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【資料No.1】2.5_臨床に関する概括資料 (7 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26901.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第3回 7/20)、医薬品第二部会(令和4年度第6回 7/20)(合同開催)《厚生労働省》
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S-217622

2.5

2.5 臨床に関する概括評価

臨床試験に関する概括評価

2.5.1
2.5.1.1

製品開発の根拠
薬理学的分類

S-217622 は,塩野義製薬株式会社によって創製された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス
2 (SARS-CoV-2) による感染症治療薬の候補化合物である.S-217622 は,SARS-CoV-2 遺伝子に
コードされるポリタンパク質のプロセシング及びウイルス複製に必須である 3C-Like プロテ
アーゼを阻害することで,
SARS-CoV-2 に対する抗ウイルス効果を発揮するものと考えられる.
2.5.1.2
2.5.1.2.1

科学的背景
COVID-19 の疫学及び病態

2019 年 12 月,中華人民共和国湖北省武漢市において原因不明の肺炎が数ヵ所で集団発生し
ていることが報告された.疫学調査の結果,この肺炎が新型のコロナウイルスの感染によって
発症していることが確認され,その原因ウイルスが SARS-CoV-2 と命名された [1].SARS-CoV-2
は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス (SARS-CoV) と同様に,その外殻表面にあるスパイ
クタンパクが標的である宿主細胞の細胞膜表面に発現するアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 2
に特異的に結合することで,宿主細胞へと侵入する.ACE2 は鼻粘膜上皮細胞,肺胞上皮細胞,
小腸の腸上皮細胞などに発現している [1, 2].
SARS-CoV-2 による感染症は新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) と命名され,世界保健
機関 (WHO) は 2020 年 1 月 30 日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (PHEIC)」を
宣言した.その後,世界的な感染拡大の状況や重症度等から,2020 年 3 月 11 日に COVID-19 を
パンデミック (世界的な大流行) の状態であると表明し [3],それから 2 年近くが経過した現在
も,収束への目途が立っていない [4].本邦においては,2020 年 1 月に 1 例目の感染者が確認
されて以来 [5],2022 年 2 月までに計延べ 2,700,000 例以上の感染及び計 18,000 例以上の死亡
が報告されている [6].
SARS-CoV-2 は RNA ウイルスのため変異が起こりやすく,主な変異株は WHO により,懸念
される変異株 (VOC),注目すべき変異株 (VOI),監視下の変異株 (VUM) に分類管理されてい
る.WHO により 2021 年 11 月 26 日に VOC に指定されたオミクロン株は,スパイクタンパク
に 30 個程度の変異を有することから,高い感染力及び免疫逃避の可能性が示唆されている [7].
2022 年 2 月時点で,海外ではデルタ株からオミクロン株への置き換えが進んでおり,本邦にお
いても,オミクロン株による感染再拡大が急速に進んでおり,早期に対策を講じる必要がある.
COVID-19 の症状は,ウイルス感染に起因する炎症や免疫反応に由来するものであり,その主
な症状は発熱,咳,鼻水,鼻づまり,喉の痛み,筋肉痛,下痢など感冒と同様の症状が多く,加
えて味覚や嗅覚障害も報告されている [8].インフルエンザや感冒と比較して,鼻水,鼻づまり
は少なく,嗅覚や味覚障害が多いことが COVID-19 の特徴と考えられている.また,高年齢や
心血管系疾患,呼吸器疾患,腎疾患,糖尿病,肥満,免疫不全症などを有するハイリスク患者
では重症化しやすく,急速に肺炎が進行し,息切れ,呼吸困難等に陥り,酸素吸入やさらには
人工呼吸器や体外式膜型人工肺 (ECMO) による治療が必要となることもある [1].
本邦のガイドライン (新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き 第 6.2 版 2022 年
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