービスが 30 百万円、従前相当以外の訪問型サービスが1百万円となっている。それに対し、通所型サ
ービスに、150 百万円を支出している。150 百万円分の利用を分解し、多様なサービス・活動の充実に
よって対応できないか検討することが、A 市の課題と言える。

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③[従前相当の通所型サービスの移行]について、(3) で触れた通り、A 市では、従前相当の通所型
サービスは、概ね通所型サービス・活動 A に移行したが、運営上の実態はほとんど変わっていない状
況である。
■ データの精査
ワークシートの「4-2.制約条件の中における持続可能性」の下部に掲載されているグラフをみ
ると、A 市は、総合事業移行当初の上限額と実績額の乖離が大きくなっている。
前述のとおり、総合事業の基本の上限額は、総合事業移行前の予防給付・一次予防事業・二
次予防事業の合計額を当初の基準額として、75歳以上人口の変化率を反映して設定されてい
る。
A 市は、平成 27 年度より、総合事業に移行したが、グラフでは、平成29年度時点で、上限額
366 百万円に対し、実績額は233百万円と、133百万円の乖離があることが読み取れる。移行3
年目時点での事業費の減少幅としては大きいと考えられるため、データの確認を行った。
なお、ワークシート 4-2 は、地域支援事業交付金事業実績報告書ファイルの数値を読み込み、
作成されている。
今回の場合、地域支援事業交付金事業実績報告書の記載と、介護保険事業計画に記載され
ている実績値を照らし合わせて確認したところ、数値は同一だったため、間違いはないと判断さ
れた。(場合によっては、報告書に記載されている数値が誤っている可能性もあるため、留意が
必要である。)
A 市では、平成27年度より、地域ケア会議において、初回認定時を含む最大3回、ケースを検
討する取組を開始した。取組の開始後、認定率・予防給付の事業費が大幅に減少したという経緯
があった。

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A 市の場合、平成 27 年から実施した認定ケースの検討を複数回行う仕組みによって、事実上、要支援認定者

の絞り込みが行われてしまったと考えられる。こうした取組は事業費の削減につながりやすいが、代替となる活動
の場がない状況で、対象者の絞り込みを行うというのは、総合事業の目指す姿ではないと言える。

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