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井口委員提出資料 (18 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64916.html |
| 出典情報 | 社会保障審議会 福祉部会(第30回 10/21)《厚生労働省》 |
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論考
第2章
介護福祉士のコンピテンシー
介護福祉士の本来の役割と専門性が試される被災地支援
金山峰之
私は今回、 FamSKOの取り組みで福祉避難所
知識 ・ 技術 ・ 倫理が備わっているからこそ発揮でき
支援に赴いた介護福祉士資格を持つ方々にインタ
るものであろうと強く感じ、 福祉避難所支援の介護
ビューを行い、 そのコンピテンシーを分析する機会を
職派遣において重要な要素だと思いました。
いただきました。 本稿ではこの分析を通じて感じた
ことを3つお伝えしたいと思います。
2 次に、 印象深かったことは、 皆が福祉避難所と
1 まず、 誤解を恐れずに言うならば、 福祉避難
して人間として自身の成長機会と捉えている点でし
所で介護福祉士に求められることに特筆すべき目新
た。「不謹慎かもしれませんが楽しかったです」
「勉
しいものはありませんでした。 言い換えると、 介護
強になりました」 という多くの声がそれらを物語って
いう非日常的な状況をポジティブに捉え、 専門職と
福祉士として求められている専門性は福祉避難所で
います。 人によっては整備されていない環境にスト
あっても、 日頃働く日常的な介護現場であっても変
レスを感じたり、 体調を崩す方もいるでしょう。 で
わらない、 普遍的なものだということです。 ただし、
すから自己統制力と自己実現意欲を持ち合わせてい
福祉避難所という非日常的な場ではこの普遍的な専
るかは重要だと感じました。 また被災地支援が初め
門性をフルに発揮することが求められます。 インタ
てという方は 「いつかどこかで災害が起きたらこの
ビューした12名は日頃勤める介護現場よりも専門性
経験を活かしたい」と言い、被災地支援経験を重ね、
を強く先鋭化していたことが大きな特徴でした。
次に活かそうとするスタンスは当人にも社会にとって
例えば彼らが行っていた実践は、 避難者とコミュ
も大切なコンピテンシーだと感じました。
ニケーションを図りながら関係性を構築すること、 避
難者の心身の状態や置かれた環境・状況を確認し
3 一方、 課題に感じることもありました。 介護福祉
ながら、 避難者の生活意欲や活動意欲を引き出し、
士たちの充実した声は FamSKO 各法人の理念と、
介護職チームや他職種と連携しながら、自立した生
受け入れ側の福祉避難所運営者の理念がある程度
活を営めるように必要な支援をするというもので、介
合致しており、 目指す方向性が全体に効いていた
護福祉士なら誰もが当たり前にやって然るべきことで
と感じます。 これはどんな組織運営においても言え
した。
ますが、 組織のビジョンの共通認識と浸透はとても
しかし、福祉避難所は関係性が全くない人たちと、
大切です。 今後想定される大災害ではよりフォーマ
ライフラインや物資に制限がある非日常的な空間 ・
ルで大規模な団体、 組織、 関係者の有機的連帯
状況で介護をするという現場です。 どこでどう生活
が求められます。 そうした中、 大規模介護職派遣、
していたかわからない避難者、 今後家に帰るのか、
DWAT や他団体との役割明確化、 福祉避難所にお
別の場所へ移るのかさえ曖昧な中、 介護福祉士たち
ける介護福祉士の支援のあり方など、 一定の共通認
は自ら主体的に動き、 限られた情報の中でその人の
識がこれまで以上に重要となるはずです。 各方面と
状況 ・ 状態に応じた自立支援を自ら判断、 実施し
のコンセンサスを経たガイドラインや方針の作成、 浸
ていました。 時に有り合わせのものを使って少しで
透が急がれると思いました。
も生活環境を整えようとしたり、 心身機能 ・ 身体構
造に応じた生活動作を促したり。 普段ならチームで
検討すべきことも一人で即断即決することもありまし
た。 これは、 普遍的に求められる専門性を日頃から
実践していること、 一人の自立した専門職としての
かなやま・たかゆき ケアソーシャルワーク研
究所 所長 法政大学大学院 地域ウェルビーイ
ング研究所 特任研究員 介護福祉士/社会
福祉士/准看護師 ※令和 6 年 3 月31日現在
17
第2章
介護福祉士のコンピテンシー
介護福祉士の本来の役割と専門性が試される被災地支援
金山峰之
私は今回、 FamSKOの取り組みで福祉避難所
知識 ・ 技術 ・ 倫理が備わっているからこそ発揮でき
支援に赴いた介護福祉士資格を持つ方々にインタ
るものであろうと強く感じ、 福祉避難所支援の介護
ビューを行い、 そのコンピテンシーを分析する機会を
職派遣において重要な要素だと思いました。
いただきました。 本稿ではこの分析を通じて感じた
ことを3つお伝えしたいと思います。
2 次に、 印象深かったことは、 皆が福祉避難所と
1 まず、 誤解を恐れずに言うならば、 福祉避難
して人間として自身の成長機会と捉えている点でし
所で介護福祉士に求められることに特筆すべき目新
た。「不謹慎かもしれませんが楽しかったです」
「勉
しいものはありませんでした。 言い換えると、 介護
強になりました」 という多くの声がそれらを物語って
いう非日常的な状況をポジティブに捉え、 専門職と
福祉士として求められている専門性は福祉避難所で
います。 人によっては整備されていない環境にスト
あっても、 日頃働く日常的な介護現場であっても変
レスを感じたり、 体調を崩す方もいるでしょう。 で
わらない、 普遍的なものだということです。 ただし、
すから自己統制力と自己実現意欲を持ち合わせてい
福祉避難所という非日常的な場ではこの普遍的な専
るかは重要だと感じました。 また被災地支援が初め
門性をフルに発揮することが求められます。 インタ
てという方は 「いつかどこかで災害が起きたらこの
ビューした12名は日頃勤める介護現場よりも専門性
経験を活かしたい」と言い、被災地支援経験を重ね、
を強く先鋭化していたことが大きな特徴でした。
次に活かそうとするスタンスは当人にも社会にとって
例えば彼らが行っていた実践は、 避難者とコミュ
も大切なコンピテンシーだと感じました。
ニケーションを図りながら関係性を構築すること、 避
難者の心身の状態や置かれた環境・状況を確認し
3 一方、 課題に感じることもありました。 介護福祉
ながら、 避難者の生活意欲や活動意欲を引き出し、
士たちの充実した声は FamSKO 各法人の理念と、
介護職チームや他職種と連携しながら、自立した生
受け入れ側の福祉避難所運営者の理念がある程度
活を営めるように必要な支援をするというもので、介
合致しており、 目指す方向性が全体に効いていた
護福祉士なら誰もが当たり前にやって然るべきことで
と感じます。 これはどんな組織運営においても言え
した。
ますが、 組織のビジョンの共通認識と浸透はとても
しかし、福祉避難所は関係性が全くない人たちと、
大切です。 今後想定される大災害ではよりフォーマ
ライフラインや物資に制限がある非日常的な空間 ・
ルで大規模な団体、 組織、 関係者の有機的連帯
状況で介護をするという現場です。 どこでどう生活
が求められます。 そうした中、 大規模介護職派遣、
していたかわからない避難者、 今後家に帰るのか、
DWAT や他団体との役割明確化、 福祉避難所にお
別の場所へ移るのかさえ曖昧な中、 介護福祉士たち
ける介護福祉士の支援のあり方など、 一定の共通認
は自ら主体的に動き、 限られた情報の中でその人の
識がこれまで以上に重要となるはずです。 各方面と
状況 ・ 状態に応じた自立支援を自ら判断、 実施し
のコンセンサスを経たガイドラインや方針の作成、 浸
ていました。 時に有り合わせのものを使って少しで
透が急がれると思いました。
も生活環境を整えようとしたり、 心身機能 ・ 身体構
造に応じた生活動作を促したり。 普段ならチームで
検討すべきことも一人で即断即決することもありまし
た。 これは、 普遍的に求められる専門性を日頃から
実践していること、 一人の自立した専門職としての
かなやま・たかゆき ケアソーシャルワーク研
究所 所長 法政大学大学院 地域ウェルビーイ
ング研究所 特任研究員 介護福祉士/社会
福祉士/准看護師 ※令和 6 年 3 月31日現在
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